たいが

1997

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最近の記事

紙飛行機

体を揺らすほどの大きな音が響いたと同時にふわりとした感覚を一瞬覚えた。窓際の席から外を眺めてみる。まだ地を離れたばかり、ビルやマンション、車の灯りがイルミネーションのように空を照らしている。冬の空気の匂いが機内に漂った、ただそんな気がした。 この鉄の塊は沈黙を守りただ人を運ぶ。決められた距離を飛び決められた場所に降り立つ。 現在地点Aから目的地点Bまでの直線距離は何があろうと変わらない。雨が降ろうが地震が起きようが100kmが90kmになったり101kmになったりはしない。不

    • 推し事

      よくアイドルや芸能人に向けて使われる"推し"と言う言葉。これは推奨や推薦という漢字でも使われており、大辞泉には"人に薦めたいほど気に入っている人や物"と記載されている。噛み砕いた表現をするといわゆるファンとオタクの関係である。 個人的にファンとオタクの関係は宗教と少し似た要素を持ち合わせているなと思うことが少なからずある。ここでかなりのセンシティブさを持つ宗教という言葉を知識のないわたしが語るのは問題があると思うが少し説明させてほしい。 まず先にそれらの関係性における美点と

      • 言葉や詩の呪い

        まじで日本語ってむずいなって感じることが最近多々ある。でも言葉って他とコミュニケーションをとる1番の方法であるから蔑ろにはできない。 端的に言って言葉は救いにもなり呪いにもなる。誰かを絶望の淵から救うような優しい言葉もあれば逆に失意へと誘う呪いの言葉だってある。さらに難しいことに誰かを思った優しい言葉でさえもときに誰かを縛りつけ傷つける呪いにも変わる。優しさは常に善ではないのだ。かといって、無でやり過ごそうとしてもあいつは興味がない、協調性がないと排除される始末。まじで難しす

        • 夜隠れ

          カーテンの隙間から差した光で目を覚ます。 時計の針は正午と少し前を指している。ひどく重く感じる身体をゆっくりと起こしコップに水を注ぐ。口の中にねっとりとこびりつく唾液を洗い流し再びベッドに腰を掛けた。昨日の夜から何も口にしていない。お腹は正直なことに小さく音を立てた。乱雑に跳ねた髪の毛を少し指でなぞり真っ黒な帽子を深くかぶった。鉛のように重たい腰をゆっくりと持ち上げる。台所には昨夜使ったままの食器が溜まっているが気にせずに玄関の戸を開け外の世界に出た。 空は私の心とは裏腹に清

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          おれんじ

          あなたを想うようになったのは不可抗力だったのかもしれない。別に特別優しくされたわけでもないし、あなたから話しかけてきたわけでもない。先に穿鑿したのは私の方からだった。 ただの一瞬の心の迷いなんかじゃない。 ましてや錯覚ですらもない。 恋愛とは「春心の勃発」にすぎないものだと古くから俗見にあるが、これは恋とか愛とかそういう漢字一文字では表せないものなのだ。 ーーーーーーーー。 あなたと雨の日の道途を歩いたのはいつだっただろうか。にわか雨に濡れないよう買った一つの小さな傘

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          堕ちていく 

          暗闇の中をただ堕ちていく。 私は果たして人間なのかもわからない。意思を持ち人の姿をした獣なのか、落ちこぼれたAIロボットなのか。自分が自分では無くなってしまうような妙に気持ちの悪いあの感じ。 無重力でもない、自由落下でもない。ただただ暗闇を真下に堕ちていく。いや、本当に真下に向かっているのだろうか。風は少し感じる気がするが、それが上からなのか下からなのかも曖昧だ。堕ちてはいないのではないかと感じるほどに。  闇の中で人々が嘲笑する声がする。私に向けてのものなのか?ふと止ん

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          境界線

          最近また寒くなってきたので周りに体調に気をつけようって言ってる自分はなかなかこたつから出れないでいる。 こたつの中と外じゃ世界が違うなっていうことで今回は境界線について話そうかなと。。 (導入がかなり強引だが...) みなさんは境界と聞いて何を思い浮かべるだろうか。家の中⇔外、国の中⇔外などといった空間的境界線から、他人⇔友達という心理的境界線といったものまでさまざまなものがあるのだろう。人によってその境界の線引きは広かったり狭かったり多様であることが当たり前である。

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          陳腐かつ高貴な反復

          この前暑くなったので夜の散歩を再開しようかなーと思ってたら、急にまた寒くなっちまった。。しかも、いつも外出してるであろう時間に家にいることが増えたからなんか精神的に少しきつい。まさしく日常習慣が狂う怖さ... そんな些細な習慣や無意識のうちの慣れって 無限に生成され繰り返されているのだろう。 飯を食し、夜になれば睡る生命的活動の反復。 怠惰なままに身体を重ね合わせる欲望の反復。 生命的活動を保障するための社会的反復(労働)。 この世界は、てか人はこれらの反復によって形成

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          善意という諸悪の根源

          本格的に寒くなってきたぜ。寒すぎて家から出たくなさすぎるので今日も気ままに書いていく。 最近は暗いニュースばかりだが悪と同じほど善って意外に怖えなと思ったりしている。 この世界には白があるからこそ黒が存在するように、善があるからこそ悪もあるのではないだろうか(逆も然り)。まるで反定立のように相反する事象、主張があるからこそ世界は成り立ってるというか両者はいわゆる紙一重なのかなとも思っている。 四季が移り変わりゆくように善は未来永劫に善ではないし、いつだって悪になり得る可能性

          善意という諸悪の根源