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ボタニカルな内装で仕事空間に変化を バルコニーつき客室が、ホテルワーカーを惹きつける

今回のインタビューに応じてくださったのは、The Workeからも多くのゲストがワーケーションに訪れている、都シティ 大阪本町
立地の利もあり、かねてより長期のビジネス客に愛されてきました。平日と土日で異なるニーズに応え続けてきた同ホテルのワーケーションとしてのポテンシャルについて、森さん、豊田さんにお話を伺いました。

都ホテルズ&リゾーツの中でもワーケーションプランをいち早く取り入れ、快適な滞在型ステイに力を入れているのが都シティ 大阪本町なのだそう。
在宅勤務を知った私たちが求めているものが随所に品よく準備されている様子が、サイトを見るだけで伝わってきます。

取材: 高野 美穂(ザ・ワーケスタイル ナビゲーター)


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都シティ 大阪本町
森 武史 さん

大学卒業後、1992年に都ホテル大阪(現・シェラトン都ホテル大阪)入社。
宴会部門でブライダル、一般宴会の手配担当に配属。7年間でブライダル500件、一般宴会約3,000件を手掛ける傍ら、ホテル主催の「ブライダルフェア」、「ディナーショー」をはじめとする、大規模イベントも主担当を務める。
2000年には、都ホテルズ&リゾーツ(国内全ホテル)の営業部門に配属。
首都圏にてインバウンドをはじめ、国内エージェントの営業に携わる。

2007年以降、シェラトン都ホテル大阪、都シティ大阪天王寺、都シティ近鉄京都駅の客室部門に従事。各地域の特色を活かした客室販売を担う。

2021年春、現在の職場である都シティ大阪本町に配属。コロナ禍の新しいホテルスタイルを模索しながら、「選ばれるホテル」を目指して奮闘中。

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都シティ 大阪本町
豊田 昌臣 さん

2006年入社。都ホテル京都八条、都シティ近鉄京都駅でゲストサービス、フロントスタッフを経て客室予約担当に。

2021年より都シティ 大阪本町に配属となり、地域・社会情勢によりお客様が求めるものの違いを実感しながら、日々お客様への訴求向上を目指して業務に当たる。

-- 「ワーケーション」という言葉をまず耳にしたのはいつ頃ですか?この新しい概念と出会い、まずどんなことを感じましたか?

昨年の秋くらいからワーケーションという言葉を頻繁に聞くようになってきましたね。私たちも、昨年(2020年)の春には苦い臨時休業を経験していますので、「待ち」では何も進まない、この変化はチャンスとして捉えないといけない、という強い気持ちがありました。
当ホテルのコンセプトとして、お客様に館内でゆっくりとお過ごしいただきたいという発想がありましたので、自宅に籠りがちであった近所にお住まいのお客様を惹きつけて、マイクロツーリズムとして楽しんでいただきたいと思い、その延長として「ワーケーション」という考え方は実にピタリとくるように思いました。

当グループの「都シティ」というカテゴリの中では、当ホテルはもともと長期滞在のお客様が多く、また比較的価格をお安くできていることもあって、この長期滞在プランは成功をおさめることができたように感じています。今年の4月からずっと使っていただいているお客様もいらっしゃいます。

在宅勤務体制ではあるものの、ご自宅よりも働きやすい環境として、平日の仕事場を求めて利用されているのかなと想像しています。

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まるで高級マンションのようなエントランス

-- 長期滞在のお客様を受け入れてきたとはいえ、「出張での長期滞在」と、「ワーケーションでの長期滞在」は求めるものが大きく異なってくるように思います。
例えば、出張であれば、日中は基本的に不在なので、世界のビジネス客がそうであるように、ベッドが快適で、疲れ切った身体をなるべく早く休めるためにお風呂のお湯がスムーズに溜まり、深夜でもルームサービスが頼めて…なんていうのが最高の条件です。
しかし、ずっと部屋の中で、ホテルの中で仕事をして過ごすとなると、また快適に感じる要素が変わってきますよね。

そうですね。当館としてはワーケーションのお客様に合わせて大きく何かを変えたということはなく、今後改良の余地があるのかもしれませんが、我々はホテルのテーマをボタニカル=自然としておりまして、ロビーが自然に囲まれた環境になっています。
つまり室内にいながら外にいるような、大阪にいながらまるでどこか他の世界にいるような気持ちになることができます。
また、都市型のホテルとして珍しいかなと感じるポイントとしては、すべての部屋にバルコニーがついています。この点は、ホテル内、室内に長くいることが多いワーケーションのお客様には、好まれているように思います。

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フロントロビーは、緑に囲まれ、いい香りに包まれた癒やしの空間。とても美しい

-- たしかに、館内に、眠るだけではない、快適に「過ごす」場所が多く配されているように感じます。
おっしゃるとおり、ワーケーションをしている最中というのは、さほど遠くにはいけないことが多く、ホテル内で非日常的な快適空間を感じられるのが一番です。
落ち着くことができる場所が館内に数か所あって、気分転換にコーヒーを飲みにいく導線が想像できます。私も是非、こちらでワーケーションをしてみたいと感じました。

また、長く過ごすにあたって、価格も非常にリーズナブルですよね。
The workeの価格設定で見ても、1か月108,000円で30日間滞在できる。これであれば、ワンルームやオフィスを新たに借りるよりも気軽で、選択肢の1つになると感じる人も多いと思います。
こうなってくると、ワーケーションに向いたホテルは、もうライバルブランドとの競争だけではなく、顕在化されてはいないものの、WeWorkなどのコワーキングプレイス、オフィスビルとの競争になっているのかもしれないですね。

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客室は全室バルコニーを備え、とても明るい。壁や調度品もボタニカルを意識した作りで、細部にまでこだわりがうかがえる

-- 話題を少し変えて、皆さんご自身がワーケーションをされるとしたら、何を求めますか?

