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あえて時間をかける

Tida Panaが誕生した初期の頃から
制作している、さんご玉のお話し。

西表島の海辺には沢山の珊瑚の欠片が
流れ着いています。

この珊瑚をパーツとして
アクセサリーを作りたいなと思い
ビーズを探していたのですが、

当時、材料を仕入れているお店には
加工された珊瑚のビーズしか
売っていませんでした。

今まで沖縄の海の中を
あまり見た事が無かった私にとっては
珊瑚といったら、海辺に流れ着いて風化した
艶の無い真っ白なもの。

色々な店に行って探してみたけれど
その真っ白な珊瑚を使ったビーズが
なかなか、見つからない。

どうしようかなぁ…と行き詰まっていた時に

ふと、

自分でビーズを作ったらいいんだ!

と思いつき、流れ着いた小さめの珊瑚を
拾ってきて、丸く削り、
真ん中に穴を開けてみたのが
さんご玉の始まりです。

真っ白な、お砂糖菓子のような、さんご玉。

「どうやって丸くしているのですか?」
と、よく聞かれるのですが、

実は…

チョキンチョキンと
ハサミで削っているのです!

機械を買って使ったら
もっと沢山、綺麗に早く出来るのだろうけど
お金をかけずに家にあるもので
作ってみたくて。


左手に珊瑚を持ち、丸くなっていく感じを
指で確かめながら
ハサミでチョキンチョキンと削っていく。

何とも効率の悪い地道な作業。

けれど、
「まーるくなーれ、まーるくなーれ」と
思いながら、ゆっくり時間をかけて
指の間で丸くなっていく感じが
とても心地良いのです。

出来上がった、さんご玉は
ふわっと軽く、ちょっと歪で、みんな違う。

沢山作れないからこそ
ひとつひとつが愛おしくて

沢山作らないからこそ
海辺の豊かさが保たれる。

だから、今でも
当時から変わらない手法で作っています。

さんご玉を包み込むように編んだ紐は
実際に生きている珊瑚の色に近いものを
選びました。

金具は、時間の経過とともに
味わいが出てくる真鍮を使用しています。

長い年月をかけて
ゆっくりと成長していく珊瑚。

流れ着いた欠片たちを見るたびに、
海の中では、どんな色をしていたのかな。
なんて、想いを巡らせています。

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