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『Cookieレス元年におけるマーケティング手法』シャノンのクッキーレス型広告事業開発責任者がダイナミックリターゲティングについて徹底解説!

こんにちは。株式会社ThinkPunks代表の朝比奈遥人です。
ThinkPunksでは「事業の味方であり続ける、プロマーケター集団。」をコンセプトに企業様のマーケティングを支援させていただいております。

この記事ではKOBUSHI BEER LOUNGE & BARにて2024年3月27日に開催した『Cookieレス元年におけるマーケティング手法』のイベントレポートをお届けします。

今回はゲストとして株式会社シャノンから佐久間さん、モデレータとして後藤ブランド株式会社から後藤さんにご登壇いただきました。

1.Cookieレス時代に向けて準備をお願いします

佐久間(敬称略):今年はCookieレス元年と言われています。にもかかわらず、まだ準備できていないマーケターの方や代理店の方はたくさんおりますので、これから準備をお願いします。

そもそもCookieとは?

佐久間:まずはCookieについて簡単におさらいしますね。技術的な概念としてのCookieの定義は以下と言われています。

【Cookieの定義】
Webサイトの提供者が、ブラウザーを介して訪問者のコンピューターに一時的に簡単なデータを書き込む仕組み。
訪問者の識別や認証、訪問回数の記録に利用される。
 

出典:一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)『インターネット広告基礎用語集』

Cookieに関しては大きく2種類があり、1つはファーストパーティCookieと言われるもの、もう1つはサードパーティCookieと言われるものです。
ファーストパーティCookieとはWebサイトから直接ユーザーに付与されるCookieのことを言います。
わかりやすく言うと、自分とそのサービス提供者で1対1の関係にあるのでファーストパーティクッキーと言われます。

対して、今回Cookieレス対策の主な焦点にもなるサードパーティCookieとは第三者(主に広告媒体)からユーザーに付与されるCookieのことを指します。

2.なぜ、2024年はCookieレス元年なのか?

GDPRという規制

佐久間:Cookie規制の背景には主な登場人物が2名います。
ひとつは、GDPR(General Data Protection Regulation)と言われる法規制です。
GDPRとは2012年欧州連合で初めて公開され、2016年に正式に制定されたEU内での個人データ保護を強化することを目的とした規則のことです。

なぜこの規制が行われたかを説明するにあたり、まずはCookie自体がいつ作られたかという歴史からお伝えします。
2005年にGoogleが検索連動型広告を提供したときにCookieは初めて作成されました。その後、GoogleはCookieの作り方を全企業に公開し、オープンソース化します。

その当時のCookieは2005年モデルというものでした。私が過去に携わったサービスではCookieの2005年モデルを使っていました。
いまのCookieのモデルは?と言うと、実は2005年のままなんです。
進化していないんですね。

そしてこの2005年モデルは広告媒体者からすると、少しシステムを叩けば個人情報を簡単に取得できてしまう仕組みになっています。

このCookieを利用して個人情報を簡単に取得できてしまうことを一番最初に発見したのがヨーロッパです。
そこでヨーロッパは個人情報取得のためにCookieを利用することは「任意で」辞めましょうと通達を各社へ送っていました。しかしながら当然、任意では規制が進まず、法律として制定されたものがGDPRです。
その後GDPRの制定を参考に世界各国で法規制が進んでいきました。

Appleの動き

次に登場する人物がAppleです。
AppleはGDPRに呼応するように、独自のITP(Intelligent Tracking Prevention)という技術を2017年に作り、Cookie規制を実施します。

AppleはiPhoneやMacなどAppleデバイスに対してはCookieは第三者から付与することができない状態を2017年に実現します。
そのため、「リマーケティング」と言われているものについてはAndroidとWindowsにしか対応していないのが現状です。
よくある勘違いとしては「リマーケティング」は全員にできているものと認識される方がいますが、間違いです。現状としてはiPhoneやMacにはリマーケティングは実施できておりません。

