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クラウドファンディングという選択

地域の場づくりラボ第3回のイベントです!
今回は資金調達の選択肢としてクラウドファンディングを行ったゲストをお招きして、学びを通したイベントを行いました。

講師紹介

鳥居

鳥居 秀憲 さん

十和田市内で「レトロゲーム秘密基地」というレトロな駄菓子屋ゲーセンの代表を務めています。五戸町出身で上京してゲームに関わる仕事や飲食店の経験を経て、十和田市に移住し昔からずっと好きだったレトロゲームを使ったゲーセンを開業。現在は移転中だが移転前は1階がレトロゲーム、2階がゲーム好きのためのバーとなっている。

▼レトロゲーム秘密基地のTwitterはこちら
https://twitter.com/living_bird

イベント概要

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実際に何か活動するとなった場合に必要となる活動資金...

その資金の調達方法としてクラウドファンディングを選択し、全国各地230人以上から300万円以上の支援を受けた講師の方をお呼びして、クラウドファンディングを選択した背景や多くの支援を呼ぶために行った施策やノウハウ等について、ざっくばらんにお話していただきました。

また、活動資金のお話だけではなく、活動の根幹である活動におけるストーリーや想い・思考等の一番大事なことについてもお伺いし、イベントの最後には運営側で用意したテーマをもとに、講師の方や参加いただいたみなさんとディスカッションの機会をつくり、お話いただいた内容のさらに深堀りを行いました。

実際のクラウドファンディングのページはこちら
https://camp-fire.jp/projects/view/363523

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発表内容

鳥居氏 登壇資料_page-0001

講師の鳥居さんからはスライドを使ってお話を伺いましたので、その一部をまとめました!

▼自己紹介、経歴
1971年生まれ、青森県五戸市出身。実家が駄菓子屋ゲーセンを営んでいた。
高校卒業と同時に上京し、システム会社やゲーム会社でそれぞれ10年ほど働き、20年ぶりに帰郷した。
その後、地元のシステム関連の会社に従事しながら、ゲームの筐体を集め、2019年にレトロゲーム秘密基地を開業した。
しかし、開業してから1年が経過した頃にコロナ禍となり、存続の為に移転を決意しクラウドファンディングで資金を集め、2021年10月現在は移転先を改装中。

▼レトロゲーセンを始めた動機
帰郷した際に楽しみにしていたことがあった。
それはゲーセン・喫茶店・映画館・喫茶店などの友達と過ごした思い出の場所を巡ることだったが、予想していた通りすべて無くなっていた。
特にゲームセンターは、実家が駄菓子屋ゲーセンだったことや、ゲーム業界の黎明期から衰退までを、業界の中と外から見てきたこともあり、思入れがあり、自分たちが一番楽しかった空間を再現して、楽しんでもらいたいという思いから、レトロゲーム秘密基地を開業することに決めた。
また、レトロゲームは思い出深いタイトルを集めることによって、かつてのファンを呼び戻せるのではないかと考えた。

▼始める為にどんなことをしたか
・趣味で集めていたゲーム機を継続して集めた
・ゲーム機を集めると同時にブログやTwitterを初めて情報発信
・自己資金を貯める
・場所選び
・最後に十和田市の創業支援に相談した(資金面ではなく事業計画の意見をもらうため)

▼移転に向けた動き
開業2年目でコロナ禍となり、客足が遠のき、現状の固定費では継続が難しいと考え移転を決意した。
移転前の物件は2階建ての物件で、それぞれに家賃等の固定費がかかり、出入り口も別となっており、1階のゲーセンに入っても2階のバーには入りづらい状況となっていた。
移転後の物件は、固定費を下げられゲーセンとバーを併設でき移転前より広い物件を探した。

▼クラウドファンディングを選んだ理由
・すでに借入れがあったので、これ以上の返済額を増やすことが厳しかった
・存続を望む声がどのくらいあるのか知りたかった

▼クラウドファンディングをやってみて感じたメリット、デメリット
●メリット
返済の必要がない、店の存在をもっと知ってもらえる

●デメリット
支援額に見合ったリターンの設定、目標未達成だった場合の資金の使い道
(目標未達成でも支援を受けられる方法だったので、未達成だった場合の対応も考えなければいけなかった)

