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【連載小説】ガンズグロウ vol.5「攻撃型」

私は帰ってから、攻略本を貪り読んだ。

攻撃の初歩から守備の応用まで、実にこと細やかに書いてある。

テストモードで動きを確認しながら本を読んで確認する。

これならイケるんじゃね?

とか思い始めたら止まらなくなって、そのまま夜を迎えた。


私って、はまりだすと凝り性だから……

お湯が沸くのを待つ。


こういう時、家族がいたらご飯の準備なんてやってもらえるのに……なんて勝手なことを思いながらパスタ麺をバラバラっと鍋に入れた。


そういえばこの本いくらするんだろう……


見て私は驚愕した。

「いち…まんえん…」

攻略本に一万円って、どんな世界なんだ、ガンズグロウ!!

一万円もあったら、あの欲しかったワンピが買えてしまうではないか!

恐るべきゲームだ、ガンズグロウ……


私はご飯を食べながら更に読み進んだ。

防具の組み合わせ方や合成方法まで書いてある。

ここまで読んで、攻撃に徹するか防御に徹するかをそろそろ決めないと……と思った。


早速タツキにメールで相談してみる。

『俺はバランス型だから、攻撃専門がいると助かるなあ』

その一言で、私は攻撃専門になろうと決意した。

攻撃特化にするにしても経験値が欲しいところ。ラストの攻撃をした人には特別に経験値が倍もらえる仕組みだから、ゆらぎにも頼んでみないといけない。

って、ゆらぎと話したくなーい!

昨日の言葉をまだ引きずっていた。


今日も八時にログインした。

タツキには事前にメールしてあったのでよいのだが、ゆらぎはなんと言うだろう?

きっとけちょんけちょんにひどいことを言い返してくるに違いない。

『私攻撃専門になりたくて、それでね、経験値が欲しいの』

まだ上達しないチャットで一生懸命ゆらぎに説明する。

『攻撃特化か……確かにうちのチームは攻撃力が低いからな』

『うん、だからさやかちゃんに攻撃特化してもらおうと思って』

タツキも援護射撃する。『うーん、まあ、いいんじゃない?やってみるか』

きゃっほーぃ!許可が降りたよー!

タツキも喜んでくれた。私も嬉しい。

ゆらぎもなんとなくだが、嬉しそうだ。


なんだ、なんだかんだでいいチームなんじゃない?

私はそう思った。



レナが、

「またオフ会するけど、来る?」

と聞いてきた。

「オフ会?ガンズの?」

「そう、前回のオフ会が盛況だったから、またやりたいって話がでてね」

「レナのチームメイトが来るの?」

「あと、うちと交流あるチームが来るよ」

「タツキくんは行くのかな?」

「さあ、でも彼は他のアニメのオフとかにも参加してるみたいだから、来るんじゃない?」

「なら行く」

私は単純だ。

そこがいいところなんだけど。



という訳で、第二回、ガンズグロウのオフ会は開かれた。


私はそこが定位置かのように、タツキの横へ座る。

今回はみんなにいろいろ聞かれても答えられるはず!

紅二点の私たちはちやほやされる。

それが目的ってこたーないけど、やっぱり気分はいいもんだ。

相手がキモオタであったとしても。


「さやか姫、最近頑張ってるんだって?タツキから聞いたよー」

デブのキモオタが話しかけてくる。

しかし、今日はびびらない。

「はい、攻略本を借りたのでずいぶん動きがスムーズになりました」

「そうなんだ。さやか姫がフリーだったら、うちのチームに絶対誘ったんだけどね……」

「ありがと。そう言っていただけると光栄です」


タツキはタツキで、他の男性陣とチームのことで大盛り上がりしている。


なんだか嬉しい。

私はタツキといることが誇りになってきた。

ガンズグロウ初心者とか言いつつも完璧に使いこなしちゃっているし。



その日は三次会まで行って帰宅した。

泥のように眠った。

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