読書猿『独学大全』の読み方【最初にすること】
独学で何かを学びたい人にうってつけの本が届きました!「独学大全」です。
予約してまで買ったので、どうしても欲しかった本です。
でも、読みはじめるまでに時間がかかりました。
なぜなら、本書はとても分厚くて、内容が超濃いことが分かっていたからです。
というのも、僕は読書猿氏のウェブサイト「読書猿Classis」の長年の読者でした。サイト内容の充実度を知っていたため、今回の本の内容が濃いことを予想できたのです。
また、前著の「アイデア大全」「問題解決大全」の情報量の多さとその網羅性にも圧倒されていたことも一因です。
そして、本書「独学大全」に著者の相当な思いとエネルギーが注がれていることが分かっていたことも、その理由です(完成までに3年かかったそうです)。
この本を手にとった方の中には
うわ~「独学大全」が届いたけど、読むのが大変だな~
分厚いし、後で読もう~!とりあえず積読にしておくか
と思った人もいるのではないでしょうか。
実際僕もそのように思っていました。「独学大全」が届いたのがちょうど夜だったので、仕事を終えた後のエネルギーが少ない状態で向き合える気がしませんでした。
そのため、翌朝から読みはじめたというわけです。
でも、実際に本を開いてパラパラとめくっていると
どの内容も文章量も情報量も多くて、どれから読めばいいのか分からん!
と思ってしまいました。
「これは、ある程度最初の読み方を工夫しないと挫折するな」と感じてしまったわけです。そのため、自分なりに工夫して読みはじめてみました。
そこでこの記事では、本書を読み進めるために、「はじめの一歩」としてやったことをご紹介します。
*本書の巻末には「独学困りごと索引」という付録がついています。この索引は、独学者の疑問に対して本書のどこを読めばいいかを示してくれています。そこには次のように書いてあります。
・この本の使い方が分からなくなったら
→「本書の構成と取説」(を読め)
→「独学困りごと索引」(を読め)
・この本が分厚すぎて心が折れそうになったら
→「本書の構成と取説」(を読め)
→「技法35 必要なものだけ読みとる『掬読 Skimming』」(を読め)
確かにこの通り読めばいいはずなのですが、それを一読者として実践した例を示せればいいなと思い、記事にした次第です。
今回示すのはあくまで読み進め方のはじめの一歩にすぎません。本書は一回読んで終わりでなく、辞書のように、困った時に何度も読み直すような本だと思います。
一つの読み方の例として参考になれば幸いです。
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2月にAudible(オーディオブック)版も発売されました。書籍版が分厚くて苦手だなという方は聴きながら慣れることをおススメします。
最初の1冊は無料で聴けます。僕も聴いていますが、書籍よりもとっつきやすいです。
*判断基準の一つは、「長文が苦手か、堅い文章が嫌いか」です。分厚い本が苦手な方はオーディオブックの方をオススメします。
文章が苦手な方は、書籍を買ったとしても最後まで読め切れないと思います。
逆に書籍を読む気概がある方は、ぜひがんばって使い倒しましょう!この記事がその参考になれば幸いです。
『独学大全』の概要と必読書だと思う理由
本題の前に、「独学大全」について紹介させてください。
この本は「読書猿Classic」というウェブサイトを運営する読書猿(くるぶし)氏が記した書籍です。
「独学」について、以下のことが体系的にまとめらています。
なぜ学ぶのか
何を学ぶのか
どう学ぶのか
考えから具体的な方法まで、ギッシリ詰まっています。
具体的な手法として55個の技法が紹介されおり、そのどれをとっても有益だと思えるものばかりです。
正直、「独学大全」は必読書だと断言できます。なぜなら、独学で何かを学ぶ気持ちがなくても、「何かを調べる・学習する機会に必ず役立つ」と思えるからです。
*ただし、何かを学びたいという気持ちがない人には必読書ではないです。
本書はとも分厚くて(752ページ!)、内容もめちゃくちゃ濃いです。そして値段が少し高い。
でも、値段分の価値はあると思います。
なぜなら一生使えるからです。死ぬまでに「何かを学ばない」という人はそうはいないでしょう。
それが「独学」ではなくても、何かを学ぶ際に本書を読めば、どこかしらヒントとなる箇所が見えてくるはずです。
