【連載小説】ガンズグロウ vol.10 「バイト」
夏と言えば……
「海!」
「コミフェス!」
レナと私の差はここではっきりわかる。
私は久しぶりにレナと街ブラした後にカフェで話をしていた。
主にガンズグロウ系のお話。
「新しい武器と防具が販売されてるらしいのよ」
「あー、有料でまでやろうとは思わないなあ」
「私はもうセット予約しちゃったよ」
「金持ちだなぁ」
「そのためのバイトですから!」
タツキは彼氏にはなったけど、バイトがあって土日に確実に会えるというわけではなかった。
私は時間をもて余していたのだ。
「バイトでもするかなー……」
「うんうん、そしたらさやかちゃんも装備一式買えるよ!」
「私が買いたいのは自分の装備だけどね……」でも、バイトを始めると今よりタツキに会える時間が減ってしまう。
レナに相談すると、
「そんなの簡単じゃない!」
「え……何?」
「上坂くんと同じところでバイトすればいいじゃない!」
お主、なかなかやるのぅ。
「そっか、そうだよね、うん、そうだ!」
早速タツキにメールで聞いてみることにした。
『タツキくんのバイト先って、バイト募集してたりする?』
今日はバイトはないらしく、すぐに返信が来た。
『募集してるといえばしてるかな。表だってはしてないけど、人は微妙に足りてないよ』
『なら、私を紹介してくれないかな?私もバイトしたい!』
『いいよ、店長に聞いてみるね』
一緒の職場、それなんのフラグですか??
「聞いてみてくれるって」
「よかったじゃん。決まれば万事OKってことで」
じゃあ、とレナとはそこで別れた。
『店長が面接したいって。いつが都合いいかな?聞いてみてくれって』
『私はいつでもいいよ!』
『じゃあ、来週の火曜日はどうかなって』
『火曜日、午後からなら大丈夫です』
『じゃあ、午後3時でって』
『ありがとう〜!ところで職場って、どこ?』
タツキに聞くと、大学からすぐ近くの飲食店らしい。
火曜日が楽しみだ。
タツキからのメールだ。
『ところで、なんで俺の職場がいいの?』
『一緒にいられる時間が増えるかなって思って』
『あー、一緒にいれる時間は減ると思うよ?シフト次第だけど……人が足りないところに入るわけだから……』
『えっ、そうなの?どうしよう……』
『とりあえず働いてみて考える?楽しいよ、仕事』
そうしようかなぁ。
『働いてみてからにするわ』
もしかしたら一緒のシフトになるかもしれないし。
希望は持たないとね!
火曜日。
バイトの面接ではあるけれど、一応スーツを着て行った。
指定されたのはおしゃれなカフェ。
カフェに入るとキョロキョロする私。
タツキがいた!
タツキはこちらに寄ってくると、店で一番奥の席へ案内した。
「頑張ってね」
優しくそういうと、接客へ戻っていった。
店長は背が高く、真面目そうな三十代くらいの男の人だった。
優しく、しかしはっきりした言い方でシフトの面などを聞いてくる。
私も少し緊張しながら答える。
「……では、結果は二三日のうちに電話で報告しますから」
「よろしくお願いいたします」
私はしっかり頭を下げて、タツキに軽く合図をしてから帰宅した。
三日後、電話で連絡がきた。
『採用だって!』
まずタツキにメールで知らせる。
次に知らせたのはレナだった。
『やったじゃん!』
『よかったね!』
二人からお祝いの言葉をもらって、ジーンとくる。
これで一緒の職場だよ!
感激もひとしおだった。
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