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インターネット広告が日本の7.3兆円の約半分になりました。ターゲットの情報関与態度:リーンバックとフィーンフォワードの概念でTV広告の役割を再定義しましょう。これは日本型広告代理ビジネスの再定義することです。

電通グループ4社による「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」が発表されています。

本分析に先立って電通から発表された2023年 日本の広告費と比較しながら改めて広告媒体としてのテレビの可能性について考えてみたいと思います。



7.3億円で過去最高の日本の広告費:そのうちの約半分はインターネットに


テレビとインターネット広告の主役交代は、テレビ媒体の終焉ではなく、映像コンテンツの新たな可能性の幕開けを意味します。
かつて圧倒的な影響力を持ち、広告業界の頂点に君臨していたテレビですが、デジタル化の進展と共に、インターネット広告がその地位を脅かしています。
しかし、この変化はテレビ媒体の退場を意味するのではなく、むしろその役割の進化と再定義を促しています。
テレビはその大画面と共有体験の特性を生かし、デジタル技術の融合によって視聴者に新たな価値を提供できるのです。
インターネットの台頭はテレビにとって挑戦でありながら、視聴者とのよりダイナミックでインタラクティブな関係を築くための絶好の機会をもたらしています。

テレビ広告の新たな可能性とその活用法について考えるにあたって改めてインターネット広告の現状を電通グループのレポートから読んでいきます。

インターネット広告の現状


2023年、日本の広告市場はデジタル化を加速しています。
インターネット広告費は3兆3330億円に達し、前年比で7.8%増加しました。これに対し、テレビ広告費は1兆7347億円で、前年比で3.7%の減少を示しています。
インターネット広告は全広告費の約45.5%を占め、テレビはその比率を下回ることから、インターネットが広告市場の新たな主役に躍り出ていることが明らかになりました。

「2023年日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」の要約


以下は、「2023年日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」の要約です:
CCI、電通、電通デジタル、セプテーニの4社によるレポートをまとめます。

1. 2023年の広告費の総括:
    - 総広告費は7兆3167億円、前年比103.0%で過去最高。
    - インターネット広告費は3兆3330億円、前年比107.8%で最高値を更新。
    - インターネット広告媒体費は2兆6870億円、前年比108.3%。

2. 広告種別の分析:
    - 検索連動型広告: 1兆729億円、初の1兆円突破。
    - 運用型広告: 2兆3490億円、構成比87.4%。
    - ビデオ広告: 6860億円、前年比115.9%で最高成長。

3. 2024年の予測:
    - インターネット広告媒体費は2兆9124億円へ、前年比108.4%。
    - ビデオ広告は7697億円へ、前年比112.2%の成長予測。

4. 広告媒体費の構成比と市場動向:
    - 検索連動型広告が39.9%で最大。
    - ビデオ広告とソーシャル広告の成長著しい。
    - ソーシャル広告は9735億円、構成比36.2%。

5. 取引手法の詳細:
    - 運用型広告が主流、構成比87.4%。
    - 予約型広告はほぼ横ばい、成果報酬型は減少。

この分析はCCI、電通、電通デジタル、セプテーニの4社によるレポートを筆者がまとめました。

テレビの現状と挑戦:Lean BackからLean Forward へ


かつて広告の主役であったテレビは、視聴者のメディア消費行動の変化とデジタル化の波に直面しています。
テレビ広告の減少は、オンデマンドやストリーミングサービスの台頭と、消費者のリーンバック(受け身の視聴)からリーンフォワード(積極的な情報摂取)へのシフトを反映しています。
テレビは依然として強力な影響力を持ち、特にライブイベントやスポーツ中継では同時性、速報性などの点で、多くの視聴者を引きつけています。

ここでは視聴態度としてLean ForwardとLean Backという概念を使いました。
この二つはしばしば視聴者の姿勢や視聴体験を表すメタファーとして使われます。
Lean Forwardは、より積極的で関与の高い視聴体験を指し、視聴者が内容に集中している状態を示します。
一方でLean Backは、より受動的でリラックスした視聴体験を指し、視聴者がリラックスしてコンテンツを楽しんでいる状態を示します。

