しめ縄をしない理由
しめ縄をしない理由 神山町の伝説
昔、正月十五日の朝、ある若者が村にくると、大きな声で叫んだ。
「みんなきてくれ。正月の神さんが峠で落ちて、道に迷って困っている」
人を集めて峠に向かった。
神様が「阿波のすべてのところに行っていたわれわれの仲間が、神社に集まって、今日、伊勢へ帰ることになっている。ところが道に迷って、間に合いそうにない。送ってくれないだろうか」
そこで足の達者な2~3人で大野の大桜峠まで送って行くことにした。
その道すがら神様は各地で見聞したいろいろなことを話してくれた。
別れ際に「何か礼に望みはないか?」と神様はいう。
「せっきにしめ縄をたくさんするのが忙しくてかなわん」
「しめ縄は大蛇、だいだいは大蛇の目、串柿は大蛇のうろこじゃ。すさのおの命のおろち退治の名残りだから、そんなものしなくてよろしい」
それからしめ縄はしなくてよくなった。
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