とどまらず、絶えず自己を変革、超越する
「失敗の本質」
はなかなか読み進められなかった本ですが、メモを紐解くと気づきが多い。というか、読書のメモは絶対に取っておくべきで、さもなくば私のように記憶力が乏しい人は何もかも全て忘れてしまうという恐怖も感じました。
さて、著書にはこんな一節があります。
「足を靴に合わせる」ような教育方法が採用。ところが、海軍で聖典視された「海戦要務令」で指示されたことが、実際の戦闘場面で起きたことは、一度もなかったと言われる。
正解を導き出すテクニックは、小学校から中学、高校にいたる過程で何度も叩き込まれてきました。日本ではおなじみの光景かも知れません。少なくない人が受験戦争に巻き込まれ、割と苦労して大学に入るわけですが、受験の本質は「法則を知り、正解を導き出す」こと。
こういう問題が出たときはこう。この場合はこう。あんなときはここに気をつけて。いろんなスキルがあり、過去問をこなすうちに身体で覚えるテクニックです。塾などでは「いかに似たような問題を解かせられるか」が人気の多寡を決定するほど、過去の試験を分析して傾向を導き出し、講義に反映させることは塾経営の根幹をなす重要な要素だと思います。「答え」があらかじめわかっていれば合格率は上がりますし、その実績が生徒数の確保につながります。
シングルループ学習
という学習理論があります。日本軍の組織学習は、目標と問題構造を所与、ないし一定としたうえで、最適解を選び出すという学習プロセス。これは日本の教育、受験、さらには社会人になっても教育プログラムなどを通して、一定の「型」を習う傾向と同じだと感じました。
しかしながら私は、これが悪いとは思いません。というかむしろ、最初は「型」を学ぶべき。守破離という教えは、「型」を学び、身につけていると、ある段階で型を破るような飛躍を遂げることができ、ついには型から離れ「オリジナル」なスタイルを構築できるようになることを説いたもの。
何はなくとも「型」に自分をはめこみ、学ぶことから全てが始まるわけです。型にとどまり続けるのではなく、いつか「型破り」な行動を志向する意識を持ち続けたい。その先に、自分独自の理論を打ち立てるチャンスに恵まれることになるはずです。
必要に応じて、目標や問題の基本構造そのものを再定義し変革するという、よりダイナミックなプロセス。長期的に環境に適応していくためには、自己の行動を絶えず変化させ、現実に照らして修正し、進んで、自己を作り替えていくという自己超越的な行動を含んだ「ダブルループ学習」が必要不可欠だと思います。
ルーチンに停滞感を抱き始めたときはチャンス。行動のときです!
久保大輔
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