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【実体験】ブランディングを取り入れ、薄利多売から脱却した件

どうも、中村です!

さかのぼること8年前。
創業から2年が経過した頃の話。

受注の量も少しずつ増えたので、事務所を借り、初めてのスタッフの採用を行います。その後も安定して仕事を受注することができ、それに伴いスタッフも増えていきます。なんとなく会社としてうまくいっている気がしていました。

ただ、社内を見渡すとなんだかみんな疲れていることに気づきます。僕自身も睡眠時間以外は土日も含めて仕事をしており、ひどく疲れていました。

その原因は明らかで、「安く、早く」仕事をしていたからです。

ところが、値上げをすれば仕事がとれなくなるという恐怖から、数年間、見て見ぬふりを続けていました。

そんな時、経営者の集まりに参加する機会がありました。そこで、各社の自己紹介と共に、強みを発表する場面がありました。

自分の順番が回ってくるまで、僕は一生懸命に強みを捻り出そうとします。
そしていざ自分の番が回ってきた時、捻り出した強みは「デザイン力」でした。

そもそも当時は、そこまでのデザイン力はなく、「同じ業界の人じゃないからデザインの良し悪しは分からないだろう」と考え、その場をやり過ごすためにぽろっと出た言葉でした。

会社に戻り、改めて自社の強みは何だろう?と考えます。ところが強みという強みが思いつきません。

あれ?なんとなく上手く行っているような気がしていたけど、何で自社が選ばれているんだ?そもそも強みなんてあったのか?と悩みます。

改めてなぜこれまで仕事の依頼が絶えなかったのか考えてみると、低価格で素早く、柔軟に対応してきたからこそ、選ばれていたという現実があったのです。数年前に見て見ぬ振りしたアイツです。

そもそも、うちの会社には胸を張って言える強みが無かったのです。

それからというもの、自社の強み何にすべきかを毎日考え続けました。

デザイン力やWEB制作で競っても、他社は10歩も100歩も先を行っているので、どうしても他社に勝てないと感じてしまい、途方に暮れる日々。

強みと向き合えば向き合うほどに分からなくなっていったのです。

ある日、ふと立ち寄った書店でブランディングについての本を見つけました。それまで恥ずかしながら、ブランディングは単にデザインに一貫性を持たせることだと考えていました。

ところが、少し学び始めたら、ブランディングは思っていたよりずっと複雑で奥深いものだと気づきました。

ブランディングとは、一貫してブランドイメージを伝え、そのイメージを広める活動のことです。そして、そのブランドイメージには自社ならではの独自性が反映されていなければなりません。

つまり、その独自性こそが「強み」なのです。

ブランディングに取り組むことで、自分が求めていた強みに気付くことができるかもしれない、期待を膨らませました。

そこで本を見ながら、自分なりにブランディングに取り組み始めます。

その結果、期待していた「強み」は見つかりませんでした。それどころか「強み」が余計に分からなくなりました。

本によってブランディングのアプローチがさまざまで、取り組みながらも「これで本当に良いのだろうか」と疑問を抱え続け取り組んでいたのです。
その結果、効果的な取り組みができなかったのだと思います。

しかし、当時の僕には、ブランディングが唯一の希望でした。

そこで、僕は本格的にブランディングを学ぶために資格取得を目指します。時間とお金をかけて、無事にブランディング正しいやり方を学び、資格を得ることができました。

ブランディングのフローは、PEST分析や3C分析など多様なフレームワークを用い、自社の独自性のあるブランドコンセプトを作り、その伝え方を戦略的に設計していくことで、ブランディングとはなんたるかについては理解しました。ところが、肝心の自社の強みは分からずじまいでした。

その時、ブランディングを学んでいた際に講師が言っていた言葉をふと思い出します。

「自社のことは自社では分からないものだよ」という言葉です。

業界の構造や風習などの固定概念が邪魔をし、視野が狭くなってしまい、
本当は強みであることを強みとして捉えることができなくなるというのが本質的な意味だったと思います。

そこで僕は決心します。

「一旦、自社の強みを見つけることは諦めよう!」と。

クライアントのブランディングを支援することで、ブランディングのプロセスをしっかり理解し、自分たち自身のブランディングにも同じアプローチを試してみようと考えました。