僕は現在会社員として仕事をしていますが、もっと早く欲しかったなと思っています。
・受験生の時に欲しかった本
・大学生の時にレポートや論文を書く際に欲しかった本
・今の仕事でも欲しかった本
・プライベートでの読書でも欲しかった本
だと思っています。
簡単にまとめると、この本が必読書である理由は、現在の情報社会で何かを学ばずに生きていくことは困難であり、その「何かを学ぶこと」の「お助け辞書」として本書が役立つからです。
単行本↓
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読書猿『独学大全』の読み方【最初の10ステップ】
さて、本題です。本書を読み進めるはじめの一歩として、次のようにな手順を紹介します。
僕はこのやり方で本書を読み進めたところ、本書の概要を掴むことができました。
『独学大全』の読み方【最初の10ステップ】
Step1.「本書の構成と取説」を読み、読書猿氏の意図を知る
Step2.『独学大全』の「目次」を3分くらいかけて1,2周する
Step3.パラパラと『独学大全』をめくる
Step4.最後のページまでめくり終えたら、もう一回「目次」を読む
Step5.付箋を貼った箇所と、気になる箇所を部分読みする
Step6.「あとがき」を読む(読書猿氏の想いが知れて良い)
Step7.「イラスト対話部分」と「コラム」を読む
Step8.『独学大全』の「序章(はじめに)」を読む
Step9.最初から見出しと太字部分を追ってめくっていく
Step10.この後は人による(詳細読む、辞書として使う、違うインプットをする)
「はじめの一歩」と言いながら10個もステップがあることはご愛嬌。10個もステップがありますが、1つ1つはそこまで重くない読み方です。
時間にしても、本書を最初から最後まで通読するよりも、はるかに短い時間で済むでしょう。
本書は分厚く(752ページもある!2回目)、かつ内容が非常に濃いものです。そのため、これくらいが「はじめの一歩」として良いのではないかと考えています。
あくまで個人的な読み方の例ですが、参考になれば幸いです。
注意!!!「序章(はじめに)」は熱い内容ですが、最初から読むと尻込みする人もいるかもしれません。
本書の概要を掴み、内容や論理が理解できてから読むことをお勧めします。
そのため、僕はStep8. 「序章(はじめに)」を読むとして8番目に読みました。
Step1.「本書の構成と取説」を読み、読書猿氏の意図を知る
まず最初に読むべきは、本書の冒頭のp33~p39にある「本書の構成と取説」という部分です。著者の読書猿氏が描く頭の中を、全体像として掴むことができます。
ここには文字通り、本書の構成(どこに何が書いているか)と、本書をどのように扱えばいいかが書いてあります。
「目次」の前に独立して書かれているので、とても分かりやすいです。
まずはこの「本書の構成と取説」を「目次」よりも先に読むことをオススメします。
こちらを読み進めると
それぞれの章は独立して読める。関連ある事項にはついては文中にそれぞれ参照べきページが記されている。(p35)
と記載があるように、全部最初から順番に読む必要がないことが分かります。
Step2.『独学大全』の「目次」を3分くらいかけて1,2周する
次に「目次」を眺めていきます。本書は次のような3+1部で構成されています。
第1部は「なぜ学ぶべきか」という問いに答えるもの
第2部は「何を学ぶべきか」という問いに答えるもの
第3部は「どのように学ぶべきか」という問いに答えるもの
第4部は第1部から第3部のケーススタディ
「目次」には、部よりも細かい章や、コラムなどのタイトルと該当ページが記載されています。これらを読むことで、何となくどんなことが書いてるかイメージします。
この時点で気になりそうなワードを覚えておくといいかもしれません。
3分ほどかけて目次を往復することで、内容がイメージしやすくなります。
Step3.パラパラと『独学大全』をめくる
次に最初から1ページずつめくっていきます。
しかし、文章を読むわけではありません。ページをめくりながら、見出し部分のみを読んでいきます。
このことで、目次でイメージした本書の概要との答え合わせをしていきます。
もちろん、実際は文章を読まないことには分かりませんが、何となくめくることで、本書に「慣れ」ていきます。
本書には「技法35 必要なものだけ読みとる『掬読 Skimming』(p470)」という技法が紹介されていますが、これとはちょっと違います。
