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刺繍から見えるアイデンティティー

サラームアレイコム。パレスチナミュージアムでやってる展示を見たいんだけど、敷地に入るのに何か許可は必要ですか?
アレイコムサラーム。ミュージアム?なんだろう?ちょっと待ってて。電話してみるから。

守衛さんはどこかの誰かに電話していると、もう一人の守衛さんがなんだなんだとやってきた。

どうした?
いや、ミュージアム行きたくておじさんに聞いてるの。
暑いだろう。ここに座ってなさい。

そう言って椅子を出してくれた。みんなが通る狭い門のところに椅子にアジア人のわたし。うん、確実に目立つな。

わかったよ。ミュージアム。ちょっと遠いからねー。どうしたもんかね。おい、ちょっと止まって。

おーーい!守衛のおじさんは車で学校の敷地に入ろうとした学生を手で遮って止めた。

あの車に乗って。ミュージアムの近くの校舎で授業を受けるって言ってるから。さあ、楽しんで。

そんなのありなの?と思いつつも善意に感謝して車のドアを開ける。

ありがとう。ミュージアムに行きたくて。
聞いてるよ。暑いからね。さあ、行こう。

車に乗った時間わずか2分。

この建物がミュージアムだよ。楽しんでね。

ラベンダーの畑と言ってもいいくらい広いラベンダー花壇があり、白く形も不思議でモダンな建物。窓ガラスには刺繍を模した簡易のステンドグラス。

主に女性の衣装。そして刺繍に情熱を持つ女性たちの話がビデオで流されている。

あ、これベツレヘムの衣装だ。一見すると、伝統的な衣装。イスラムっぽい?でも、ベツレヘムはそう、クリスチャンの多い街。イエスキリストの生まれた場所。ベツレヘム地区の衣装には刺繍で十字架が刺してあったり、同じように見えて細かい主張。そして美しい。ひと針ひと針に自分の思想や思い、家族のことを込めている。

イスラエルの占領が進むと地区よりもパレスチナ!というアイデンティティーを強めているように思われる。衣装にもパレスチナの国旗の色にしていたり。

刺繍は文化であり、女性が経済的自立をするためのツールでもある。そして女性たちの戦いという気もした。

あなたがサポートしてくれた分を同じだけ上乗せしてパレスチナのジェニン難民キャンプで使います!!もしジェニンをサポートしたいと思ってくださった方はこちらへ< https://thefreedomtheatre.org/donate/ >