▼クラウドファンディングの企画、リターンの設定、想定していたこと
固定費等の点から継続するための移転であるが、これを機にコロナ禍でも感染対策に配慮した空間を作ることを企画にした。
目標金額の設定は物件所取得費用、移転資金、運転式から500万円の設定とし、リターンはオリジナルのグッズや体験型のものを用意した。
想定としては、正直いくら集まるかは全く予想はつかなかったが、Twitterフォロワーが3000人いたので、やる価値はあると考えていた。

▼支援を集めるため施策
他にも存続の支援を集めるゲーセンのクラウドファンディングがあったので、それらを見て、差別化することを考えた。
告知や拡散はTwitterやブログを使って段階的に投稿を行った。しかし、これは戦略的にやったつもりは無かったが、思い返すとこのような流れがあったと後から気づいた。

▼SNSの有効利用、Twitterの増え方
マイナス感情の投稿はせず、コメントにつながるような投稿内容を意識した。例えば、「新しいゲームを買いました」だけではなく、「昔友達に貸して返ってきませんでした」など思い出を添えて投稿する等です。
Twitterのフォロワーはオープン当初は300人程だったが、クラウドファンディング開始時は3000人となっており、終了時には5000人を超えており、SNSの拡散力や影響力の大きさを感じた。

▼クラウドファンディングの結果
目標金額の500万円に対して約60%の300万円を超える額が集まり、移転に踏み切ることができました。
ここまで達成できた要因は、オープンする前からのブログやTwitterで思いを発信していたことで、下地ができており、常連さんたちの口コミやSNSの拡散によるところが大きいと思います。
もし、50%未満の達成であれば移転は断念し移転前の店舗でいけるところまで頑張って営業して閉店することで考えていた。しかし、それでもゲーセンが好きなのでまた資金を貯めて一からやり直すつもりだった。
結果的には移転の道筋ができたのでやって良かったと思う。

▼資金の運用、使い道など
使い道としては物件所得費用、DIYの工具・材料費になります。
建物の劣化が予想以上に酷く前面的な改装となり、ほぼ全てDIYなので思ったより時間とお金がかかっている。

▼今後の展望、活動への思い
●今後の展望
店を完成させて営業を再開し、地元の身近なゲームスポットとして、いつまでも居たい場所であり続けたい。

●クラウドファンディングを利用される方へ
・小さい活動から始め、その後は継続していくことが大事
・SNS、ブログ、YouTubeなどで発信し共感の下地を作っておくと動きやすくなる
・できる限りの自己資金を用意する
・活動に対して自分がどこまで本気なのか熱意を伝える

▼活動への思い
実家が駄菓子屋ゲーセンだったこともあり、少年時代に過ごした80年代のゲーセンは友達とか家族の存在を感じることができる、大切な思い出の場所でした。
自分が一番楽しかった時代の雰囲気を体験できる場所を作りたかったことが活動の理由であり、人生を懸けてやり続けたいと思います。
今熱中していることや過去に熱中していたことを今一度、見つめ直すことで一生続けられる楽しみを発見できるかもしれません。心から楽しむことができたら失敗してもうまくいかなくても後悔することは無いと思います。
今回クラウドファンディングで資金を集められたのも、戦略的なことではなく、普段からの発信で楽しんでいる気持ちや熱意に共感して下さった方からの善意であると肝に銘じています。なので、ご支援ただいた方に喜んでもらえる店を作るのはもちろんのことですが、どんな結果になっても自分自身が後悔ないようにこの活動を楽しみたいと思いっています。
皆さんも一生続けられる楽しみを心から大切にして下さい。心から楽しんでいると自然と一緒に楽しむコミュニケーションの輪が広がっていくので、いつかお互いの助けになっていくと思います。