そこから、怒涛のブランディング実践が始まります。幸いにも対象となるクライアントがたくさんいたため、とにかく場数をこなし、理解度と精度を高めていきました。(その当時、ブランディングの費用は頂かずにやっていました。)

次第に、ブランディングを終えたクライアントからは

「自社の強みが見つかった」
「道標ができた」
「売り上げが上がった」
「採用の応募が増えた」

などの声をいただくことが増えていきました。

ある程度ブランディングを体得したなと感じ始めた頃、次の課題に直面します。ブランディングを終え、WEBサイトや広告などにアウトプットした後、
少し間を空けてクライアントを訪問した際に、ブランディングの記憶が薄れていたのです。

この現象は、セミナーや研修に参加した後、すぐには内容を覚えていても、
時間が経つと徐々に忘れてしまうのと同じです。

ブランディングとは、自社のブランドイメージを確実に定着させるための活動です。ブランドイメージは、ホームページや広告、インスタグラムなどのオンライン上での顧客との接点だけでなく、日常の接客や電話対応といった顧客との直接的な接点においても一貫して体験させる必要があります。

例えば、ブランドイメージが親しみやすいものであっても、実際の接客が怖かったり厳しすぎると、瞬時にブランドの印象が悪くなってしまいます。

だからこそ、ブランドに関わる全員が「自分たちはこう思われたい」という共通の理解を持ち、日々の活動を行うことが大切です。

そのためには、一時的なブランディングの取り組みだけでは十分ではありません。ブランディングを企業の文化として、経営の一部として根付かせ、しっかりと取り込む必要があります。

本当に魅力的なブランドを育てるには、組織全体でブランディングの価値を理解し、日々の業務に反映させることが重要なのです。

ブランディングには外向けのエクスターナルブランディングと、内向けのインターナルブランディングが存在します。

そこで、これまで主に外向けのブランディングに焦点を当ててきた僕は、
企業文化の中にブランディングを根付かせるために、内向けのインターナルブランディングの強化を始めることにしました。

インターナルブランディングは企業内部からブランド理念を共有し、スタッフ一人ひとりがその価値を理解し、体現することで、一貫性のあるブランド体験を提供できるようにすることが目的です。

インターナルブランディングを強化すればするほど、その重要性と複雑さが明らかになります。

通常、ワークショップを通じて参加者全員でブランドのビジョンを作り上げていきます。しかし、スタート地点として、経営理念やビジョン・ミッションが明確でなければ前に進むことはできません。

そのため、最初のステップとして経営者との対話を重ね、企業の経営理念や価値観をはっきりさせる作業から始める必要があります。

企業の核心に深く入り込み、ブランドのコンセプトを一から丁寧に構築することは、実質的に経営そのものの構築に等しかったのです。

さて。

いよいよ満を持して自社のブランディングに取り組むことになります。

ブランディングをたくさん実践し、体得してきたた成果から、スムーズにブランドの強みを含むコンセプトが決まりました。

それらをアウトプットする形(WEBサイトやデザイン)にし、ブランディングを行うことによって徐々に成果につながっていきます。

具体的には客単価が創業当初から10倍以上に大幅に上がり、相見積もりの数も減り、指名されることが増えてきました。さらには「御社で働きたい」というスタッフも集まってきました。

自社を救ってくれたブランディングには本当に感謝しています。もしブランディングがなければ、今の会社は存在していなかったかもしれません。それほどまでに、ブランディングは会社にとって重要なものです。

しかし、ブランディングは理解するのも実践するのも非常に難しいと感じています。「知っている」ことと「できる」ことは違います。

ブランディングの方法を知っているだけでは足りず、それをうまく実践することが、ずっと大変な作業だと実感しています。

また、自社のことは自社ではわからないという言葉に表されている通り、僕らのような第三者がファシリテーターとして入ることで、一気に視野を広めることができ、スムーズにブランドのコンセプトを作り上げることができるということを肌で実感しました。

今の世の中は不安なニュースが多く、未来も見えにくいですが、日本の企業の99%を占める中小企業が元気になれば、社会全体がもっと良くなると信じています。そのために、中小企業にブランディングを取り入れてもらいたいと切に願っています。

それではまた!

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