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こけし蒐集家・佐野健吉(山三不二)の生年が判明

 拙noteで度々引用させていただいているKokeshi Wiki様は多くの趣味人や蒐集家の経歴が紹介されており、これらを調べている時に非常に助かっている。このWenページで紹介されている趣味人の一人に佐野健吉(山三不二)という人物がいる。以下のページによれば、佐野はこけしの蒐集、千社札貼りなどを行っており、お札博士として知られているフレデリック・スタールは佐野の案内で千社札の蒐集したという。ちなみにスタールの通訳は性の民俗蒐集家・九十九豊勝であった。

 上記のページには「佐野健吉の生年没年等については不詳である」と述べられている。Kokeshi Wiki様で分からないのであれば本当に分からないのだろうなと思っていたところ、先日、佐野の生年が斎藤昌三の発行していた『いもづる』改巻第五輯(大正13年)に収録されている「当世超人非超人略伝(第一)」に載っているのを別のことを調べていた際に偶然発見した。以下にその部分を引用してみたい。なお、参照したのは『いもづる』の復刻版である『斎藤昌三編集『おいら』→『いもづる』―郷土研究的趣味雑誌の1920~1941年』(金沢文圃閣、2022年)である。

山三不二 本名は佐野健吉。明治七年(亥)東京品川宿に生る。
住所は品川町新宿八六.呉服類と土俗趣味の店。駿河屋の隠居。
趣味は年内の大半を納札行脚。蒐集は土俗玩具、名物レッテル、ポチ袋、お札、絵馬箸、杓子、糸巻。元来の筆不精とて、玩具類の考証も厳味噌に記録する許り。
珍蔵品は江戸時代物。余技として素劇、踊り、支那手品師。

 佐野の生年が明治7年(1874年)であったことが分かった。佐野はこけし以外にも様々なものを蒐集していたようである。没年は不明だが、『いもづる』第10巻第1号(昭和16年)の「いもづる同人」の「客員」の欄に佐野山三という名前が確認できる。この記載は佐野健吉であると思われるので、少なくとも昭和16年までは存命していたと言える。

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