テンプレート上の「作業」の誘惑に負けない
フリーになって、いろんなところに顔を出して仕事をしていると、あるとき仕事が急に集中してくることがわかりました。いかに効率よくさばいていくか。今できるところから、すぐに終わらせられるところからさっさと片付けていくことが最初のコツ。さもなくばたくさんの重い荷物を抱えて身動きが取れなくなります。
またすべてを「自分でやる」という姿勢も正したほうがいいかもしれません。かつて私は、営業戦略を立てて、数値管理をしながら、デザインの仕事も掛け持ちして、重い荷物を運ぶ重労働も率先してやっていました。でも今考えると、なんでも自分でできるという「傲慢さ」が透けて見えます。やろうと思えばできなくもないですが、それぞれの質は上がり続けることは決してなく、下がり続けるのが自然ではないでしょうか。
デザインなんてプロに外注すべきです。重労働しかり。その上で「自分にしかできないこと」に注力した方が効率的だと思います。見る、読む、話す、考えるなど、責任がともない、精神的負荷も高いこれらのことから目を背けるべきではありません。資料づくりなんかも同じ。それなりに人に見せられる成果物であり、人に示すことができる形でブツが出てきます。
こういう「作業」の誘惑ってすごい強いんですよね。あっさり言って仕まえば「テンプレート上の作業」であり、仕事ができなくてもとりあえずの作業は誰でもできます。「やってる感」を周囲にアピールできますし、なぜか評価される場合が多い。「がんばってるな、あいつ」のような情緒的な評価って、会社組織で出世したい人にとっては結構大事なんです。ですがその積み重ねで会社が良くなっていくかどうか?
デザインを外注すればお金がかかります。荷物を運搬したり、チラシを封入したり投函したりも、アウトソーシングで完結しますが、いうまでもなくコストがかかります。ところがコストとトレードオフの形で、「時間」を手にすることができ、その時間を「見る」「読む」「話す」「考える」ことに。それによって「売上」が上がって、コストを上回れば余剰利益が確保できます。その積み重ねが組織、もしくは個人の成長に。出ていくお金があるのであれば、浮いた時間を使って入ってくるお金を増やすべきです。
最近コンサルをしている組織にも、時間とお金の使い方に苦労している社員に出会いました。精神的なストレス、疲労を感じているみたいでヒアリングしてみると、かつての私と同じ「なんでも自分で」スタイルの働き方でした。心配性で責任感も強いので、悪気なくなんでもがんばってしまうのですが、「めまいがする」ほど働くのは是正すべき。
①できることからさっさと片付ける
②他者ができることは他者に
③外注費を浮いた時間でプラスにする
作業の誘惑に負けず、仕事の責任から逃げずに。自戒を込めて。
久保大輔
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