瀬尾 浩二郎(theodoorjp)

株式会社セオ商事 代表 / サービス設計や企画、漫画の脚本などやっているエンジニアです…

瀬尾 浩二郎(theodoorjp)

株式会社セオ商事 代表 / サービス設計や企画、漫画の脚本などやっているエンジニアです。THE GUILDメンバー

マガジン

  • セオ商事の営業日誌

    • 64本

    セオ商事の、仕事と趣味の間の話しを連載します。UI/UX、デザイン、テクノロジー、哲学、その他プログレッシブな事柄をご紹介

  • ニューQ - 哲学カルチャーマガジン

    • 19本

    新しい問いを考える哲学カルチャーマガジン、ニューQのnoteです。創刊号は2018/12/20頃より書店にて販売開始予定です。

記事一覧

問いを立てるときに、何がおこなわれているのか?

最近よく耳にするようになった「問い」とはなんだろうか? 「良い問いを見つけることが大事だ」といった発言を耳にしたことがある人もいるかもしれない。その名も「新しい…

哲学事業部 newQ についての覚え書き

哲学事業部をやっていると、たまに「これからのビジネスに哲学は必須ですよね」と言ってくれる人がいて、それはとてもありがたいのだけど、ややうしろめたくもある。 なぜ…

1952年の1928年 – 過去の過去と、時間を鑑賞することについて –

1950年代を代表するミュージカル映画「雨に唄えば」をなんの事前知識もなく観たことはないだろうか? 無声映画が発生映画に取って代わる時代における映画界のドタバタを背…

セオ商事の営業日誌 〜 考えることから疎外されることの哲学 : 『フィルカル』Vol.5 No.3 より冒頭文抜粋

分析哲学の専門雑誌『フィルカル』Vol.5 No.3の特集「哲学のニーズ」に寄稿させていただきました。哲学の専門ではない人からみた哲学への期待とはなにか?について、これま…

ブラッド・メルドー トリオ サントリーホール 5.31

控えめにみても神経質そうな顔つきであるなと思う。 しかしその男は落ち着いた表情でピアノの前に座ると、拍手も終わらぬ間にイントロを弾き始めた。シャツの袖に隠れて見…

ベストアルバム 2018

毎年恒例、セオ商事(というよりごく個人的な)ベストアルバム2018。今年は年末にかけて良いアルバムが次々と出て充実していました。改めて見ると邦楽を良く聴いていたかも…

ニューQ Issue01 新しい問い号(創刊号)、Amazonでも販売開始となりました!

おかげさまで多くの注文をいただきまして、Amazonでも販売開始となりました。書店で見つけられなかった方、勢いを大切に購入されたい方、ぜひこちらでご購入くださいませ。…

哲学カルチャーマガジン「ニューQ」を創刊しました。本日より全国書店にて順次発売!

いきなりですが雑誌を作りました! タイトルは「ニューQ」。"新しい問いを探す哲学カルチャーマガジン"というものです。12/20より代官山蔦屋、Shibuya Publishing(SPBS)…

人工知能に煩悩を持たせるには? / 「人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇」 書評

特にエンジニアとしてDeep Learningや機械学習に取り組んでいる訳ではないのだけど、人工知能にとても興味を持っています。 なぜか? それは人工知能を考えることは「知…

最強の"いいね"ボタンを考える / スペキュラティブUX

ある日、Twitter社から電話がかかってきて 「ハートマークは便利だけどTwitterらしさを失ってしまった。新しい"いいね"マークを提案してほしい」 と言われたらどうしよう…

読書メモ : ツールからエージェントへ。弱いAIのデザイン - 人工知能時代のインタフェース設計論 / プログレUX

正月休み中、THE GUILDの奥田さんが読んでいて面白そうと思っていた本を読んで見ました。 ツールからエージェントへ。弱いAIのデザイン タイトルにある"弱いAI"は何かと…

ベストアルバム 2017

音楽好きのセオ商事、各メンバーそれぞれ趣向は違いますが、自分が良く聴いたアルバム(新譜)をまとめてみました。去年に引き続き、今年も新譜がとても楽しかったです。 …

読んでいないけれど この本が面白い 2017

今年といえば「読んでいない本について堂々と語る」スキルの習得にいそしんでいたので、その集大成として今年読んでいないけれど「面白かった!」という本について語ろうと…

イノベーションとクリエイティブでは語れないこと

メリークリスマス! 「プログレッシブについて、"プログレッシブ"の意味をお互い一切共有することなく書く」 というアドベントカレンダー(12月1日からクリスマスまで毎…

趣味のユーザ体験を向上させる方法(SF編) / プログレUX

UXデザイナーたるもの、自分のユーザ体験をデザインできないといけないのである。 いや、自分の対人能力を向上させるとかそういうことではなく、単純に「自分の趣味を、よ…

分からないことのユーザ体験 後編 - 分からなさを実践してみよう! / プログレUX

ビットコイン、スナップチャットのUI、デヴィッド=リンチの作品などなど、流行っているものの多くが分かりにくいものであり、そしてそれぞれの「分かりにくさ」が体型化さ…

問いを立てるときに、何がおこなわれているのか?

