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その指示、伝わってますか? オンラインでも「言った言わない」の問題は起こる

「正しい答えを得るためには、正しく問わなければならない」というのは誰の言葉だったか覚えていないのですが、もはや常識として浸透していますよね。
それと同じく、「適切な結果を得るためには適切な指示を出す必要がある」。当たり前のことに思えますが、なかなか難しいことだと思います。

「それはどの車のことですか?」

もう何年も前のことになりますが、いまだに忘れられません。
あれは当時の職場の課長が出張のために山田(仮名)さんに車の予約を頼もうとした時のこと。

課長:「山田くん、6日の午後に車とれるかな?」
山田:「(社内の予約システムで予約状況を調べて)とれます」
課長:「おう、ありがとう」
会話終了

数日後、6日午前中
課長:「山田くん、車、裏口にまわしといてもらえるかな」
山田:「どの車ですか?」
課長:「この間とってもらった車だよ」
山田:「車はとっていません」
課長:「え、だって、この間車とってって頼んだよね?」
山田:「頼まれていません」
課長:「頼んだよ!」
山田:「車とれるかとは言われましたが、とれとは言われていません
課長:「あぁ!何言ってるんだお前は!取れるって言ってただろ!」
山田:「とれるとは言いましたが、とれとは言われていません
課長:「もういい!」
鈴木:「課長! 空いてる車ありましたから、すぐ鍵取りに行ってきます!」

もう最初の会話で落ちまでわかってしまったかもしれませんが、まったく盛っていません。本当にあった話です。
これ、山田がおかしいで片づけてしまえばそうかもしれませんが、でもこういう人はいますし、ちょっとの誤解で似たようなことはいくらでも起こりますよね。

オンラインでは、だれも山田さんをフォローできない

あの場では、「あ、山田がまたやばいこと言ってる」と察して動いた同じ課の鈴木さんのおかげで助かりましたが、オンラインでは鈴木さんが聞いているとは限りません。
チャットで山田さんと課長が話しているだけだったら、だれも課長のピンチには気が付きません。

じゃあ、部下が山田さんだったらどうすればいいの?

そんな時こそ、「適切な結果を得るためには適切な指示を出す必要がある」ことを思い出すのです! 山田さんでも鈴木さんでも同じように受け取って、同じように行動してくれると期待できる指示を出さなければならないのです!

「山田くん、6日の午後に車で出かけるから、空いている車を探して、6日の13時から18時まで予約してください」

ここまで言えば、山田さんでも車を予約してくれるでしょう。そう思いたい。
さらに、6日当日には、

「山田くん、この前予約してもらった車、鍵を受け取って駐車場から裏口へ回してもらえるかな。13時15分に出発するから、昼休み終わったらすぐに取りに行ってくれ」

までいえば、山田さんでも13時には予約した車のカギを受け取りに行って、裏口につけてくれると期待してもいいのではないでしょうか。

「言った言わない」はきちんと最後まで言ってから

よくメールやチャットでは文章が残るから「言った言わない」の問題にならないといわれていますが、もし課長がチャットで「車とれるかな?」といって山田さんが「とれます」と返していたら、「言った言わない」の問題は起きていないでしょうか?

山田さんは「とれるかと言われましたが、とれとは言われていません」といったに違いありません。

「言った言わない」の問題は起きてしまいますよね。
ただし、課長が「とれるかな」と言って「とれます」と返ってきた後に「じゃあ、その車を予約してくれ」まで言っておけば、「言った言わない」の問題にはならないように思います。少なくとも「予約してくれ」とは言っているわけですから「とれとは言われていません」とは言えないはずです。

日本語は主語も省略できるほどハイコンテクストなので、ついつい言葉を略してしまいがちですが、オンラインでのやり取りや多文化でのコミュニケーションが増えるこれからは、今までもよりも言葉選びに気を付ける必要があるかもしれないですね。
私は山田さんと働いた経験からだいぶローコンテクストになりましたが、それでもまだまだ甘いなと思うことが多々あります。日々、修行です。

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