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土俗趣味社から本を出版していた謎の民俗学研究者・出口米吉

 出口米吉というよく分からない民俗学研究者のことが以前から気になっている。出口に関しては、初期の『人類学雑誌』という雑誌に度々に投稿し、性に関する慣習に関心を持っていたということが知られている。しかしながら、出口の経歴に関してはほとんど分かっていないと思われる。以前下記の記事で紹介したように、民俗学研究者・澤田四郎作の『日誌』によると、福島商業学校の関係者(教員と思われる)であったことが分かるが、経歴の他の部分に関しては謎が多い。

 先日、日本の古本屋というウェブサイトで出口の『甲戊漫筆』という本をあまり高くない値段でみつけたので、気になって購入してみることにした。この本の現物が到着してから気づいたが、この本は土俗趣味社から「趣味叢書」というシリーズで出版されていたようだ。参考のために、以下に表紙と奥付の写真をのせておく。

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土俗趣味社は民俗学関連の雑誌『土の香』を発行していた会社で、加賀紫水によって運営されていた。加賀紫水は奥付にみられる「加賀治雄」と同じ人物である。出口は加賀や土俗趣味社と関係性があったことが分かる。少し調べてみると、以下の民俗学研究者・礫川全次様のブログに土俗趣味社が刊行していた趣味叢書の目録が紹介されているのをみつけた。この目録によると、出口は『甲賀三郎の伝説』、『類焼地蔵の由来に絡まるヒルマチ伝説』という本も趣味叢書として出版していたようである。出口と加賀の間には深い交流があったのではないだろうか。

上述のように、出口は柳田国男南方熊楠も投稿していた『人類学雑誌』に度々投稿していたので、名前を目にする機会はあるかと思われるが、その経歴や生涯は謎が多い。今回の記事は大した内容ではないが、今後分かったことがあれば投稿していきたい。

(追記1)出口米吉に関しては、以下のブログに詳しくまとめられているのを見つけた。参考のために紹介しておきたい。しかしながら、やはり生没年や詳しい経歴は分かっていないようだ。(2020/11/1)

(追記2)追記が非常に遅くなってしまったが、出口米吉の生涯やなぜ忘れられてしまったのかということを検討して以下の記事に投稿した。(2021/7/4)




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