質疑応答

Q:施策として活用したSNSの更新頻度はどのくらいだったのでしょうか?
A:ご協力を呼びかける投稿のほか今まで通りの日常の投稿も含めて、1日2投稿を毎日していました。

Q:クラウドファンディングを利用するにあたって、リターンの設定などプロジェクトの立ち上げは1人で行いましたか?
A:基本的には1人で行いましたが、クラウドファンディングの運営会社の方に自分で作成したプロジェクトを見てもらい、相談しつつ修正をしながら進めていきました。

Q:クラウドファンディングをやってみて大変だったことはありますか?
A:人前に出たり思いを人に伝えることが得意ではないので、クラウドファンディングの実施に踏み切るまでの葛藤が一番大変だった。

Q:今までの経験で開業やクラウドファンディングに役立ったことはありますか?
A:短い期間でも若い時に様々な職種を経験したことが役立っています。当時は将来性とかも考えずに色々やってみたが、今その経験に助けられている。

Q:一貫して好きなことを続けられるモチベーションはどこから?
A:好きなことを楽しくやっているので、続けられるというよりも楽しくてやめられないという表現が正しい。

Q:クラウドファンディングやSNSでたくさんのファンを集められた要因は何でしょう?
A:SNSで自分自身が楽しんでいることを伝えられていたからだと思う。こちらが意図しなくても見る側は投稿を見て楽しんでいることが伝わっていたんだと思う。

Q:固定費を下げて事業継続する為に移転したとのことですが、移転後に収入を上げる為に考えていることはありますか?
A:移転の目的としては固定費を下げることなので、収入を増やすというよりは黒字に近づけることを考えている。潜在需要はある事業だと思っているので、まずは継続することを最優先に考えている。また、クラウドファンディングとしては継続するために助けて欲しいことだけではなく、協力してくれる方がいるので、その方々が楽しめるプロジェクトや店舗にできるよう考えた。

Q:移転後はコロナ禍に対応できる店舗にするとのことでしたが、具体的にどのようなことをするのか。
A:店舗自体は広くなるのでゲーム同士の距離を空けて配置して人同士の距離を空けられるようにする。また、前の店舗ではゲームスペースには入れてもバースペースには入りづらいという意見もあったので、バースペースに入りやすい店舗づくりにして収益にもつなげていきたい。

まとめ

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今回は資金についてのテーマでしたがそれ以外にも事業に関するストーリーや、鳥居さんの人となりも知ることで活動の根源についても考えながら学べるイベントとなりました!

また、印象的だったことは、SNSの活用に関する内容がクラウドファンディングに限らず事業を行う上でも応用できそうな内容で、参加者の方々の関心を集めており、クラウドファンディングについて学びながらもSNSで行うブランディングについても学びがあった良い機会となりました!
また、最後の活動への思いも鳥居さんの人生を懸けて楽しむことへの熱量がすごく圧倒されました!

鳥居さん並びにレトロゲーム秘密基地の新たなスタート、今後の展望も楽しみですね!ご興味ある方は遊びに行ってみて下さい!

次回予告

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地域の場づくりラボ第4回のイベントは活動拠点の上北地域を離れ...下北地域へ!!tsumuguの小寺さんと共に「若者がチャレンジしたくなる地域とは?」というテーマで対談イベントを開催します!

東通村を拠点にインターンシップや学生向けのキャリア教育、若者を巻き込んだ地域活動など様々な活動を行っている一般社団法人tsumuguさんのもとへお邪魔し、若者を起点として様々な世代を巻き込んで活動していく方法について考えながら、お話を伺っていきます!

また、その活動に至ったストーリーや想い・思考等についてもお伺いし、それらの内容についてオンラインでご参加いただいた皆さんからのコメントも交えてディスカッションをして深堀りしていけたらと思います!

グループについて詳しく知りたい方

こちらの記事に結成の経緯やグループのことについて記載していますので、是非ご覧下さい!

Facebookグループはこちらから!(イベント告知はこちらでしています)→https://www.facebook.com/groups/tiikino.badukuri.lab

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ライター
(株)ビーコーズ|佐藤 佑志(さとう ゆうし)
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