「技法35 必要なものだけ読みとる」とは、本書には
読むべき部分と(当面の目的のためには)読まなくてよい部分を見分け、読むべき部分だけを読んでいく技術
と説明されています。
しかし、この3番目のステップはこの「技法35 必要なものだけ読みとる」ではなく、「見出しだけ読んでいく」という方法です。
必要かどうかは関係なく、見出しだけ読んでいくことで、本書の概要をつかむヒントにするのことが意図です。
気になったところはそのまま文章を読んでもいいと思いますが、さらっと読むまでにとどめておき、深入りしないことをオススメします。
ここではあくまで全体像をつかむことが目的だからです。
どうしても深入りして読みたい箇所がでてきたら、付箋を貼って次のページに進みましょう。
Step4.最後のページまでめくり終えたら、もう一回「目次」を読む
「Step3. パラパラめくる」を 最後のページまで終えたら、もう一度「目次」に戻って目次を読んでみます。
「目次」で本書の概要を再度イメージし、先ほどまでめくっていたページの見出しとリンクさせていきます。
ここまですると、本書の内容がより身近になったのではないでしょうか。
また、目次を2回目として読むことで、気になる箇所がでてくると思います。
そこがあなたの「読みたい」箇所の一つであるはずなので、そこにペンなどで目印つけましょう。
Step5.付箋を貼った箇所と、気になる箇所を部分読みする
次に本書の詳細を読んでいきます。読んでいくとは言っても、最初から一文一句を読むわけではありません。
「Step3. パラパラめくる」や「Step4. もう一回『目次』を読む」で目印をつけたと思います。そこで貼った付箋のページや、目次に引いた書き込みの箇所のページに飛んで読む形です。
正直、このステップは「全体像を掴む」という意味ではスキップしてもいいと思います。
ただし、「鉄は熱いうちに打て」という言葉があるように、「気になったところは先に読め」ということも言えると思います。
そのため、気になる箇所は細部まで読んでみるといいでしょう。
Step6. 「あとがき」を読む(読書猿氏の想いが知れて良い)
ここで「あとがき」を読みます。「あとがき」には、著者の読書猿氏がどのような意図で書いたのか、その背景や完成までの裏話が書かれています。
ここまでのステップで本書の全体像が分かりつつあると思いますが、「あとがき」を読むことで、本書、および著者の読書猿氏への親近感が湧くはずです。
序章(はじめに)よりも短くまとまっており、あとがきを優先して読むことをオススメします。
Step7. 「イラスト対話部分」と「コラム」を読む
この段階で本書の概要が掴めた方は、本文を一文一句読みはじめてもいいと思います。
しかし、僕はまだその気になれなかったので、比較的読みやすい「イラスト対話部分」と「コラム」を読みました。
「イラスト対話部分」では、「親父さん」と「無知くん」というキャラクターの対話のページです。
この対話を読むことで、章を読み進める前の心構えなどが分かります。
「コラム」では「金のない独学者に何ができるか」など、コラムというよりも「本書の技法」と数えられるようなノウハウが書かれています。
こちらの「対話部分」と「コラム」も全て読むのではなく、気になるところだけ読むでもいいと思います。
ここまで読み終えると、かなり本書に馴染んでいるはずです。
本書を初めて手にした時の「圧倒される感覚」も、少しずつ薄れているのではないでしょうか。
Step8.『独学大全』の「序章(はじめに)」を読む
ここでやっと「序章」を読みます。
普段、僕は本を読む時に「目次」か「はじめに」から読みはじめますが、本書では難しいと判断していました。
全体像が何となく見えてきたこの段階で、万を辞して序章を読むくらいでちょうど良かったです。
実際に読んでみると、やはり読解するのにエネルギーが必要でした。序章だけでも、何回も読まないと深くまで分からないと思います。
もちろん、序章を1,2回読むことだけでも、本書とその活用方法のヒントが得られるはずです。
Step9.最初から見出しと太字部分を追ってめくっていく
ここでもう一度最初から読み直します。
「Step3 パラパラとめくる」では見出しのみを追っていきましたが、ここでは「見出しと太字部分」を追ってページをめくっていきます。
