最後の夜

3ヶ月いた精神病院、明日退院する。
今日が最後の夜か、賑やかだった閉鎖病棟から人の少ない開放病棟に移ったので友達との送別はもうない。
ひとり、オーシャンビューの共有スペースで文字をうつ。
暗い。海と空が同一の色
実感がわかない。

昨日の夜友達が家に押しかけてくる悪夢をみた。
昼間外出してると晴れなのに雨が降っていた。

これで満足かい、少し前の僕。
夢もどきを捨てたあの日から、何か僕の代名詞になるものを探して、キャラが欲しくてしょうがなかった。
ただの「よく考えてる風な陰気なヤツ」から
「一人暮らししたら忙しくなってうつ状態になったダサいヤツ」へと。
そして今「死にたいって言い続けるからしょうがなく入院させてもらった健常者」、充分かい。
今さら死にたくないなんて、
今さら生きてみようなんて、

明日は雨が降るかな。
土砂降りがいいな、そっちの方が様になる。

僕は人並みにすらなれないなり損ない有象無象だから
土俵を移して、移して、自分でも作ったりして
誰もいない土俵なら努力しなくても唯一になれるから
努力することすら出来なかった僕の末路。

世界は全部偶然で出来てるだろ
頑張れる子、頑張れない子、
優しい子、意地悪な子、
馬鹿と天才、
みんなソイツの能力じゃない。
自分自身に付与される能力は自分じゃ選べないさ

まあいいや、また今度話そう

何が言いたかったんだろ。
雑多の張りぼて、

ここを退院すれば後は消費の日々だ。
金も人生も、思想も。

とりあえずは生きるよ。あの日までは。
決行日じゃなくて決断日にしようと決定したのはつい最近。

雨が降るかな
雲が晴れるかな

消灯時間が来た。明日は早起きしたいから、もう寝るね。