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100年の歴史を持つ日本製ウイスキーが製造品質以上に考えるべきことは何か?模倣品対策ではなく顧客に愛される理由(ワケ)が重要に。

2023年と24年は日本のウイスキーにとってメモリアルイヤーだ。23年はサントリーの山崎蒸溜(じょうりゅう)所(大阪府島本町)が100周年を、白州蒸溜所(山梨県北杜市)が50周年をそれぞれ迎えた。そして今年、ニッカウヰスキーの北海道工場余市蒸溜所(北海道余市町)が90周年を迎える。

日本のウイスキー熟成100年、世界で築いた地位と文化
NIKKEI The STYLE 文化時評

製造から100周年になる日本製ウイスキーの「成熟」についての注目が集まっています。
記事を読むとモノづくり幻想に執着しすぎるあまり、価値の議論が進んでいないように思えます。
日本製にこだわること、その製品としての品質の裏付けが顧客にとっては価値の一部であることは間違いありません。しかし、製造クオリティに加えて日本製のウイスキーを楽しむ理由(意味)を提示する必要があります。
確かにここ10年くらい、海外へのお土産で喜ばれていることは事実なのですが…。



記事の内容をまとめます。

日本のウイスキー100年の歴史と現状


2023年と2024年は日本のウイスキーにとって記念すべき年


  - サントリー山崎蒸留所(大阪府島本町)が1923年に創業100周年を迎えた
  - サントリー白州蒸留所(山梨県北杜市)が1973年に創業50周年を迎えた
  - ニッカウヰスキー余市蒸留所(北海道余市町)が1934年創業で、2024年に90周年を迎える

世界的にジャパニーズウイスキーの人気が再び高まる


  - 映画「ジョン・ウィック:コンセクエンス」でキアヌ・リーブスと真田広之がサントリー「山崎」を酌み交わすシーンに注目が集まった
  - アイリッシュ、スコッチ、アメリカン、カナディアンに次ぐ世界5大ウイスキーの一角を占めるまでに


独自の製造方法とウイスキー文化を国内で築いてきた


  - スコットランドでは蒸留所間で原酒を交換しブレンドするが、日本では同一蒸留所内で多様な原酒をブレンドする方式
  - サントリーは1950年に「トリスバー」第1号店を開店、最盛期に全国1500店舗を展開
  - ニッカは1950年代半ばから「ニッカバー」を開設、赤い丸看板のバーが街中にあふれた
  - サントリーの「アンクルトリス」(1958年)、ニッカの「ヒゲのおじさん」(1965年)といったマスコットキャラクターが人気

世界的な評価も高く、輸出も伸びている


  - 2001年にニッカの「シングルカスク余市10年」が英ウイスキー専門誌のコンテストで総合1位を受賞
  - 2003年にサントリーの「山崎12年」が国際酒類コンペで金賞を獲得
  - ジャパニーズウイスキーの人気の高まりとともに海外への輸出も伸長

一方で海外での模倣品対策が重要な課題に


  - 日本洋酒酒造組合が「ジャパニーズウイスキー」の定義を策定
    ・原材料は麦芽、穀類、国内採水、国内蒸留所製造、700L以下の木樽詰め、国内3年以上熟成など  
  - 2024年4月から自主基準を厳格に運用し、模倣品対策を強化

次の新興勢力の台頭もあり、さらなる高みを目指す


  - 台湾、インド、中国などのウイスキー産地が台頭し技術力を高めている
  - 自らを厳しく律し、海外勢力に立ち向かう覚悟を示す
  - 1世紀の歴史を経て、ジャパニーズウイスキーはさらなる高みを目指す

日本製ウイスキーは独自の文化と品質の高さで世界からの評価を得た一方で、模倣品対策や新興勢力の台頭、供給面での課題も抱えており、さらなる発展に向けた取り組みが求められています。

なぜ、世界で飲まれているのか?


その理由をこの記事から考えます。

高品質と独自の製法


日本製ウイスキーは、品質に対する厳格なこだわりと、独自の製法によって世界的な評価を得ています。例えば、サントリーの山崎蒸溜所やニッカの余市蒸溜所などは、その地域特有の自然環境を生かし、ユニークな風味のウイスキーを生産しています。このような製法は、各蒸溜所が独自の原酒をブレンドして、多様な味わいを創り出すことを可能にしています。

国際的な受賞と評価


日本製ウイスキーは、国際的なウイスキーコンテストや評価で数多くの賞を受賞しています。例えば、ニッカの「シングルカスク余市10年」が総合1位を受賞したことや、サントリーの「山崎12年」が金賞を獲得したことなどが、その品質を世界に証明しています。

映画やメディアを通じて、日本製ウイスキーは国際的な注目を集めています。
例えば、映画「ジョン・ウィック:コンセクエンス」でキアヌ・リーブスが日本のウイスキーを飲むシーンは、世界中の視聴者に日本製ウイスキーの存在を印象づけました。

 ジャパニーズウイスキーのポジショニング


日本製ウイスキーは、「ジャパニーズウイスキー」というブランドで世界的に知られるようになりました。日本という市場が持つ、品質、製法、そして文化的背景が組み合わさって、独自のアイデンティティを確立し、国際的なウイスキー市場での地位を築いています。

これらの要素が融合することで、日本製ウイスキーは世界中で愛され、飲まれるようになっています。品質へのこだわり、独自性、国際的な認知度の高さが、その普及と人気の理由です。

ここまで記事を読んできて

この話、家電製品、オーディオ、自動車などハードウエアのカテゴリーで聞いたことがありませんか?
製造工程とその品質の話に終始して、顧客がなぜ日本製品を愛しているか?そのインサイトに踏み込んでいないように感じてしまいます。


人はなぜ日本製のウイスキーを楽しむのか?---Valueについて考える

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