最近よく耳にするようになった「問い」とはなんだろうか? 「良い問いを見つけることが大事だ」といった発言を耳にしたことがある人もいるかもしれない。その名も「新しい問いを探す哲学カルチャーマガジン ニューQ」という雑誌を編集しているし、メタフィジカルデザイン(と我々は呼んでいる)という取り組みの中で「問いを立てるワークショップ」というものも、ここ数年おこなっている。 ここであらためて「問い」とはなんだろうか? なぜ「問い」を立てる必要があるのだろうか? 哲学研究者であれば「

哲学事業部 newQ についての覚え書き

哲学事業部をやっていると、たまに「これからのビジネスに哲学は必須ですよね」と言ってくれる人がいて、それはとてもありがたいのだけど、ややうしろめたくもある。 なぜか。 ちなみにこのうしろめたさは、「哲学のビジネス利用」といったようなものでは、おそらくない。というのは会社で哲学にとりくみはじめたきっかけは、そもそも「哲学を勉強したいけれど、仕事で哲学をすることにしたら一石二鳥じゃなかろうか?」という、ごく個人的な軽い気持ちではじめているところにある。なので必須かというと、その

1952年の1928年 – 過去の過去と、時間を鑑賞することについて –

1950年代を代表するミュージカル映画「雨に唄えば」をなんの事前知識もなく観たことはないだろうか? 無声映画が発生映画に取って代わる時代における映画界のドタバタを背景に、新しい時代に対応しようと落ち目の役者達が奮闘する物語である。勘の良い人は、この文章を読んだ時点で気づいたかも知れないが、これは1952年に撮られた –– おそらくは1928年を舞台とした –– 懐古的な情緒を漂わせた映画である。第二次大戦の足音も聞こえない1928年。それはアメリカにおいて社会、芸術および文

セオ商事の営業日誌 〜 考えることから疎外されることの哲学 : 『フィルカル』Vol.5 No.3 より冒頭文抜粋

分析哲学の専門雑誌『フィルカル』Vol.5 No.3の特集「哲学のニーズ」に寄稿させていただきました。哲学の専門ではない人からみた哲学への期待とはなにか?について、これまでの個人的な仕事や、セオ商事哲学事業部の活動を通して書いています。 書きながらこれまで感じていたことを言語化していったところ、思いのほか長文となってしまいましたが、デザイン思考と哲学というあまりない組み合わせの話になっているので、そのあたりに興味のある方に読んでいただけると、とてもうれしいです。また専門雑誌

ブラッド・メルドー トリオ サントリーホール 5.31

控えめにみても神経質そうな顔つきであるなと思う。 しかしその男は落ち着いた表情でピアノの前に座ると、拍手も終わらぬ間にイントロを弾き始めた。シャツの袖に隠れて見えないが、その右腕にはドラゴンの刺青があるはずだ。 初めてブラッド・メルドーを聴いたのは2002年に出たLargoというアルバムだと思う。 当時、日常的に聴く音楽の延長でジャズを聴くというのは、自分にとって少し難しく感じていた。ビル・エヴァンスはハードボイルド過ぎたし、キース・ジャレットは野性味を強く感じてしまう

ベストアルバム 2018

毎年恒例、セオ商事(というよりごく個人的な)ベストアルバム2018。今年は年末にかけて良いアルバムが次々と出て充実していました。改めて見ると邦楽を良く聴いていたかも? 1. BIGYUKI - Reaching for Chiron アルバム自体は2017年だけれど、今年観たライブが異次元にかっこよかった。このYoutube動画が一番その様子に近いけれど、実際のライブは4人編成で凄さ5倍増しくらい。マシンビート、人力を超えた先の新しい音像に痺れました。 2. Tendr

ニューQ Issue01 新しい問い号(創刊号)、Amazonでも販売開始となりました!

おかげさまで多くの注文をいただきまして、Amazonでも販売開始となりました。書店で見つけられなかった方、勢いを大切に購入されたい方、ぜひこちらでご購入くださいませ。 引き続き、全国書店にも流通を開始しております。書店で見つけられましたら、ぜひお気軽に手にとって見てください。 (写真は発送作業をおこなっている大掃除前の弊社の様子)

哲学カルチャーマガジン「ニューQ」を創刊しました。本日より全国書店にて順次発売!

