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未解決事件簿15:H弁護士、カテーテル事故・故意の放置を指摘するも会話は成立せず

前回までは「医療事故研究会」に所属するW弁護士・I弁護士との半年に渡る委任期間中に起きた出来事のうち、主だったものを取り上げながら、3回に渡ってお話ししました。
 
証拠保全を契約したものの弁護士は証拠保全を渋り、実施まで3か月を要したこと、証拠保全当日、入手できたはずの医療記録の入手を妨害したこと、その後、僕が医療記録を分析・検証した結果を弁護士に話したところ、完全無視されてしまったことなどをお話ししました。

弁護士が病院に買収された可能性


僕たちはこの時点で、W弁護士とI弁護士は相手の病院側に抱え込まれてしまった可能性が高いと考えていました。弁護士はこちらの代理人として契約して定められた費用を支払っていましたが、その後、病院と接触した際に「これで我々の言う通りにしてほしい」と法外な金額の口止め料を提示され、それを飲んでしまった可能性を疑っていました。
 
つまり弁護士が病院側と接触する機会ができてしまうと、資金力の差で弁護士は病院側に寝返ってしまうというわけです。弁護士の方が「そんな汚い話には乗れない、贈賄しようとした事実も訴える」という正義感と気概のある清貧の思想の持主であれば、こういうことは起こりえないのですが、なかなかそのような弁護士には運よく当たらないだろう、と僕たちは考えていました。
 

民事訴訟ではなく刑事告訴を願う理由


弁護士が病院側に寝返るという事態を避けるためには、とにかく病院と接触する機会を作らせないことが必要です。一方、医療訴訟の場合は一般的には民事訴訟となりますが、これは病院側との話し合いが前提となるため、必然的に病院との接触は避けられません。
 
こう考えて、僕たち遺族は代理人弁護士が病院とは一度も接触せず、いきなり刑事告訴する以外、事件を解決する方法はないと結論付けました。
 
僕たちは2011年5月末に、医療訴訟の経験のある弁護士が所属するもう1つの団体である「医療問題弁護団」に申し込むことにし、所定の書式をダウンロードして記載してプリントアウトし、郵送で申し込みました。
 
相談日は2011年6月10日、担当は年配のH弁護士と若めのA弁護士に決まりました。
事前に医療記録を弁護士宛に送付し、それを元に相談するという流れになりました。
相談日当日も僕は臨床実習のため参加できず、母と弟で相談に行き、後で僕が検証できるようにするため、その様子を録音してもらいました。
 

「医療問題弁護団」H弁護士の分析・検証結果


H弁護士は医療記録を事前に読み込んでおり、以下の点を指摘していました。
 
・PCI(カテーテル治療)で重大な手技ミスが多発している可能性が高い
・PCI(カテーテル治療)後、CCU入室までに空白の1時間があり今後の方針決定を密談していたか
・PCI(カテーテル治療)後、心臓血管外科へのコンサル、転送等をせず放置した
・心臓外科がない病院でありPCI(カテーテル治療)失敗後のバックアップ態勢がない
・放射線量が非常に高かった
・カテーテル治療施行医師は当時後期研修2年目だった
・医療記録間で食い違いが見られ虚偽記載が疑われる
・医療事故、心タンポナーデについて私たちに説明しなかった
・連絡、同意を得ずに心嚢穿刺術を行った
 
概ね、僕たちが指摘した重要事項は含まれていますが、この時点で僕たちが知らず、新たに指摘されたことも数点あります。それを以下に示します。

・PCI(カテーテル治療)後、CCU入室までに空白の1時間がある
・放射線量が非常に高かった
・カテーテル治療施行医師は当時後期研修2年目だった
 
H弁護士の指摘内容は概ね次の通りでした。
 
「カテーテルで冠動脈を突き破っている。カテーテル治療が終了してからCCUに搬入されるまで空白の1時間があり、この間にその後の方針について話し合われた可能性がある。この話し合いで「何もせず看取る」という方針に決まったのではないか。IABP(大動脈内バルーンパンピング)を入れているので、心機能が急激に悪化していたのは明らかであり、既にその時点で救命は難しい状態だったのだろうと思う。カテーテル治療の失敗・事故のリカバリーは心臓血管外科での手術だが、それができない病院でこの手技(PCI:カテーテル治療)が行われたのは問題だ。厚生労働省の医師データベースで調べたところ、この手技を行ったのは、後期研修2年目の未熟な医師だった。しかも放射線被曝量が10Gyと非常に高く、これは通常のカテーテル治療(PCI)の3倍にも達し、一度に浴びる線量としては人体にとって非常に危険な被爆量である。」
 
H弁護士のこの説明内容を要約すると「医師が自らカテーテル治療で事故を起こしておきながら、本人・家族にその事実を隠蔽・放置し、看取らせようとして最終的に死亡した」ということになり、まさに刑法上の「不作為の殺人罪」に該当していました。
 

弁護士、刑事告訴を拒否


そこで僕たちは「これは刑法上の不作為の殺人罪に該当しますよね。この先生たちの悪質な行為に対して、刑事告訴したいのですが、お願いできますか?」と質問しました。
 
「難しいと思います。まずは民事で進めていくことになります」とH弁護士は答えました。
 
「何故難しいのですか。病院の先生たちが医療事故を隠蔽して、命ある患者を死に追いやったことはH先生も分かっていただいているじゃないですか」と僕たちは食い下がりました。
 
