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【横断 #1】“障害”関連ボランティアのすすめ

須藤 誠一さん


 須藤さんとお会いしたのは、障害のある人もない人も楽しめる参加体験型スポーツイベント『チャレスポ!TOKYO』の会場。車いすラグビーとトライアスロンへの参加体験を補助するボランティアをされていた。

 聞けば、ホテルニューオータニのベルボーイ出身。バブル景気の真っただ中で、銀座並木通り沿いの高級バーに誘われ、その後、新宿・六本木・赤坂などを渡り歩いた。そのネットワークからバブルが弾けてもお店の立ち上げを支援するなど水商売の道を歩み続け、「最後は伊豆修善寺のホテルのカラオケバーで店長を務めていた」。


 そんな2020年。伊豆修善寺で東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技が開催されることになり、ボランティアの募集を見つける。「国際審判員の接客係」。予期せず、ホテル時代の海外のお客様対応や水商売で学んだお酒の経験も活かされた。

 当時、水商売を続けるには体がしんどくなり、1.2cmの腫瘍も見つかっていた。「今まで、世間一般様からすると、水をお金に変える、悪いイメージの仕事に携わったのかもしれない。だから、これから社会貢献と恩返し。」と心が決まった。水商売を卒業し、「自分はお金を出せないから、体を提供するだけ」と、そこからボランティアの道に邁進した。


 どんなボランティアを?と聞くと止めどなく出てくる。スポーツ関係なら楽天オープンテニスやアイスホッケーの横浜グランツ、マラソンなら東京や横浜、映画祭から超ダイバーシティ芸術祭として名高い『True Colors Festival』まで、そして車いすラグビーのオセアニアチャンピオンシップや東京パラダンススポーツ国際大会も。

 「あわせて資格や講習も必要になってくるんだよ」。これも聞けば、接遇系の資格はもちろん、普通救命救急、さらには『初級障がい者スポーツ指導員』や『障害者スポーツサポーター』と、その数は20以上にも及んだ。


 そんな多様なボランティアを経験した須藤さんには、見えてきたことがある。今やボランティア自体がブームで人気のイベントは採用の倍率も高い一方で、「“障害”と付くと、何かあったら困るというイメージが未だにあるのか、倍率が低くなり、下手すると定員割れになる」こともあるそう。さらに「東京はいいけど、地方に出て、かつ小さいイベントになると、ボランティア不足が加速する」ことも教えてくれた。

 また「“障害”関連のボランティアを選ぶ人は、経験豊富で臆さないからか、高齢の方が多い」。だから、「若い人にもっと広がってほしい」。学校を出て、20代で、何がしたいかわからない人がいたら、「頭でっかちにならず、当てずっぽうでも、まずは片っ端からやってみたらいい。ただ、その一つに障害や福祉の“枠”も入れて欲しいんだ」。


 障害のある当事者やご家族を含めた支援者の方々から、もっと子供の頃から障害に触れてくれれば理解が深まると何度となく聞いてきた。須藤さんとお会いした『チャレスポ!TOKYO』の会場でも子供たちは障害のあるなし関係なく一緒に笑顔でパラスポーツを楽しんでいた。確かに、ボランティアの方々は年配の方が多かった。でも、この会場に来られたお子さんたちもいつかボランティア側に立ってくれるのではないか。

 「初めてお会いした頃からずいぶん変わりましたねぇ」なんて、近い将来、また同じ会場で須藤さんと話してみたい。


▷ チャレスポ!TOKYO


▷ True Colors Festival



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