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堕ちていく 

暗闇の中をただ堕ちていく。
私は果たして人間なのかもわからない。意思を持ち人の姿をした獣なのか、落ちこぼれたAIロボットなのか。自分が自分では無くなってしまうような妙に気持ちの悪いあの感じ。

無重力でもない、自由落下でもない。ただただ暗闇を真下に堕ちていく。いや、本当に真下に向かっているのだろうか。風は少し感じる気がするが、それが上からなのか下からなのかも曖昧だ。堕ちてはいないのではないかと感じるほどに。 

闇の中で人々が嘲笑する声がする。私に向けてのものなのか?ふと止んではまた聞こえるその繰り返し。いつまで蔑めば気が済むのか...
かの堕天使ルシファーが神に背き地に叩き落とされたときもこんな感じだったのか。いや、私は神でも天使でも悪魔でさえもない。堕天使にすらなれない。か細い蜘蛛の糸にすらでも縋りたいただの醜い悪人なのだ。

ーーーーーー もう半分は堕ちただろうか...

頭の中に走馬灯のように生々しい記憶が蘇る。悪いのは貴方ではない、私が悪いのだ。欲望による渇きを潤し、欺瞞していた。それにもかかわらず貴方と同じ世界に涼しい顔をして跋扈していた。我が物顔で貴方を支配していた。
勿論、罪悪感や後悔に苛まれなかったわけではない。いや、寧ろその罪悪感が徐々に薄れていくことの方が怖かった。

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