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一日一妖

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ほぼ一日につき1つ妖怪や伝説、不思議な話をUPしていました。 自分自身もしらなかった話を紹介できるようにしています。
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#伝承

霊穴

霊穴 戸井町史  戸井村と旧亀屋村(現函館市)の境に標高四〇八米の丸山という山がある。この山には昔から龍神が居ると言われ、霊山として旧五月五日に大漁祈願の参詣人が数十人登山した。  鳥居の前に煙草をおいてお堂のあるところまで登る。龍神は煙草を嫌うと信じられ、鳥居をくぐったら煙単を吸わない。  お堂の近くに北向きの穴があり、その穴の中に龍神が居ると信じられている。  参詣の人々は穴の前に持って行った卵、魚、赤飯などを供え、鰮、鮪、鰤、いかなどの大漁をそれぞれ祈願し、お堂の所へ

お釜稲荷

 昔のこと、 一升釜を下げた老人が現れて、ちょっとした占いから、予言といえるような大きな事まで百発百中でした。  人々がたくさん教えを乞いに来ました。特に教えることもなぬ、持っていた一升釜でご飯を炊いては「さあ、食べなされ」といってどんどん振る舞いました。  しかし、一向ににご飯はなくならなりませんでした。  村人が不思議に思って尋ねてみると、「 我は、これより三十里離れた山奥に住む平八稲荷である」といって、姿を消してしまったそうです。  それから数百年後、足助の領主・

現人神社のこと

現人神社のこと 現地の説明版  現人神社は住吉三神を祭祀した中ではもっとも古い社といわれています。  この社の名前の由来は、神功皇后が三韓遠征した際の伝説にあります。  この社の神がうつしみをもって、 軍船の舳先に御形を現し、皇后を守り、無事凱旋を果たしたといいます。    皇后はそれに感謝し、現人明神の尊号を送りました。  また、その感謝の一環として、用水路を通すことにしました。  工事は順調に進みましたが、大岩が現れ工事は止まりました。その際に皇后が竹内宿祢に命じ祈ら

天狗壁

天狗壁 福井の伝説  昔、杉山(勝山市)に清五郎という男がいた。  ある日の大きな天狗壁という大岩壁のそばで薪割をしていた。  夢中で作業しているうちに自分の周りで大勢の天狗が太鼓をたたきながら騒いでいました。  おもしろくてつい眺めていたが、天狗がやめたので家に帰ることにした。  帰ろうとして斧を持つと柄が腐って壊れていた。  家に戻ると葬式の最中だった。  誰の葬式だろうと訊ねると驚かれた。  その葬式は自分のもので、杉山にいってから三年が過ぎていた。

二人の聖児

二人の聖児 三国遺事 三国史記  楊山の麓に白い天馬と卵が天降った。天馬は去ったが、残った卵の中から神童が生まれた。    卵は瓠のようであった。そのあたりの言葉では瓠を朴といったので、男児の性を朴と呼んだ。  その体は光り輝き、鳥や獣は歓喜の踊りを踊り、月と太陽も明るく輝きその誕生を祝いました。  それを見て「世の中をその光で治める」という意味の「赫居世」と名付けられた。  これを聞いた人々が閼川の岸に集まって、口々に祝いをいって騒いでいた。  今まさに天子が降りてきた

しめ縄をしない理由

しめ縄をしない理由 神山町の伝説  昔、正月十五日の朝、ある若者が村にくると、大きな声で叫んだ。 「みんなきてくれ。正月の神さんが峠で落ちて、道に迷って困っている」  人を集めて峠に向かった。  神様が「阿波のすべてのところに行っていたわれわれの仲間が、神社に集まって、今日、伊勢へ帰ることになっている。ところが道に迷って、間に合いそうにない。送ってくれないだろうか」  そこで足の達者な2~3人で大野の大桜峠まで送って行くことにした。  その道すがら神様は各地で見聞したいろい

