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佐渡の食備忘録

京都辺りで言われるのが
梅雨の水を飲んだ鱧は旨い
鱧は決して川に棲んでいるわけではない
ちょうどその頃の季節が鱧が旬を迎えるのであろう。

ボタン鱧

佐渡の父親が昔話していたことに
雪解けの水が貝を旨くする
確かに日本の歳時記や歳事記の中で食材の旬という記載がある。

荒れる冬の佐渡海岸

旬とは走りから旬までは大体一週間と言われていた
そして出盛りになり、名残りという表現を使う。
登場した鱧はお盆を過ぎると名残の鱧と言われる。

佐渡の磯場

盛夏の頃佐渡島でも素潜りや磯遊びでサザエやアワビ
トコブシ、シッタカ、カメの手、クロクチイガイ、イガイ
色んな貝がとれる季節であり、口にすることが多く
それはそれなりに旨いのである。

浅瀬でも素潜りでこんなものがとれる
シッタカ貝もゴロゴロある

往々にして夏の貝は身に栄養を蓄えるより
成長の為に貝殻に栄養がゆくので
珍しさはあるが味の点でいえば
正直旨くない季節なのかもしれない。

2月から3月が日本料理の食材の旬も貝類の旬は桃の節句の頃と記され
寒の岩海苔の二番摘みが終える頃
雪も解け始めた佐渡の貝類も旬を迎えるのであろう。
雪解けの水とは寒海苔も雪が多い年は出来が良い。
あれだけ荒波に洗われる岩
海水だけで成長するだけではなく
岩に含まれるミネラルが雪解け水と一緒になり
あの芳醇な海苔の味と香りを生む。

岩海苔は早春
寒風で板海苔にする

弥生三月頃舟を出して沖合の島に渡る
波しぶきを避けながら
タガネで岩肌に群れる佐渡ではセと呼ぶ
そんな貝をしこたま採るが
これらは分類上は甲殻類エビカニと一緒。

カメの手
クロクチ(ムラサキイガイ)
グメ(マツナガイ)
フジツボ

舟から上げて御用篭ごと水道でジャージャー流す
大きめの鍋を沸騰させそこに貝類を無造作に放り込む
台所には湯気と共に磯の香りが広がる
クロクチの蓋が空けば塩ゆで完成。

これはご飯のおかずにあらずそして酒のつまみではなく
贅沢なおやつである
佐渡の人達というか我が家では塩ゆではおやつ。

淡いオレンジ色のクロクチ


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