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君は砂丘を見たか⑤

全てを忘却する前に完結させます。

Day3 -前夜-

時は遡って神戸に向かう車の中。
オタクたちは神戸何たるかについて話していた。
「神戸と言えば、船に乗りたくなりますねぇ」
別のオタクがこう返す。
『うどん難民船があるじゃあないか』

「航送代安いっすね」

そんなノリで決まった帰路が、今回のお話。

Day4 -出航-

実はまだ3日目、23時半を回る頃―
3人だけを残したハイエースは三宮の快活クラブを目指して走っていた。
高松行が決定した今、シャワーを浴びたいと云う先輩を送り届けるために。

神戸三宮の路地、オレンジ色に灯る看板の前で要入浴を1人降ろし2人が残ったハイエースは、駐車休憩がてらメリケンパークに向かった。

正直なところもう限界が近づいていた。3日3晩酒は飲むわ夜更かしするわで、睡眠時間が絶対的に足りていなかった。そんな状態で夜行フェリーに乗るというのだから、一休憩くらいしなければならないものである。

もうBE KOBEも見なくていいか…そんな感じで1日が終わりを告げた―

Voigtlander Heliar 40mm F2.8

「BE KOBEするぞ!!」
扉が突然音を立てた午前0時。
ワンショット集合写真を撮って終わろうという合意のもとで2人はメリケンパークに降り立ったのだった。

ここではお見せできない間抜けなポーズで集合写真を収め、また快活に戻ったのは0時10分頃だった。

Voigtlander Heliar 40mm F2.8

0時20分、神戸三宮フェリーターミナルにて。
もちろん予約なぞしていないので、乗船申込書を記入する。
フェリーはこうやって飛び乗れるのがいいところだけれど、実は予約なしで夜行に乗るのは初めてだ。

Voigtlander Heliar 40mm F2.8

何の問題もなく乗船手続きは終了し、航送車の待機列で待たされる。
高松経由小豆島行の深夜便は、高松行乗客の車が後の積載になる。

Voigtlander Heliar 40mm F2.8

小豆島行の積載が終わったのか、ついに我々の順番が回ってくる。
今日の宿はジャンボフェリーの「りつりん2」だ。

Voigtlander Heliar 40mm F2.8

積載順が最後も最後だったわれわれは、もはや寝床の確保を放棄し(なんで?)、うどんの確保に走る。
島うどん、にゃんこうどん、肉うどんがオーダーに走る。
この船では寝床と同じくらい、うどんの確保が重要なのだ。

Voigtlander Heliar 40mm F2.8

味噌餃子がそろそろ胃から去ろうかという頃合いに、沁みわたる肉うどん。
にゃんこうどんは写真にうまく収められていないので、各位は乗船して自ら確認されたい。

RICOH GRIII

うどんを啜っている間にいつの間にやら船は神戸を離れ、高松にその足を進め始めていた。
ゲーセンにござを敷いて寝る人が散見され、うどん「難民船」たるや…と思われる午前1時。

これまで完全に他人事であったけれど、ここにきてやっと寝床探しを始める。
この日の混雑がどれほどだったのかはわからないが、3人別れてではあるものの雑魚寝部屋に寝ころべる場所を見つけ、ふっと気を抜いた隙に意識はもう飛んでいた―


風が恋を運ぶ~♪海を遠く渡り~♪
一度聞いたら忘れることはないだろうそのメロディの音で、4時半ごろ、憂鬱な爽快感とともに起床。

ここからは自分がドライバーだ。
船内から飛び出る高揚感とともに、再度神戸新開地を目指して出発する。

RICOH GRIII

途中、目覚ましに飲料が欲しくなり屋島のセブンイレブンに寄る。
いい空だった。この日は何もかもがみな美しく見えた。
この辺で昨晩の観覧車1周分を効用の単位とする「1観覧車」が産まれた。

RICOH GRIII

延々と国道11号を東へ東へと向かっていたが、途中気まぐれで旧道に逸れてみた。もはやどこだったかは2か月経った今は覚えていないけれど、もう四国の地に来たその選択に感謝しはじめた頃であった。ここで観覧車2周くらいした。

RICOH GRIII

旧道から現道に戻ろうかというその瞬間に、「正解」の景色が現れた。
オタクたちは絶叫し、車を降りる。
その地は、名は後で知ったものだが、青木海水浴場と云うそうな。

Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM
Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM
Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM
Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

ここでは観覧車5周くらいした。
四国に渡るという選択は、言うまでもなく、正解だった。

ひとしきり大騒ぎして、時間が厳しくなろうかという頃合いで、また車は走り始めた。

Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

唐揚げ?いや―

Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM
Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

うどんです。
冷うどんを頼む興ざめな行為の巻き添えを食って、なぜか温を頼んだ自分までも冷にされたこと、いまでも納得がいっていない。

朝食を済ませて、いよいよ神戸へのタイムリミットが怪しくなってきたので、ので?
―けれども、鳴門スカイラインだけは欠かせないというのでまた道を逸れて山道を駆ける。

Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

ひとしきりくねくね山道を走り、四方見展望台でドライバー交代。
時間がいよいよ押していて、時間を守れないオタクであるから、5分だけ!とセルフ念押しをして車外に飛び出す。

Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

四国、良すぎだよ。
砂丘を見る旅とか言っておいて、ここが最大の山場まであるぞ、そう思った。

Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

この辺から記憶が怪しい。眠さが限界だった。
淡路島に入ってすぐ、高速から降りたんだっけか。
とにかく大鳴門橋に絶叫してUターンしたのは覚えている。

Carl Zeiss Planar T* 2/50 ZM

あと謎の漁港に寄った。

RICOH GRIII

淡路島脱出あたりで眠気が覚めて明石海峡大橋に絶叫したりなんだりしていた。走行車線が120km/hで流れる神戸淡路鳴門自動車道、こわいね。

次回予告

今度こそ終わります。


カメラはLeica SL
Adobe Lightroom Classicで現像

以上です。













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