近海ハガネ

遅筆病を抱える小説家志望。とりあえず机に向かうところから始めているところ。

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遅筆病を抱える小説家志望。とりあえず机に向かうところから始めているところ。

最近の記事

#30日物書きチャレンジ day17 『殺意』を抱く瞬間を描写

 「よし、いける……!!」  目の前の24インチモニターに、俺はいまだかつてないほどの勢いで全神経を集中させていた。今の俺の姿をもし誰かが見れば、そこには食い入るように画面を見つめる頭のおかしい男の姿が映るだろう。  だが、それも無理のないことだとどうかご理解願いたい。なぜって今俺が挑んでいるのは世界という単身で挑むにはあまりにも高い壁。しかし俺が立つその場所は、その壁の頂点にして終着点。すなわちオンライン上にて行われているゲーム大会の決勝戦である……!!  プレイしているの

    • #30日物書きチャレンジ day15

      客「へぇー、こんなところでお祭りなんかやっていたんだ。ちょっと覗いてみるか」  「ずいぶんにぎわってるなー。ん? ミックス屋台? 面白そうだな。大きいし、ちょっと入ってみよう。すみませーん」 店主「はいいらっしゃい! お客さん、どれで遊びます?」 客「実は今日初めて来たんで、よくわからないんですよ。ていうか、ミックス屋台ってなんですか?」 店主「ホラ、お祭りで屋台って言ったら大体どんな屋台があるか決まり切っているでしょ? くじ引きとか、射的とか。そこで斬新な屋台を出そう

      • #30日物書きチャレンジ day14 誤解をテーマに随筆

        自分も含め誰しも誤解しがちだが、これを読んでいる人も読んでいない人も、誰しもが無事に明日を迎えられる保証なんかどこにもないのである。 人間はいつか死ぬ、という話ではない。人間はいつか生きていられなくなるという話だ。例えば、道で歩いていただけなのに車にひかれる。例えば、刃物で刺される。地震が起きて、電柱か建物の下敷きになる。例えば、電車の事故に巻き込まれる。例えば、乗っている飛行機が頭から墜落する。 家の中でも安心はできない。階段から転げ落ちる。ぼっとん式の便所で爆発が起き

        • #30日物書きチャレンジ day13 恋愛 時代物で400字

           神社の境内で茂みの中に隠れながら太一は昼時だなぁと思っていた。  太一の頭上で、茂みを掻き分ける音がする。枝葉を割って覗き込んできたのは、遊び相手の梅子だった。  「太一みーっけ!」  「見つかった」  負けを認めた太一が出てくる。全身に葉っぱを引っかけたその様子がおかしくて、梅子はたまらず笑った。  「なぁに?」  「ううん。それより、昼ごはんだよ。うちに帰ろうよ」  「そうだね。あ、あの人」  太一が指をさす。そこには天秤棒を肩に「ひゃっこいひゃっこい」と叫ぶ男が居た。

        #30日物書きチャレンジ day17 『殺意』を抱く瞬間を描写

          #30日物書きチャレンジday12

           ホイッスルが湿った空気を引き裂いた瞬間、俺は冷たいプールの中へと飛び込んだ。体が水中へと滑り込み、次の瞬間には水面へと浮き上がる。そうなれば次はひたすら前へ進み続けるのみ。  壁につく。目視ではなく、何百何千と50mを泳ぎ続けた体が理解した。全身を丸めてターンをし、また50mへと漕ぎ出していく。  「はぁ!」  泳ぎ切った俺はゴーグルを上げると後輩を見た。  「記録51秒78!」  「っしゃあ自己新だぁ!!」  プールの中で俺は吠えた。2年になってからのスランプを、今日初め

          #30日物書きチャレンジday12

          #30日物書きチャレンジday11

          タイムリープ名探偵  「私が名探偵だ! 謎は全て解けた! 犯人はお前だ! 事件はこれからだ!」  洋館の一室に飛び込んできたトレンチコート姿の自称名探偵を殺人鬼は見た。ナイフを死体から引き抜きつつ、そっけなく探偵に告げる。  「もう終わりましたけれど」  今、最後の一人を殺したのだ。他の四人も死体になって転がっている。  「手遅れですよ。名探偵さん?」  「甘いな、殺人鬼クン?」  「なに?」  不敵な笑みを浮かべる探偵の顔を見て、殺人鬼は動揺した。まさか、計画は完璧のはず

          #30日物書きチャレンジday11

          赤いキスマーク

           俺こと、坂城修平が窓に赤いキスマークを見つけたのは、じめじめとした雨が続く六月のはじめのことだった。  「なんだ? これ……」  キスマークは普通の人間の口と同じくらいで、大きくも小さくもない。妙に黒ずんでいるように見える以外は、漫画のようなフィクションで表現されるキスマークそのものの形だ。口紅をたっぷりと塗りたくった唇を、揃えてそのまま窓に押し付けた跡にも見える。  「外側からなのか」  キスマークは窓の外側についていた。昨晩、寝る前に見たときは何もなかったはずだ

          赤いキスマーク

          自己紹介文

          日本在住の遅筆病患者。遅筆というよりは執筆スピードとテンションとモチベーションにムラがありすぎるだけな気もする。小説の感想は140字以内でも可。なんなら面白かったの一言だけでもオッケーです。

          自己紹介文