これらのCookie規制の動きに対して、GoogleはCookieを使えなくしていく風潮なりました。これがCookieレスということです。

そして近年になり、ようやくGoogleのCookie廃止準備が進んできたため、今年末にCookieレス時代にいよいよ突入するわけです。

3.プライバシーサンドボックス

佐久間:GoogleはCookieが使えなくなったことに対しての対策としてよく挙げられるものが「プライバシーサンドボックス」と言われるものです。
簡単に言うと「このひと」というものがわかっていたCookie情報ではなく、ふわっとしたもの「30代の男性」という粒度で把握しようと言うものです。

プライバシーサンドボックス

しかしながら、現状のプライバシーサンドボックスではそこまで優れた広告配信に寄与するものではないと言われています。プライバシーサンドボックスでは「30代の男性」程度の粒度でしかユーザーを識別できないため、自社商材を購入したか否かの違いすらわからないわけです。
実際にディスプレイ広告媒体各社がプライバシーサンドボックスを試験してみましたが、全く使い物になりませんでした。

現在、Googleはもう少しいろいろな確度から解像度が高い把握ができるように開発をしているものの、その開発はかなり遅れているのが実情です。

実は少し前までは去年にはCookieはなくなると言われていましたが、長引いています。その理由はこの開発が遅れているからなんですね。

さらに、このプライバシーサンドボックスは開発が完了したら終わりではなく、GDPRを提唱するヨーロッパには審査機関に提出し、審査を受ける必要があります。
この審査が通らなければGoogleは世界にプライバシーサンドボックスを公開することができないと言われています。
審査期間を考慮すると、Googleは7,8月までにプライバシーサンドボックスをヨーロッパの審査機関に提出しないと今年にリリースは間に合わないんですね。
そうなるとCookieレス時代に突入するのはもう少し先になる可能性もあります。(笑)

4.いつかは来るCookieレス。

佐久間:Googleの開発が遅れる可能性があるとは言え、いつかはCookieレス時代が到来しますし、それは近い未来です。
では、どのようにCookieレス対策を進めるかというと、「共通ID」というものを使います。

共通IDには決定論手法型IDと確立手法型IDの2つのIDがあります。

【決定論手法型ID】
メールアドレスなど、ユーザー個人を特定可能な状態にしアプローチ
。
ただし、メールアドレスはハッシュ化(匿名化)して活用
。
サービス:Unified ID、Ramp ID、Shared ID

佐久間さん資料から抜粋

【確率論手法型ID】
ユーザー個人を複数のチャネルを活用して把握をし、
個別にIDを付与をしアプローチ
。
サービス:ID5、IM-UID、Panorama ID

佐久間さん資料から抜粋

決定論手法型IDの方が精度は高いですが、ユーザーがメールアドレスの回収を許諾する必要があるため確率論手法型と比較するとID取得件数は少ないです。一方で確率論手法型IDの方が精度は低いですが、取得件数は多いです。

ちなみに、Webサイトで表示されるポップアップで「Cookie利用を許諾しますか? 」というものがあると思います。あれは決定論手法型IDの取得同意になります。
余談ですが、このポップアップには「はい/いいえ」だけでなく、もう1つボタンがあります。「×」ボタンですね。
「×」ボタンは「はい」と同じ扱いになっています。

アメリカの調査によると、「はい」が3%,「いいえ」は2%,「×」は95%を押していると言われています。
ほとんどの人が許諾してしまっているのが決定論手法型IDになっています。(笑)

5.SHANON Ad CloudのCookieレス対応

佐久間:SHANON Ad Cloudでは確率論手法型IDである「IM-UID」を活用しています。
昨年7月にいち早くリリースしているため、Cookieレス文脈の広告配信に関しては日本初となりました。
決定論手法型IDは日本に関してはまだメディア側の対応が進んでいません。そうなると、まだオーディエンス量が担保できないため、SHANON Ad Cloudでは確率論手法型IDを活用しています。

SHANON Ad CloudにおけるCookieレス対応①
SHANON Ad CloudにおけるCookieレス対応②

本来はCookieを活用して配信できるAndroid等のユーザー層が40%ですが、SHANON Ad Cloudを活用することでサードパーティCookieを取得できない残り60%のiOS等のユーザー層へも配信が可能になります。