「最初のカテーテル治療で事故があったことを証明することが第一段階です。そのためには民事訴訟が必要です」とH弁護士は理屈の通らないことを言いました。
 

弁護士、捏造された死体検案書から目を背ける


僕たちは例の捏造された「死体検案書」をH弁護士・A弁護士に見せました。
「これは「警察官」から手渡された「死体検案書」です。原本ではなく初めからコピーでした。この筆跡も病院の循環器内科部長のT先生のものと全く同じです。見て下さい」と、医師が記載した病状説明用紙と筆跡比較結果を示しました。
 
H弁護士は直視せず目を背けて手を横に振り、「ない、ない」と否定しました。
 
「先生、目をそらさないでよく見て下さい。病院の先生はこんなものを書いて僕たちを騙そうとしたんですよ。これは文書偽造罪じゃないですか。これでも刑事告訴できないというのですか」と僕たちは涙声で訴えました。
 
H弁護士もA弁護士もどういうわけかこの死体検案書を直視せず、一切耳を傾けてくれませんでしたし、「そこは本質的な問題ではないです。最初のカテーテル治療で事故があったかどうかが問題です」とこの事件の本質から目を背けたコメントを繰り返すのみでした。
 

弁護士、レセプト入手妨害事件についてもコメントせず


僕たちは、9月分のレセプトを入手するために町役場の窓口に開示請求した際、それを聞きつけた役場職員数人がものすごい形相でやってきて、蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、逆にこちらが驚いたこと、最終的に開示請求は却下されたことを話しました。
 
するとH弁護士は「いや、レセプトは出しますよ。出さざるを得ませんから」とコメントしました。「いや、それが何をどうやっても出してくれなかったんですよ。以前の代理人弁護士からもレセプトの開示請求権は遺族には認められないと言われて、証拠保全で手に入りませんでした」と訴えましたが、H弁護士は「いや、そんなことはないですよ。出しますよ」としかコメントしませんでした。「出さないのは問題だ」というのが当然の反応ですが、そこを問題にすることを意図的に避けていました。
 
このように、H弁護士もA弁護士も全く話の通じない、会話の成立しない弁護士で、僕たち家族はすっかり憔悴し、失望していました。

事件解決のためには刑事告訴以外に考えられない理由


しかしH弁護士の独自の分析でも「心筋梗塞に対する当初のカテーテル治療において事故があり、その後、対処せずに放置した結果、死に至った」という、僕たちの分析と同様の結論に達していました。最初に起こったことは医療事故ですが、その後、その事故を対処せずに死に至ったというのは医師の故意が関与しており、不作為の殺人罪です。
 
故意の患者殺害(殺人)、文書偽造、いずれも刑法が適用される刑事事件で、強制捜査の対象です。医師を刑事告訴してほしいと僕たちが訴えた一番の理由は、このような事件の性質を考えてのことですが、それに勝るとも劣らない重要な理由があります。それは、民事事件となった場合、その必然として病院との話し合いが必要となり、その過程で病院がその桁違いの資金力で目のくらむような金額を提示してこちらの代理人弁護士を買収する恐れがあるからです。前任のW弁護士・I弁護士がこちらの話に全く耳を貸さず会話そのものが成立しなくなった原因として、僕たち遺族は病院からの買収を疑っていたことは前述した通りで、H弁護士・A弁護士に対しても同様の手口を使ってくることが考えられたため、民事手続きでは頓挫してしまう可能性が高いと考えていました。それが僕たちが民事事件ではなく刑事事件として刑事告訴してほしいと願ったもう1つの重要な理由です。
 
弁護士買収の可能性についてはさすがに弁護士には直接言えませんでしたが、「病院の医師は明らかに刑法を犯しており強制捜査の対象になるはず」という理由で刑事告訴を懇願しました。しかし僕たちがどれほど粘り強くお願いしても、H弁護士・A弁護士は僕たちのその願いを聞き入れてはくれませんでした。
 
「刑事告訴してくれないのなら、次に当たる」という選択肢もあったと思いますが、H弁護士はこれまでの弁護士の誰よりもこの事件の経過を最もよく理解していることは間違いなく、ここでこの機会を逃してしまうのは惜しいようにも思えました。
 
そこで僕たちは妥協することも必要かと考え、「それではまず民事事件としてお願いします」と譲歩してその場は終了となりました。
 
しかし帰宅してから「弁護士が病院と接触したら買収されてしまうだろう」という当初から考えていた理由で、やはり「刑事告訴」の方針を曲げてはいけない、と考え直しました。
 
そしてH弁護士に僕たち遺族の思いをメールで送りました。
その後、H弁護士は、病院医師のコメントとしか考えられないものを「協力医」のコメントと称して僕たちに送り付け、僕たちを騙そうとしました。
そのことについては次回お話ししようと思います。
 
追記①:最終目標は病院・医師の実名報道
僕の最終目標はこの事件を明るみに出して、この病院・医師の実名報道を実現することです。
 
追記②:「フォロー」と「スキ」のお願い
この事件に興味がある、この病院・医師が許せない、この病院はどこの病院なのか気になる、実名報道まで見届けたいと思われた方は是非、「スキ」と「フォロー」をよろしくお願い致します。

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