19. 一年で最も朝が遅い日。
一年で最も朝が遅いのはいつか。それは日本で東京の場合、元旦である。その事に気づいたのは、つい5年前。始発で出勤していた時である。
5年前の1月、年始の仕事初めの式をよそに、筑波の某研究所まで、2ヶ月ばかり出向になった。出向とはいうが、自分の取った実験サンプルを、同グループの筑波の研究所で質量分析してもらうというだけの話なので、向こうからすると、お世話でしか無い。また、全部向こうのスタッフにおまかせでも良かったのだが、一応機械の使い方くらい覚えてこいとの命令で向かったのであ