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The Gold Experience


片づけTips

前回の続きである。

今回はナッジ理論の片づけへの落とし込みである。

書籍『自分を変える方法』(ケイティ・ミルクマン/ダイヤモンド社)に紹介されているナッジを片づけtipsへと昇華していきたい。

いつ始めるか?

何か新しい習慣を形成したり、行動変容を促すのに最適な時期やタイミングを考えることは、〝何を、どのように、どこでやるか〟を考えるのと同じくらい重要である。

いつやるか?

人は何かを変えたいと思うとき、新たなスタートのように感じられる瞬間を探そうとする性質がある。

なので、自分や他人の行動を変えるには、足を引っ張る古い習慣がない「フレッシュスタート(新たなスタート)」の状態から始めれば、とても有利な立場に立てるという。

フレッシュスタートの日とは、例えば、新年や誕生日、結婚記念日、月初めや週初め、仕事の休み明け、引っ越し後や育児などいった節目のことである。

しかし、そうした「白紙の状態」などはめったに訪れるわけではない。

私たちが変えようとしたい行動のほとんどが、すでに毎日の習慣に織り込み済みとなっているのだから。

ではどうするか?

白紙の感覚〟を利用しようよという考えである。

人は時間をひとつながりのものとして認識するのではなく、人生をさまざまな「エピソード」に分けてとらえ、日常の中の目立つ出来事、いわば「」からなる、起伏のあるストーリーとして認識する傾向にあるという。

過去・現在・未来が平坦な線でまっすぐに結ばれているのではなく、各エピソードが「」として存在し、それを一つ一つ結び繋げていくと、「山の稜線」のようになるイメージである。

こうしたストーリーに新たな章が始まるときは、自分の人となりや自分が抱えている問題などを表現する〝ラベル〟が変化し、それとともに自分も変わらざるを得なくなる瞬間となる。

このラベルが変化するときに自分に訪れる内面の感覚を〝白紙の感覚〟として利用するのが、行動変容には絶好の好機となる。

「学生」から「社会人」へ、「独身」から「既婚」、さらには「親」へ、「借家」から「持ち家」へ、「都心」から「地方」へとラベルが張り変えられると、私たちは自分をどのように表現するかだけではなく、どのように行動するかにも影響が及ぶという。

書籍では、「病気」とか「引っ越し」後の行動変容を例に挙げている。

ともに人生の重要な節目であり、自分の内面と深く向き合う機会であることから行動変容の成功率が高いという。

そして、その変化の度合いが大きいほどに効果的であるという研究結果もある。

わたしはこの効果を片づけによって起こすことが可能ではないかと考えるのである。

片づけは物理的に変化を起こすことで、環境に目に見える劇的な変化を引き起こす。

上記の研究結果にあるように変化の度合いに応じて効果が増すことから、散らかっていればいるほどに、伸びしろとして、片づけ後に還元されうるプラスの効果は計り知れないポテンシャルを秘めている。

片づけを「フレッシュスタート」の狼煙とするわけである。

片づけによって、強制的に環境に変化を及ぼす。
環境整備により白紙の状態に持っていく。

それによりマインドが変容し、〝白紙の感覚〟が生じる。

つまり、余白が充分に生まれることとなる。

片づけによって、行動変容のための肥沃な土壌が育まれる。

かの有名な世界的コンサルタント大前研一氏もこう言っている。

人間が変わる方法は三つしかない。 一つは時間配分を変える、二番目は住む場所を変える、三番目は付き合う人を変える、この三つの方法でしか人間は変わらない。 もっとも無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。

引越しは急には無理でも、片づけによる空間の整理整頓によりその場の環境は劇的に変えることは可能である。

これは広義の意味で住む場所を変えることになると思う。

よって、片づけでフレッシュスタート〝感〟を出せる。

tipsの補足として、リマインダーを設定する際につけるネーミングひとつとっても、行動変容の結果に大きく差が出るという。

例えば、毎日の片づけをリマインダーとして通知させるとする。

この際にただ「片づけ」というタイトルでリマインダーさせるよりも、例えば「人生を変える片づけ」とか「至高のかたづけ」、「鬼片づけ」、「スーパー片づけ」といったような、少々大げさすぎるネーミングにしたほうが、フレッシュスタート効果が働いて、行動変容に繋がりやすいのである。

片づけはいつやるかにこだわる必要はない。

始めたその時が自分にとってのとびきり旬なタイミングとなる。

目の前のモノを処分したときから、フレッシュスタートは始まるのである。

何か行動を変えたい、人生を変えたいと思った時にハードルが低く、かつ劇的に効果を実感できるのが、片づけなのではないかとわたしは考える。

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