いきなりですが雑誌を作りました! タイトルは「ニューQ」。"新しい問いを探す哲学カルチャーマガジン"というものです。12/20より代官山蔦屋、Shibuya Publishing(SPBS)はじめ、全国の書店で(流通の関係上じょじょに...)発売の予定です。 内容なのですが 「答え」より「問い」の方が面白い? ということをテーマに創刊号(新しい問い号)では、小説家の平野啓一郎さんのインタビューをはじめ、どのように「問い」を立て、考えていくべきか?ということを探求してい

人工知能に煩悩を持たせるには? / 「人工知能のための哲学塾 東洋哲学篇」 書評

特にエンジニアとしてDeep Learningや機械学習に取り組んでいる訳ではないのだけど、人工知能にとても興味を持っています。 なぜか? それは人工知能を考えることは「知能とはなにか?」「意識とはなにか?」という哲学的な問いを考えることでもあるからです。そのようなことに気づき、楽しく考えることができたのは三宅さんが主催する「人工知能のための哲学塾」に参加していたからなのですが、イベントの内容をまとめた新刊をご恵贈いただいたので、さっそく読んでみました。 前作である「人

最強の"いいね"ボタンを考える / スペキュラティブUX

ある日、Twitter社から電話がかかってきて 「ハートマークは便利だけどTwitterらしさを失ってしまった。新しい"いいね"マークを提案してほしい」 と言われたらどうしよう。という人に言えない感じの悩みがあったのですが、答えが分かったのでそのことについて書きます。 デファクトスタンダードに合わせると、おそらくハートとなるでしょう(Twitter / Instagram / note 参考)。 候補としては、☆、ハート、サムズアップあたりがパッと思いつくのではないで

読書メモ : ツールからエージェントへ。弱いAIのデザイン - 人工知能時代のインタフェース設計論 / プログレUX

正月休み中、THE GUILDの奥田さんが読んでいて面白そうと思っていた本を読んで見ました。 ツールからエージェントへ。弱いAIのデザイン タイトルにある"弱いAI"は何かと言うと、用途を絞ってタスクを実行するAIのこと。ルンバとか、アルファ碁(AlphaGo)はこちら。 反対に"強いAI"は汎用AI。「スターウォーズ」のC3POとか「2001年宇宙の旅」のHALが挙げられます。シンギュラリティなどの問題で話題となるのは大体強いAIですが、実現するまであと20 - 40

ベストアルバム 2017

音楽好きのセオ商事、各メンバーそれぞれ趣向は違いますが、自分が良く聴いたアルバム(新譜)をまとめてみました。去年に引き続き、今年も新譜がとても楽しかったです。 1. KASHIF / BlueSongs この視聴ダイジェスト見てすぐ光の速度で予約注文しました。今年一番聴いた一枚。70年代から現代までのありとあらゆるエッセンスが詰まった珠玉のAOR。 2. Braxton Cook / Somewhere in Between Christian Scottのバンドで来

読んでいないけれど この本が面白い 2017

今年といえば「読んでいない本について堂々と語る」スキルの習得にいそしんでいたので、その集大成として今年読んでいないけれど「面白かった!」という本について語ろうと思います。 (みんなの「読んでいないけれど面白かった本(積読本)」についても知りたいです) <以下、読んでない度の指標> A : 買っていない(ウィッシュリストに入れた) B : とりあえず買った(表紙 - 目次 - 前書きくらいは読んだ) C : 途中まで読んだ 人文哲学部門 : 中動態の世界 意志と責任の考

イノベーションとクリエイティブでは語れないこと

メリークリスマス! 「プログレッシブについて、"プログレッシブ"の意味をお互い一切共有することなく書く」 というアドベントカレンダー(12月1日からクリスマスまで毎日、グループで投稿するブログの流行りスタイル)を、3人で回すという荒業の最終回になります。おかげさまでプログレッシブなクリスマスを迎えることができました。 最後に、なぜ「プログレッシブ」というテーマで書いてきたのか、紐解いてみたいと思います。 ※ ここで「紐解いてみた」というのは、直感で始めたことの言語化が

趣味のユーザ体験を向上させる方法(SF編) / プログレUX

UXデザイナーたるもの、自分のユーザ体験をデザインできないといけないのである。 いや、自分の対人能力を向上させるとかそういうことではなく、単純に「自分の趣味を、より楽しむにはどうすれば良いか?」ということを考えてみたのでした。 ということで、趣味の「SF小説を読む」という体験を自分なりに試行錯誤したことを書いてみます。もちろん、ただ本を読むというのも立派な体験です。しかし、そのまま受け身に楽しむだけでなく、色々な行動と結びつけて世界を広げると、より趣味を深めようというモチ

分からないことのユーザ体験 後編 - 分からなさを実践してみよう! / プログレUX

ビットコイン、スナップチャットのUI、デヴィッド=リンチの作品などなど、流行っているものの多くが分かりにくいものであり、そしてそれぞれの「分かりにくさ」が体型化されていない。 今回は、その"分かりにくさ"という事象そのものを理解し、乗りこなそうという試みの後編となる。 前編 : 分からないことのユーザ体験 前編 中編 : 分からないことのユーザ体験 中編 - 良い分かりにくさとは何か? / プログレUX 良い分かりにくさのデザインパターン対象の価値を高める"良い分かり