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手段(スキル)や数値目標は目的化してしまう


幅広く、深みある情報を獲得し、

ストックされたさまざまな情報を
取捨選択、組み合わせて

当意即妙に、臨機応変に
アウトプットする。

そのためには、

「無知である」

という謙虚さを失うことなく、

一方で遊び心をもちながら
情報に接すること。

頻度高く、かつ質の高い発信は
情報取得の巧拙による、

として昨日、
まとめてみました。

書いていて思うのが、
情報取得は所詮、「手段」にすぎないということ。

つまり「目的」があるかどうか。

目的を前提として
手段を語っているかどうか。

その関係性を無視した議論に
意味はありません。

なぜ発信をするのか。
なぜオンラインサロンなのか。
なぜサッカークラブを経営するのか。

目的と手段を混同してしまう
オーナー、もしくは経営者やリーダーは

意外と少なくありません。


■目的は見失ってしまうもの


欧米の帝国主義、列強支配から逃れ、
日本の自主独立と繁栄を

という目的を果たすために、
近代化を図り、経済を活性化させ、
アメリカとの開戦を選択。

いつしか、手段に過ぎなかった
「戦争に勝つ」ことが目的となり、

人々の豊かさが奪われていった
日本の歴史は

目的と手段を混同した悲劇として
人々の記憶に刻まれています。


国家レベルの「目的」が、
明確に言語化されていたにもかかわらず、

いつの間にか
判断基準がブレてしまう。

組織は大きくなればなるほど、
主体者の責任があいまいになりやすく、

責任転嫁を繰り返して、
自制心が働きにくくなるという

「システムの問題」もからんでいるので、
拙速に断言するつもりはありませんが、

言語化されていてもなお、
目的が見失われること
は意外でもなんでもなく、

簡単に起きてしまう危険性があることを
私たちは自認しておくべきだと思っています。


■数値目標は目的に紐づく

目的地に向かうとき、
目的地までの現在地を知るための目安として

「目標」

を掲げることがあります。

仕事でいえば、
普段の業務や成果を検証するときに、

客観的に進捗状況を把握するための
中間KPI。

ゴールに近づくためのサブゴールは、

売上1,000万円とか、
販売数1,000個、

サッカーでいえば
観客動員数15,000人、
ファンクラブ会員10,000人

といった数値で表されます。


数値を達成するための
手段として、

顧客データを分析したり、
アクションプランを考えたり、

そして
手段を実行できるスキルとして、

デジタルマーケティングの
知識や分析手法、

イベントや企画のアイデアを
誰よりも早くたくさん提案できること

などが重要視され

そららスキルを身につけた人は
組織で重用されることになります。


繰り返しますが、

これら手段は
あくまでも「手段」であって「目的」ではありません。

手段の前提には必ず
「目的」があり、

「目的」に照らしあわせて齟齬がない「手段」
が選択されるべきです。

仮に

「クラブに関わるすべての人を豊かに」

という目的(ゴール)があったとして、

数値目標(サブゴール)を達成するために
どんな手段を講じるべきか。

チケットの値段や座席表ではなく、
子どもや家族が楽しく過ごせる様子を伝えたい。

そんなウェブデザイナーの意思決定
が生まれるのは、

「目的を意識しているから」

に他なりません。

数値目標は手段と紐づきますが
目的ともつながっている、

ということも
決して忘れてはなりません。


■目的こそが唯一の拠りどころ

コロナのような未曾有の事態が、
今後はもう起こりえない

といった楽観論を語る人は
もはや限りなくゼロに近いでしょう。

これからの世の中は
予測が不可能であり、

予測することに価値がなくなります。

したがって、

あっという間に書き換わる
過去の常識を前にして、

顧客データを妄信するのは
極めて危険。

クラブに関わるすべての人が
不安に押しつぶされそうになるとき、

心の拠りどころとして、
目的地をいつも明るく照らしてくれる、

クラブのビジョンこそ、
唯一無二の信頼できる羅針盤

VUCAな時代では

どこに進むべきか、
選択に逡巡しても意味がありません。

真っ暗闇の中で光り輝く
一条の光(ビジョン)に

勇気をもって、
諦めることなく、迷うことなく

突き進むべきです。


顧客データは便利でありながらも、

当事者の恣意的な作業
というフィルターを抜きに活用されることはありません。

合理性と公明正大さを担保した数値と、
それによって導かれた方法論が、

変化の激しい世の中、
移り変わりの激しい顧客の心理に対して

どこまで効果的に機能し、
数値結果に反映されるのか。

誤解なきように言っておくと、
データのいっさいを疑っているわけではなく、

あくまでも目安として、

信じるべきは「経営者の目的、ビジョン」
そんな姿勢を大切にしたいと思っています。


■目的、目標、手段の違いを知る

仕事において、
重視されがちなのが数値と手段。

今月の売上目標があり、
売上を達成するために何をするのかという、

客観的で分かりやすい要素が
仕事の中心を担っていることが多い。

しかしながら上述した通り、

数値目標は
目的なしに意味をなしません。

手段(スキル)に傾斜しすぎると、
思わぬ落とし穴に出会う可能性が高い。

スキルはあくまでも、
リーダーのセンスを補完するものであり、

ビジョンを達成するための、
まさに手段にすぎないのです。

数値を達成できれば
なにをやってもいいという発想や、

希少性の高いスキルをもとにした
合理的な予測が本当に、

目的の実現に貢献するものかどうか。


目的を見失って、

手段が目的化したり、
数値の達成が目的になったりしていないか。

そしてそもそもという話ですが、

目的(ビジョン)そのものを
軽視していないか。

社長室に掲げられた理念が
有名無実化していないか。


日本のサッカークラブに
ビジョンが感じられないということは、

イングランドと比較しながら
noteでも考察しました。

言語化されてても
時間の経過とともに歪んでしまう「目的」

まるで薄い氷の上を歩くような
不安定な世の中で

目的(行き先、ビジョン)がないということは

自分の体重によって
じりじりと氷が割れていくのを

黙ってみているようなもの。


目的と手段(スキル)
目的と(数値)目標

それぞれの言葉の意味を
正確に理解して活用、実践すべきです。


※本稿は以下文献を参考にしました。
大きな嘘の木の下で ~僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。(田中修治)



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