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古代の鉄隕石が太陽系の意外な形成過程を解き明かす、初期にドーナツ型だったことを示唆 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)

太陽系の歴史を探る手がかりとして、鉄隕石が注目を集めています。これらは太陽系形成初期に存在した天体の金属コアの名残であり、希少金属を含んでいます。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)による新たな研究によると、これらの鉄隕石が示す化学成分から、太陽系の初期段階ではプロトプラネタリーディスクがドーナツ型をしていた可能性が高いことがわかりました。

鉄隕石

鉄隕石は、太陽系形成初期に存在した小惑星の金属核の破片です。これらには高温で凝縮する希少金属(白金やイリジウムなど)が含まれています。一般的に、こうした金属は高温の内側ディスクで形成され、冷たい外側ディスクには存在しないはずですが、鉄隕石からは外側ディスクで豊富に見つかることが示されています。

ドーナツ型原始惑星系円盤 WSB 52

従来の研究では、プロトプラネタリーディスクは「ダーツボード」のように同心円状のリングで構成されていると考えられていました。この形状では、内側ディスクで形成された希少金属が外側ディスクに移動することは困難です。しかし、新しい研究では、太陽系のディスクが最初はドーナツ型をしていた可能性が示されています。この形状なら、ディスクの急速な拡大に伴って金属が外側ディスクに運ばれることが可能です。

木星の形成が、金属の配置に大きな影響を与えたと考えられています。木星が形成されると、ディスク内に大きな物理的なギャップが生まれました。これにより、イリジウムや白金などの金属が太陽に向かって再び引き寄せられることを防ぎ、外側ディスクに捕らえられたと考えられます。これが、外側ディスクで形成された隕石が高濃度の希少金属を含む理由です。

この発見により、鉄隕石を用いた太陽系の形成過程の再構築が進むと期待されています。UCLAのプラネタリーサイエンティストであるビドン・ジャン博士は、「鉄隕石は、太陽系の誕生の謎を解き明かすための貴重な手がかりです」と述べています。今後も鉄隕石の分析が進むことで、さらなる太陽系形成のメカニズムが明らかにされることでしょう。

古代の鉄隕石は、太陽系が形成された際のプロトプラネタリーディスクがドーナツ型であったことを示唆する重要な証拠です。この研究は、希少金属がどのようにして太陽系の外側領域に分布したのかを解明し、太陽系の初期の進化に関する新たな視点を提供しています。太陽系の形成過程を理解するために、鉄隕石はこれからも貴重な手がかりを提供してくれるでしょう。

このような古代の天体の破片から、私たちは太陽系の形成の壮大な物語を紐解いていくことができるのです。

詳細内容は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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