【読書感想文】東野圭吾『マスカレード・イブ』
今回の短編集は『マスカレード・ホテル』のアナザーストーリーとして、非常に読み応えのある作品でした。
東野圭吾氏の作品は長編も素晴らしいですが、短編でもその魅力を凝縮し、読者を引き込む力があります。
前作の『マスカレード・ホテル』よりも、新田刑事と山岸の関係がさらに深く描かれており、彼らのキャラクターに一層引き込まれました。
ホテルという特殊な場所での出来事や、細かい描写が非常にリアルで、まるでその場にいるかのような臨場感を味わうことができます。
フロントクラークの仕事は憧れる職業ですが、山岸のような気配りや観察力には感心させられるばかりです。
ホテルには様々な人々が集まり、それぞれにドラマがあり、事件も起こり得る場所です。
今回の事件も一見難解で、私は謎解きをしながら読むことが少ないため、真相が明らかになると驚きがありました。
東野圭吾氏の文章はまるで映像のように鮮明で、臨場感を持って楽しむことができました。
新田刑事の眼力の鋭さよりも、山岸の観察眼が際立っており、ホテルマンとしての人間観察力には驚かされました。
この作品は前作に後付で描かれたものと思われますが、理合性が高く、隙がない仕上がりでした。
もしかしたら先に本作があって、それから『マスカレード・ホテル』が描かれたのかと思うほどです。
東野圭吾氏の脳内はどのようになっているのか、改めて見てみたいと思わせる作品でした。
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