MIT、色がなくても白黒画像で物体認識できる脳の仕組みを解明、先天的な視覚障害を持つ子供たちの治療に貢献
MITの研究により、赤ちゃんの視覚発達において色の制限が重要な役割を果たしていることが明らかになりました。この研究は、視覚システムがどのようにして色の有無にかかわらず画像を認識する能力を獲得するのかを解明し、特に先天的な白内障を持つ子供たちの視覚回復における課題に光を当てています。
新生児は、視覚システムが未発達であるため、視覚的な鮮明さや色の認識能力が限られています。MITの研究チームは、これが視覚発達において実際に有利に働く可能性があることを示唆しています。新生児の脳は、限られた色情報しか受け取れないため、輝度（光の強さ）に基づいて物体を識別する能力を発達させます。この初期の段階での制限は、後に色情報が利用可能になったときにも、その輝度に基づく認識能力を維持する助けとなります。
この研究は、先天的な白内障を持つ子供たちが手術で視力を回復した後に、どのように視覚情報を処理するのかを調査する過程で行われました。研究チームは、正常な視覚を持つ子供たちと、視力を回復した子供たちに対して、カラー画像と白黒画像を提示し、物体認識能力を比較しました。その結果、正常な視覚を持つ子供たちは白黒画像でも問題なく物体を識別できたのに対し、視力を回復した子供たちは白黒画像での識別に困難を示しました。
さらに、研究チームはコンピュータモデル（AlexNet）を使用して、視覚発達のシミュレーションを行いました。最初に白黒画像のみで訓練を行い、後にカラー画像を追加することで、人間の視覚発達過程を模倣しました。このモデルは、カラー画像と白黒画像の両方を正確に認識する能力を示しました。一方で、最初からカラー画像のみで訓練されたモデルは、白黒画像の認識において劣っていました。
研究結果は、視覚発達において情報の順序が重要であることを示しています。最初に制限された情報を受け取ることで、脳は限られた情報に基づいて効率的な認識方法を学習します。その後、色情報が追加されても、既に確立された認識戦略を大きく変更する必要がないため、全体的な認識能力が向上します。
MITの研究は、視覚システムの初期制限が長期的な視覚認識能力に与える影響についての新たな視点を提供します。この発見は、先天的な視覚障害を持つ子供たちの治療やリハビリテーションにおける新しいアプローチを示唆しており、今後の視覚発達研究に大きな影響を与えることが期待されます。
詳細内容は、MITが提供する元記事を参照してください。
【引用元】
【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？