文章を全て読むわけではありませんが、前回より具体的なキーワードを追って読むことになります。
この段階では、気になるところはそのまま詳細を読むと良いと思います。内容が頭にはいりやすいでしょう。
Step10.この後は人による(詳細読む、辞書として使う、違うインプットをする)
ここまでお疲れ様でした。これで最後です。
ここまでくれば、本書の全体像を掴んでいることでしょう。そのため、僕が例として示せるのはここまでです。
「独学大全」を読み進めるはじめの一歩としては充分ではないかと思います。
この後にどうするかは、本書を読む人それぞれによって違ってくるでしょう。大きく分けると、次の3種類になるはずです。
(1)一言一句じっくり読む
(2)気になるところだけ読み、近くに置いて辞書として使う
(3)書籍以外のインプット方法を試す←(2021/2/27追記)
(1)一言一句じっくり読む
本書を最初から最後まで一文一句読む方法です。
いわゆる精読というやつです。かなりの時間がかかると思いますが、それだけの価値があります。
なお、本書にはこの「精読」について、いくつかの技法が紹介されています。これらを参考にしてもいいはずです。
精読パート技法41 刻読(p512)
技法42 段落要約(p522)
技法43 筆写(p528)
技法44 注釈(p534)
技法45 鈴木式6分割ノート(p546)
技法46 レーニンノート(p554)
(2)気になるところだけ読み、近くに置いて辞書として使う
こちらは一言一句を読むのでなく、気になるところをまず読みます。しかし、その後は辞書的に本書を使います。
つまり、気になるところだけを読んだら、その後は無理に読むのをやめることです。もちろん、読みたいところは読めばいいのですが、無理に読もうとして挫折するだけです。
それよりも、今後何かを学びたいタイミングで、その都度本書を参照していく方が有効でしょう。
(3)書籍以外のインプット方法を試す←(2021/2/27追記)
書籍で何となくイメージが掴めたところで、「本書を本格的に読むのが大変だな」と感じた方は、書籍以外のインプット方法を試すと良いでしょう。
例えば、音声でのインプットしてみることや、読書猿氏のブログを読んでみることです。
音声でのインプット方法は、Kindle版での「読み上げ機能」か、Audible版でオーディオブックとして聴くといいと思います。楽にインプットできます。
『独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 Kindle版』
『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法Audible版 – 完全版』
他の方法としては、読書猿氏のブログ『読書猿Classic: between / beyond readers』を読むことです。
独学大全は読書猿氏のブログが元になっているので、ブログ記事で気になるところを読みながら学習すると理解が深まります。
おまけ:余裕があれば「序文の序文」を読む
追記(2020/10/26)
ウェブにある読書猿氏の対談記事が参考になります。「序文の序文」として読めるかもしれません。著者の読書猿さんと、Dainさんとの対談です。
「スゴ本」の中の人が「読書猿」に聞く ―― 問題解決としての『知』とは?-はてなニュース
「問題解決の場」としての図書館――スゴ本&読書猿対談 続篇 -はてなニュース
ただし、こちらの対談記事も長文です。内容が濃いため、ある程度余裕があるときに読むと良いと思います。
最後に
一通り本書を読みましたが、正直なところ、「全て理解した」とは到底言いきれません。現在も何度も読み直している最中です。
しかし、今回紹介した方法で読みはじめたことで、内容がより理解しやすくなったと思います。
とはいうものの、本書の本当の価値は「実際に自分で独学してみて初めて分かる」ものだと断言できます。
もちろん、どんな物事においても「知っていること」と「実際にできること」には大きな差があることは承知しています。
しかしながら、今後死ぬまで続くであろう「何かを学ぶ」という行為に対して、本書「独学大全」がぞばにいるだけで、心が強くなれる気がします。
書籍版↓
Kindle版↓
Audible版(オーディオブック版)↓
*最初の一冊は無料なのでオススメです
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