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Don't have high expectations for dispatch companies.

この続きですが,英語の仕事といっても,ぼくのような教材執筆の仕事だけでなく,英語を使った一般職・事務職,通訳・翻訳,そして英語を教える仕事もあり,そしてそのそれぞれも本当にいろいろな仕事があります.それでも,ネイティヴスピーカーの場合であっても,英語がそれなりにできる人でも,仕事がなかなか見つからないという場合があります.

どうして見つからないのかというとそれはさまざまです.まず,どの仕事もその分野での専門知識があり,それを身につけていない,身につける気がないから,ということがあり得ます.でも,実のところをいうと,真面目な人の場合,それはなかったりします.それよりも,英語を使った職を探している場合,英語はできても,実際はそれほど要求されていない,普通の社会人としての処理能力のほうが大事だったりする場合があります.よく,車内での英語書類のチェックのように書かれている仕事で要求されているのは,その書類の英語の質をチェックするほどではなくてそれが英語で書かれていることが確認できるぐらいで十分だったりして,もとめられていたスキルは雑用をきびきびとこなすスキルで,その書類の英語の不備を指摘すると「それはお前の仕事じゃない」と怒られることもあったりします.

あと,通訳や翻訳,英語教師の職は,組織の大きさだったり,ジャンルもいろいろあるので,求められるスキルがバラバラです.なるべく幅広いジャンルに対応したいならばその場その場でフレキシブルに対応しないといけなくなります.

…なんてここまで書いたのは実はただのイントロで,本当に大事なことはこれからサラッと書いておきます.多くの英語関係の求職者は英語でいうdispach companiesを使っていることが多いです.これはどう訳したらよいのか,英語の苦手なぼくにはわかりませんが,普通に「派遣会社」とかでいいのかな.ぼくがよく話をするネイティヴたちはとにかくこの語を使っています.仕事がない時にスケジュールを埋める上では便利な存在ですが,過剰な期待を彼らにもたないほうがいいです.求職者は,短期的に経済的な立て直しを図っていたり,自分の経歴を気づ築くために経験を積みたかったり,それぞれに想いがあるはずですが,そこにお付き合いするのは彼らの仕事ではありません.彼らは速やかにクライアントが望むのに合っていそうな人を見つけて紹介/派遣するに過ぎません.

dispatch companies経由で仕事を探して/もらっていると,"Tell me why!"と叫びたくなるいうことが多々あります.採用が認められなかった場合もあるでしょうが,逆に勤務ができたときも,実際の担当者に直に話させてくれないこともあります.で,dispatch companyの人に訊いてももちろん教えてくれません.そこで,「master(修士号)がある人を優遇している.学歴だけで実務の能力があるかわからないのに.これは学歴差別だ」「どうせ若い人を取りたいんだろう.まだ自分はバリバリ働けるのに.年齢差別だ」的なことを考えるようになり,実際は合ったとことのない「能力のないのに地位についている成功者」を恨んだりするようになります.でも,そう考えてしまったらおしまいです.だから,この前の記事のPing somebody.につながるわけです.

実は,派遣された職場であなたの意見が受け入れられない場合も,あなたが希望の職場に採用されなかった場合でも,ほぼ100%相手側には合理的な理由があります(なんでそんなことをぼくが云えるかは訊かないでください.ここには書けないことだからです.でも,あなたが頭を働かせれば文脈からわかることです).それはあなたの推測通りかもしれないし,まったく違う理由かもしれない.ただ,相手にはそれなりのロジックがあり,それにそって合理的選択をしたことは,向こうが説明してくれれば(自分としては納得いかないが)立場はわかる,というところに行き着くことがほとんどです.でも,dispatch companies側は守秘義務があり,彼らの合理的な理由(=クライアントとの付き合いをつづけていたい)からそれをあなたに話すことはありません.実は間違っているのはあなたです.dispatch companiesだけに現状の打開策の糸口を求めているから,負の連鎖(英語ではvicious spiralといいます)に陥(おちい)るわけです.

英語講師であれ,翻訳であれ,ライターであれ,ある程度自立(=経済的な自立そのものよりも,仕事に関する上での自分に選択権利がある機会が多いこと)したければ,すこしずつdispatch companiesに頼らない方法で仕事を見つけられるようにならなくてはいけません.つまり,クライアントから直接仕事を受けることです.で,どうするかというとそれを相談できる友人・知人を見つけることをnetworkingといい,そうしてできたものが古い言葉で云えば「コネ」です.能力がないのに近縁者というだけで採用してもらえるというものだけがコネではありません.自分の業界分野である程度知っている同士が互いに情報交換したり,紹介し合ったりするゆるいギルド(guild)のようなものぐらいに考えています.ヨーロッパのような本物のギルドや組合(union)のない日本では,弱い立場の人間こそ,ひとりひとりがバイト先や派遣先やイヴェントあるいはsocial mediaなどでの出会いを通じて積極的にこういう「コネ」を作っていかないときついと思います.具体的にはかけませんが,ぼくのいましている仕事のほとんどはこの「コネ」によるものです.だから,実力もたいしたことないのに,なんとか生きていけます.でも,ぼくはどちらかというと人見知りをするほうなので,そんな大層なことはしていません.ただ,dispatch companiesに頼らない自分のネットワークを持っているに過ぎません.

もちろん,ここでいう「コネ」があったからといって即就職なり,よい地位につながるかは疑問です.でも,だれか知り合いが「知り合いがこういう人材を探しているんだけれども,応募してみない?」と誘われれば,仮にその仕事をもらえなくても,担当者に直に話す機会(=面接)を与えられる可能性が高く,すくなくても上に書いた相手側のロジック(=どういう人材を向こうが求めているのか/本当に求められているスキルは何なのか)がわかり,勉強にはなります.時に,「うちで求めている人材ではないのですが,あなたにスキルがあることはわかりました.よかったら,それをいかせそうな知り合いを紹介できますが,いかがですか」という親切な人に巡り会えることも時にはあります.

今回の2つの記事を書いたのは,実はUrgently Seeking Help!… Please, reach out to me via XXX as soon as possible.と某social media serviceに知り合いがいるのを見て考えたことですけど,まあ,多くの人に,とくに英語関係の日本での仕事はネイティヴ,ノンネイティヴに限らず,仕事の見つけられない人はスキルが欠如していることもあるけど,それより職探しのストラトジーが根本的に間違っているからではないのかな,と思わされる場面によく出逢います.でも,ぼくも昔はそうだったので,まあ苦しんでいる人もなんとか抜け出して欲しいとは思います.上の彼にもさんざん直接伝えたと思うのですが… Good grief.



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