実際に、私は在宅ワークもしているので、少しは滞在してくださっている皆さんの気持ちが分かるつもりです。まず本当に大切なのは、速くて安定したWi-Fi環境。

-- 本当に申し訳ないです…(一同笑

(注)イギリスからのワーケーション中に取材を行い、ビル全体のトラブルでこの日のネットワークが非常に弱く、取材にご迷惑をかけていた。
同、英国でのワーケーションの様子は別の記事で公開予定

皆さんのホテルではきっとこんなWi-Fiトラブルは起こらないと思いますが、ミーティングが設定されている時にネットの調子が悪いと、本気で焦るのがワーケーションです。
特に日本の場合だとまだまだ、ワーケーションはなんだか遊んでいるというように思われがちなので、そのうえでネットワークまで弱いなどとなると、まさに針のむしろです。
そのクレームはホテルスタッフに、またホテルそのものの評価に確実に跳ね返ってくるので、どうかワーケーションを推奨するホテル、旅館の皆さんは、Wi-Fiの整備を…。

ははは。私たちもこうしたカタチでワーケーションをしている方の気持ちを知ることができました。

話を戻すと、オフィスではない場所で仕事をするというのは、気分転換が非常に重要な要素となります。仕事の合間にコーヒーでも飲んで、ちょっと風にあたって…というのがいかに大切かということを、自身の体験から実感しています。
そんなちょっとした気分転換をするのに、当ホテルはアドバンテージがあります。ちょっとラウンジに足を運んで、また個室で集中を再開する。そんな環境を提供していきたいですね。

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宿泊者専用ラウンジ「BLOOM」。大きなテーブルでのデスクワークや、仕事の合間の気分転換に最適。無料のドリンクやスナックも用意されており、ゆっくり寛ぐことができる

お客様からの声を取り入れて電子レンジを常設し、またコインランドリーはもともと設置がありましたので、その点も良かったですね。

すでに半年以上滞在されているお客様もいらっしゃいます。
1ヶ月のご滞在のお客様の中には、平日は滞在、週末になると部屋に荷物を置いたまま自宅にお戻りになる、というスタイルの方もいらっしゃいます。

-- 現在は、子供たちや大学生もリモートで個室を欲するため、日本の住宅事情では、どうしても家族全員にとって快適なリモート空間が準備できることは珍しいのだろうなと思います。そうした時に、「追加の我が家、追加のもうひと部屋」としてこうした快適なホテルを必要に合わせて契約する時代になっていくのかもしれないと感じています。そうなると、ワーケーションは本当に旅と日常の真ん中にあるものなのかもしれません。ますます探求が楽しくなってきました!

世界中の人の生き方、働き方に変化が生まれている時代ですが、業界内にいる皆さんからみて、「日本人と旅」、どうなってほしいですか?

旅というと、いままでは「レジャー」として想定することがほとんどでした。そうした意味でホテルは、家族で、友達と、1人で「遊びにくる拠点」でした。
それがこの緊急事態宣言を経て、「マイクロツーリズム」という需要が生まれ、まさに、ホテルという場所での「滞在」を楽しむという要素が増えてきたように感じています。

-- 確かに、そうなってくると「安く眠れる場所」を求める人は減り、たとえ手が届く価格のホテルであったとしても、滞在そのものが楽しめる空間を求めるようになってきますね。

はい、私たちは都シティ 大阪本町という空間を「大きな木」として考えております。幹が建物で、葉っぱという客室に入っていってもらう。葉っぱまで行くその途中には、ラウンジがあり、ワーケーションをされる皆さんにとっては、これがキッチンやお仕事机の代わりになります。

-- そうした非日常を求めて、かつては海外旅行の交通費に使っていた予算をホテル滞在の予算に当てて、代り映えのしない在宅ワークに変化を求めるような需要も出てきていますね。
ずばり、ワーケーションは根付くと思いますか?

ホテルとしてはまだ、コロナの混乱は覚悟しています。そんな不透明な中でもひと時の安息や気分転換を提供できるように準備をしていきたいと思います。
ワーケーションという呼び方が続くかどうかはわかりませんが、長く快適に滞在をされる人は残るように思いますね。

-- これからの情勢がどうなっていっても、一度このワーケーションという快適さを知った人たちはこのスタイルをそれぞれなりに続けていくと私は思います。その総合的なメリットを知って、それを許す、推奨する企業もきっと増えてくるでしょう。忙しくても旅をする日本人がもっと旅をできるように、私も情報提供面で応援していきたいと思います!

本日はありがとうございました!!

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ザ・ワーケスタイルナビゲーター: 高野 美穂
~Traveling or Thinking about Traveling~

20代前半よりワークスタイルに強く関心をもち、働く場所やオンとオフの境目にこだわらない、今でいう「ワーケーション」を体現し続けている。旅チャンネルの構成作家兼リポーター、リクルート社発行「じゃらん」、旅業界ジャーナル「とーりまかし」での編集ライターなど、様々な角度から観光業界について考察を続ける。

2013年より7年間ロンドンで暮らし、在宅/リモートワーク、長めのバケーションが当たり前の人々と日常的に過ごすことで、コロナ禍の到来よりも早く、国民総ワーケーション状態に慣れた存在となる。

現在は、日本最大級のコミュニティーFM「レインボータウンFM」FM88.5MHzにて、2つの番組をもち、コンテンツ制作の傍ら、独自の情報発信を行っている。自治体からの依頼で、ワーケーションアドバイスに出向くことも。日本旅と食を海外に向けて発信するのがライフワーク。

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