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1細胞レベルで明らかにするヘルパーT細胞の多様性と免疫疾患の関係 理化学研究所

理化学研究所の研究チームは、ヒトの多様なヘルパーT細胞の遺伝子プロモーターやエンハンサーを1細胞レベルで調査し、免疫疾患発症に関わる分子メカニズムを解明する新手法を開発しました。この研究は、自己免疫疾患やアレルギー疾患の新たな治療法開発につながる可能性があります。

ヘルパーT細胞は、免疫系の指揮官として重要な役割を担っており、その多様な亜集団がさまざまな免疫疾患に関与することが示唆されています。しかし、これまでの技術では、1細胞レベルでの詳細な解析は困難でした。今回の研究では、ReapTEC法という新しい1細胞エンハンサー解析法を用い、約100万個のヒトヘルパーT細胞のRNA転写開始点を解析しました。この手法により、従来の技術では検出できなかった希少な亜集団やエンハンサー活性を特定し、ヘルパーT細胞の多様性を明らかにしました。

エンハンサーを起点とした免疫疾患発症メカニズムの解明

この解析により、免疫疾患に関わる遺伝的変異とエンハンサーの関係を突き止め、疾患発症に関わる約600カ所の疾患エンハンサーを同定しました。さらに、疾患エンハンサーが標的とする遺伝子を特定し、疾患発症の分子メカニズムを解明しました。この結果、既知の分子に加えて、新たな疾患関連分子も数多く同定されました。

本研究は、免疫疾患の理解を深めるだけでなく、新しい治療標的分子の発見にも貢献します。また、新たに発見されたヘルパーT細胞の亜集団は、がん免疫療法などの新しい治療法の開発にもつながる可能性があります。今後、生活習慣病や精神疾患など、他の疾患への応用も期待されます。

今回の成果は、科学雑誌『Science』オンライン版に掲載されており、免疫疾患の分子メカニズムの理解と革新的な治療法の開発に向けた大きな一歩です。

詳細内容は、理化学研究所が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

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