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火星の地下に眠る膨大な水の海を発見、しかし深すぎて汲み上げは困難 カリフォルニア大学バークレー校

火星に存在する水の行方は、長年にわたり科学者たちの大きな関心を集めてきました。表面に見られる川や湖の跡、そして極地にある氷から、かつてこの惑星が豊富な水をたたえていたことがわかっています。しかし、火星の水はどこへ消えたのか?この謎に新たな光が当てられました。

2024年8月、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、NASAのInsight探査機による地震データを用いて、火星の地下深くに膨大な量の液体水が存在する可能性があることを発表しました。この水は、火星の地殻の中で約11.5キロメートルから20キロメートルの深さにある亀裂や岩の隙間に蓄えられているとされています。もしこの水が地表にあったならば、火星全体を1~2キロメートルの深さまで覆うほどの量に相当します。

この発見は、火星の水循環と気候の進化を理解する上で重要な手がかりを提供します。火星の大気が消失し、表面の水が失われたとされる約30億年前から、この地下水がどのように形成され、保存されてきたのかは、今後の研究によって解明されるでしょう。

しかし、この地下水が容易に利用できるわけではありません。水は岩の隙間に深く埋もれており、現在の技術ではこれを直接利用するのは非常に困難です。地球でも同じ深度まで掘削するのは大きな挑戦であり、火星ではさらに困難さが増すでしょう。

とはいえ、この水の存在は、火星における生命探査の新たなターゲットとなるかもしれません。地球では、深海や深い鉱山のような極限環境でも生命が確認されています。同様に、この地下水が火星で生命を支えている可能性もあります。これまでに火星で生命の証拠は発見されていませんが、科学者たちはこの新たな発見が火星の生命探査を進展させるきっかけとなることを期待しています。

この研究は、火星の過去の気候とその進化についての理解を深めるだけでなく、未来の火星探査や居住の可能性についても影響を与えるでしょう。火星に人類が移住する日が来るならば、この地下水の利用方法を模索することが重要な課題となるはずです。現時点では、探査技術の進歩が期待されます。

研究チームは、火星の地殻全体にわたり、このような地下水が存在する可能性があると指摘しています。この発見は、かつて火星の表面に存在したとされる海洋が、その後地下へと移動したという仮説を裏付けるものです。

NASAのInsight探査機は、2018年から2022年にかけて火星の内部を探査し、その間に地震データや地下の構造に関する貴重な情報を収集しました。このデータを解析することで、科学者たちは火星の地殻の厚さ、コアの深さ、構成物質、さらにはマントルの温度についても新たな知見を得ています。

この発見により、火星の地下に眠る水が、地球外生命の可能性を含む多くの科学的な問いに答える鍵となるかもしれません。火星の地下に広がる“海”は、今後の探査と研究において重要な焦点となるでしょう。

詳細内容は、カリフォルニア大学バークレー校が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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