蛇王様

蛇王様 阿波の土俗(七)  かつて藪林の中に蛇王大明神があって願い事がかなうといい非常にはやった。  しかし、大明神といっても祠や社といったものはなく、幟を立てて賽銭箱を置いただけのものであった。  竹伐の男が大蛇の尾を見て逃げ帰り村民に伝えたのが始まりという。  しかし、警察署が参詣を禁じ、蛇王様も廃されてしまった。

山窩の娘

山窩の娘 羽黒山夜話  山のバッコと呼ばれた美しい山窩の娘が茶屋をしていた。   あるとき、常民の男たちと伊勢参宮に行ったが、琵琶湖で龍神の人身御供にとられた。  バッコは琵琶湖に身を沈めながら、 「私の悪口を言ったものは亡くなります」と話した。  その言葉通り、彼女を悪く言ったものは三年以内に死んだという。

鬼門日 110

鬼門日 続・伊勢の民話  方座浦には、1月10日には十日祭と呼ばれる歳時が行われる。  これは五穀豊饒、無病息災、大漁万作、福の神を祈る。  その昔、1月10日に方座浦で大火災があった。村が半分焼ける火事であったという。  その年とは違う同じ日にも、船がしけにあって大勢が亡くなった。   この日は何もないことを願い、祭りをなくしてはならないという。

桜樹の祟り

桜樹の祟り 横手郷土史  江戸時代までは、花見といっても、公園はなく、山野のものを見る程度であった。  明治の頃になって桜を眺めるようになり、瀧の澤は桜の名所となった。  三年ほどがすぎた頃、金澤の某という男が、そのあたりの桜を買い取り、斧を持って切り、炭焼をはじめた。  横手の寺では人々の楽しみが失われると、金を揃え、某に渡して、桜を伐るのをやめてもらうように頼んだ。  某は金をうけとったものの、桜を伐るのを止めなかった。  そうして瀧の澤は無残な様になった。  某はその

裁きの道

裁きの道 道志の伝説  十王堂の前のこうろん橋を中心に走る六道の分かれ道をいう。  六本の径は御堂の主の閻魔大王の取り調べを受けて、極楽や地獄に行く径だという。  一本は氏神様に通じている。氏神様の境内では、神様と仏様が喧嘩したり化け物が出るのを見ることがあったという。

今日之怪事

今日之怪事、様々な文献や資料から、妖怪や伝承に関して、日付にフォーカスしてまとめた本です。 今日之怪事(上) 上巻には1月から6月までと、それに付随して集めた様々な伝承が200弱収録されています。 ページ数は200P弱。 今日之怪事(一年ひととせ) 物理的な本が完売したので一年間の記事を集めて編集しなおしたものが、一年分になります。 ページ数は100P強です。ただ、型をB5に変更したので、1P当たりの情報量は多くなっています。

有料
500

天狗大杉

天狗大杉 92.9けんせつ ほくりく 富山の小矢部川沿いにあった大杉。この杉には天狗が棲んでおり、人が通ると砂をまいて驚かしたという。また、普段はついてない枝が川面についたときは変事が起こるといわれ、日露戦争、太平洋戦争の時もそうだったといいます。 しかし、昭和二十八年小矢部川の改修が行われ切り倒されました。 祈祷をしっかり行ったものの、神主は一年半ほどでなくなり、伐採作業をした三人も不慮の事故でなくなりました。

狼の見るもの

狼の見るもの 日本の民話 岩見篇 狼は送り狼といわれ、人を助ける話があります。しかし、助けない場合もあります。これは、相手がいい人か悪い人か見抜けるためです。 その方法は、人間の眉毛を一本見ればわかるということです。悪い人であるなら、体は人間であっても顔は獣であったり、そのまま動物に見えるのです。 その力は狼の眉にあるといわれており、いい人間に貸し与えるときがあります。貸し与えられた人間はどういう風に見えるかというと人の本性が見えるようになります。人間の姿をしていながら