「日本の広告費全体2024」資料からのテレビ媒体に関する要約

もう一度日本の広告費におけるトラディショナルメディアとテレビ媒体の状況を確認してみましょう。


「日本の広告費全体2024」資料からのテレビ媒体に関する情報のまとめです:

- 四媒体広告費:
    - 2023年の総額は2兆3161億円で、前年比96.6%となり、雑誌とラジオ広告費は増加したが、新聞とテレビメディア広告費は減少した。

- テレビメディア広告費の詳細:
    - 地上波テレビと衛星メディア関連の広告費合計は1兆7347億円、前年比96.3%。
    - 地上波テレビ広告費は1兆6095億円、前年比96.0%。
    - 大型スポーツイベントなどで好調に推移したが、レギュラータイムの低調や前年の大型イベントの反動減が影響。
    - 衛星メディア関連広告費は1252億円、前年比100.1%。

- テレビメディア領域のデジタル広告:
    - テレビメディア関連動画広告費は443億円、前年比126.6%と大きく増加。
    - 見逃し無料配信動画サービスやインターネットテレビサービスのユーザー数が順調に伸長。

同レポートからはいつものように日本におけるテレビ媒体広告費の全体的な動向が分かります。トラディショナルメディアにおいてもデジタル化の進展とその影響が現実のものになってきました。
テレビメディア広告費は全体的に減少していますが、テレビメディア関連のデジタル広告費は増加しています。

広告媒体の交代とテレビの新しい役割


インターネット広告の成長は、広告戦略におけるメディアの使用方法を変えています。マルチチャネル戦略では、テレビとインターネット広告が融合し、シナジーを生み出しています。テレビは、広告キャンペーンにおいてブランドの信頼性と影響力を高めるための重要な媒体としての役割を維持しています。

インターネットが広告媒体の主役になる中で、広告のメディア戦略を考えて実行する上で重要な点は次のとおりです:

1. ターゲットオーディエンスの理解:
    - オーディエンスのオンライン行動、興味、好みを深く理解し、適切なプラットフォームとコンテンツで彼らにリーチする。
    - データ分析とインサイトを活用して、ターゲットオーディエンスの変化に敏感に対応する。

2. ターゲットに対して複数の情報接点を:マルチチャンネル化
    - 単一のメディアに依存せず、インターネット、テレビ、ラジオ、プリントなど、複数のチャネルを組み合わせた統合的なアプローチを取る。
    - 各メディアの強みを活かしたクロスメディアキャンペーンを展開する。

3. デジタルメディアとトラディショナルメディアの連携:
    - テレビ広告とオンライン広告を連動させることで、広告のリーチに加えてエンゲージメント効果が最大化する。
    - デジタル化が進む中でテレビの役割を再定義し、大画面での映像・動画コンテンツのリッチな体験ができる。

4. コンテンツの質と関連性:
    - 高品質でエンゲージメントの高いテレビ媒体向け専用コンテンツを制作し、ユーザーに価値を提供する。
    - ターゲットオーディエンスに合わせたパーソナライズや特別なモーメンツを演出するためのメッセージングを開発する。

5. 技術とイノベーションの活用:
    - ビッグデータ分析などの最新技術を活用して、広告のパーソナライゼーション、ターゲティング、効果測定を強化する。
    - 新しい広告フォーマット(例:AR/VR、インタラクティブ広告)を取り入れ、ユーザー体験を向上させる。

6. ROIの最適化:
    - デジタル化するテレビ情報の活用で広告支出の効率と効果を最大化するために、キャンペーンのパフォーマンスをリアルタイムで分析し、調整することが可能になる。
    - ターゲット顧客に関連する測定可能なKPIを設定し、継続的な最適化を通じてROIを向上させる。

インターネットが主役になった現在、広告戦略はよりダイナミックで柔軟性が求められ、消費者とのエンゲージメントを深めるための革新的なアプローチが必要とされています。

それでは、テレビメディアの可能性を追求していきましょう。

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