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『改訳 ブレイク抒情詩抄』(寿岳文章訳)を読む

イギリスの詩人にして挿絵・銅版画家でもあったウィリアム・ブレイク(William Blake, 1757 - 1827)の中年期以前の作品を中心に翻訳した小著。「小品詩集抄」「無染の歌」「無明の歌」「セルの書」「稿本詩抄」を収録。

ブレイクの影響は現代にもなお強く、日本では、熱心に読み込み自身の連作小説『新しい人よ眼ざめよ』(1983)にまで昇華した大江健三郎が有名。ジム・モリスン率いるロックバンド「The Doors」(1965 - 1970's)のグループ名も詩篇『天国と地獄の結婚』の一節「知覚の扉(the doors of perception)」に由来する。2012年ロンドン五輪開会式では詩篇『ミルトン』が題材にされていた。

やがてブレイクは「幻視者」(Visionary)として神話的な象徴世界を構築した作品を作り上げるようになる。無垢なるものと神秘的なるものが渾然となりながら、剥き出しにされた人間の清浄な面と暗鬱な面をうつくしく歌いあげている。

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