また、日本では20代~30代の女性のうち80%以上はiPhoneを使っています。
そのため20代~30代をターゲットにしているサービスはCookieレス対応をしないままではほとんどのターゲットには広告配信できていないわけですから、非常にSHANON Ad Cloudはマッチすると思います。

SHANON Ad CloudにおけるCookieレス対応③

SHANON Ad Cloudの利用にはデータフィードが必要になりますが、CriteoやRTBHouseで活用しているデータフィードをそのまま流用できます。
Criteo/RTBHouseだけはCookieレス対応はできないためAndroidへの配信しかできませんが、既にCriteoをやっている企業様にとっては「Android配信はCriteo、iPhoneへの配信はSHANON Ad Cloud」のように活用いただくこともございます。

6.広告代理店目線でのCookieレス広告

後藤(敬称略):私からは代理店目線でCookieレス施策についてお話しようと思います。意外とCookieレス関連の広告施策を調べようと思っても、意外に情報が現状は少ないです。適切に説明してくれている広告媒体サービスも非常に少ないと思っています。
一方でクライアント様の関心度は年々高まっているように感じますが、なかなかCookieレス対応をした媒体を提案できない状態にあるように思います。

意外に少ないCookieレス施策

広告代理店としてはアップセルに繋がるCookieレス広告

後藤:広告代理店にとって非常に魅力的だと思っているのはCookieレス広告がアップセル商材として強いということです。
まだCookieレス対策が進んでいない現状ですので、多くの代理店でCookieレス広告の提案はできていません。一方、クライアント様の関心度は非常に高まっているテーマですので、代理店としてはCookieレス広告は意識しておく必要があると思います。

また、テレビCMなど既存施策とのシナジーを埋める追加施策としても非常に魅力的だと思っています。
マス広告を打てば当然サイトセッション数が上がりますが、その施策効果をリターゲティング広告としてフルに活かすためにもCookieレス対応はしておきたいですよね。

後藤ブランドでは、Cookieレス広告だけ単体で提案するのではなく、
CPC低めのディスプレイ広告と併せて提案し、データを貯めながらCookieレス広告を強化していく動きを取っています。
既存のオーディエンスデータを十分に担保する施策と並行してSHANON Ad Cloudなどを活用することで効果を最大化しましょうということですね。

SHANON Ad CloudではCookieレスのリターゲティング広告以外にも通常のディスプレイ広告としての配信も可能です。
SHANON Ad Cloudの中で集客施策としての使い方もCookieレスのリターゲティングも両方ともできてしまうわけです。

大手クライアントに食い込むためのCookieレス広告

後藤:大手企業様の場合、主要な広告媒体は既存の広告代理店に握られていることが多いです。そうなるとなかなか入り込む隙がないと思います。
大手企業様とお話させていただくときには既存の広告代理店が実施していない施策から取引のきっかけを見出したいと思うのが普通です。

そのきっかけこそがCookieレス広告だと思っています。
後藤ブランド社では実際にCriteoを運用されている大手企業様へ、SHANON Ad Cloudを活用したCookieレス広告をご提案させていただきました。結果としてCriteoを並行しながら後藤ブランド社にてSHANON Ad Cloudの広告取引を開始できた事例もございます。

事業会社様だけでなく、広告代理店の立場としてもSHANON Ad Cloudによるアップセル提案は非常におすすめできると思います。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございます!
今回はCookieレス時代におけるリターゲティング広告のお話を深くお伺いしました。マーケターであれば「Cookieレス」というワードは聞いたことがあるかと思いますが、しっかりと対策を進められているマーケターは非常に少ないと思います。
これを機にぜひCookieレス対策を進めてみてくださいね!


お知らせ🍀

ThinkPunksではプロマーケターシェアリングサービス「MarketingPiece」を運営しております。マーケターリソースが不足している企業様、インハウスマーケターのようにプロ人材を活用したい企業様がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。

SHANON Ad Cloudにご興味をお持ちの方は以下よりお願いいたします。

後藤ブランドにご興味をお持ちの方は以下よりお願いいたします。

後藤ブランドの後藤さんが本を出版されておりますのでこちらもぜひご確認ください!


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