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【みみ #42】難聴のお子さんをもつ親御さんのリアル


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久保田 由美さん


 子供に障害のあることがわかったとき、近所の子供たちと同じ地域の学校に通わせるのか、その学校の中でも特別支援学級なのか、または少し離れても特別支援学校に通わせるのか、親としては必ず一度は悩むだろう。


 中等度の難聴のある小学校5年生の娘さんをもつ久保田さんは、最終的に、ろう学校を選択した。

 当初、聴者であるお姉ちゃんと同じ地域の学校に一緒に通って「もまれてこい!って送り出すことも考えた」が、娘さんの性格を考えると「心が折れちゃうかもしれず、小さい頃にそれを経験すると立て直すのが難しいかもしれない」と、夫婦で出した結論だった。

 でも、そういった心のベースができたら、地域の学校に転校させるべきか、「今でもずっと迷いを抱えている」



 娘さんは、もともと一般の幼稚園に通っていたが、先生が娘さんの聴力に気付き、療育機関を紹介される。そこから聴力を測定すると、一番大きな検査音も聞こえない「スケールアウト」だった。そこから、4校ある東京都立の聴覚障害特別支援学校の一つである『立川学園』が開催する幼児相談に足を運び、最終的にそのまま娘さんを入学させるに至った。

 ただ、こうした相談機会には「多くの親子が足を運ぶが、実際に学校の幼稚部にそのまま入学する比率はあまり高くない」そう。送迎や付き添いといった親の負担はもちろん、「できればろう学校よりは地域の学校」という心理的ハードル、最近では医療側から早い段階での人工内耳の装用による言語能力の習得を勧めていることなども背景にあるようだ。


 一方で、特別支援学校に通う久保田さんの娘さんが地域の学校に触れないわけではない。地域の学校(通常学級)に副次的な籍(副籍)をもち、交流を通じて、居住する地域とつながることを目的にした、自治体の「副籍制度」を活用して、月に一回、「勉強というより、給食当番など普段経験しないシーンを体験させてもらっている」

 ただ、こうした活動の中で、中等度の難聴である娘さんは、大人数が一斉に何かをするガヤガヤしたシーンでは聞き取ることが難しくなる。ろうのお子さんには手話のフォローがある一方で、「グレーである故に、取りこぼされやすい」面も感じてきた。


 久保田さんがこう話すのは、何でも平等にしてほしいという主張では決してなく、娘さんがグレーである故の将来を考えたときに不安がよぎるためだ。

 娘さんの中等度の難聴は「障害者手帳をとれないレベル」だ。しかし、周囲からは「どうにかこうにかでも手帳を取った方がいい」と言われたこともある。手帳をもっていれば、将来は障害者雇用枠で就職できるが、そうでなければ、一般の採用枠の中で不利になるという意識が根強いためだ。


 もともと、聞こえる聞こえないに関わらず、人を雇用して仕事ができるかできないかはギャンブル的な要素があるはずだ。にもかかわらず、「障害というラインが出てきた途端に、違う判断軸が働くイメージ。その感覚が変わればとも思うが、まだ難しい」と久保田さんは話してくれた。

 久保田さんとは、そうした感覚を変えていくために、早い段階からの就労・職業体験のような場があってもいいでのはないかという議論も生まれた。しかし、特別支援学校の高校生でアルバイトをしている子は多くなく、親もさせようと思っていないのではないか、もしくはそういった機会があることを知らないのか、といった話も尽きなかった。


 ふと自らを振り返ると、このInclusive Hubの取り組みでは、視覚障害のある学生さんにアルバイトで手伝ってもらい、晴眼者がやっていた仕事を徐々に引き継いでいるところだ。良いことをしていると褒められたいわけではなく、手帳の有無の意味も知らないままに、意欲がある方がいたので、「この仕事を頼めそうかどうか」を考えただけなのだ。


 もちろん学校も忙しければ、企業も忙しい。すべての人に配慮することは不可能かもしれない。ただ、意欲がある子にとって、障害という軸ではなく、その特性にあった学校を選択でき、学校以外でも豊富な経験をできる場があり、「枠」に関係なく社会で挑戦できる機会が増えればいい。もしかしたら、会社勤めではなく、起業や個人事業主も大きな選択肢になるのかもしれない。


 久保田さんとお話しして、少しずつ私の想像力が広がってきた。






ここまで読んでくださった皆さまに‥


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