見出し画像

【こころ #55】大企業から生まれた、障害者就労の新規事業


⭐ ファン登録のお願い ⭐

 Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。

 このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。

🔽 ファン登録はこちら 🔽



山本直さん、井川翼さん


 既存事業の拡大で業績を伸ばしてきた従業員数千名の大企業。過去30年間で新規事業をリリースしたことはない。

 そう聞いただけで、「新しいことを始めるのは大変そうだなぁ」と顔をしかめる人も多いだろう。しかし、新規事業どころか、さらに障害をテーマに立ち上げたのが、BPO事業を中核にする株式会社TMJの山本さんと井川さんだ。


 山本さんはもともと小学校の特別支援学級で教える教職員だった。その後、「障害は社会側にある」を標榜して就労支援や教育サービスを提供する株式会社LITALICOに移り、大人も含めた直接支援から人材開発まで幅広い経験を積んだ。

 そんな山本さんが、なぜBPO事業の会社に転じたのか。


 『Planned Happenstance(計画的偶発性理論)』。キャリアは偶然の要素に左右されるものが多く、偶然に対してポジティブなスタンスでいる方がキャリアアップにつながることを意味する。

 「人が喜ぶとか幸せになるために自分のパフォーマンスで貢献できるか。目の前のご縁を大事に、ワクワクする方向に動いたら、気付けば障害福祉に子供から大人まで関わっていました」

 学校教育という枠組みから、社会という枠組みにアプローチ先を広げていったが、翻って一つひとつの現場がどこまで変わっているか。「一社にグッと入り込んで変えていくことも大事」と思うようになった時に偶然舞い込んだポストが、TMJという「大企業の中でのダイバーシティ推進」。「大変そう、でも経験として面白い」とポジティブに受け止めた。


 入社してすぐに見つけたのが、井川さんが所属する部署が運営するビジネスデザインコンテスト。「本業での改善が強い分、飛び地を開拓する能力に課題感があった社に、イノベーション文化を根付かせる」ことが井川さんの狙いだった。「何でもあり、誰でも来い、めちゃくちゃ参加しやすい建てつけだった」と山本さんは振り返る。

 そこで山本さんが「入社直後でアジェンダが少ないうちに、やりたいことをこっそり出した」のが、その後、コンテストで優勝し、実際にいま新規事業として立ち上がった『poshulou(ポシュロウ)』だ。働くことに障害のある方に向けた、動画等をベースとした、就労に向けた学習や情報収集がいつでもどこでも、自分のタイミングでできるWEBサービス。日々体調を管理する機能もついている。



 たしかに『poshulou(ポシュロウ)』は飛び地だし、プレゼンテーションも素晴らしかった。ただ、井川さんにとっては、それ以上の「衝撃があった」。

 井川さんは、かつてコールセンターのバックオフィスの責任者として障害のある方の採用を検討したことがあったが、自分こそ「”こういうことしかできないんだろうな”とバイアスがかかり可能性を狭めてしまっていた」ことに気付かされた。

 そして、障害ではないが、自分も同じような環境に苦しむ側でもあったことを思い出す。「実は学歴コンプレックスで、自身の仕事の出来を学歴で判断されるような経験もしてきたんです」。マイノリティとして苦しんだ環境が「障害とリンクした」

  障害に限らず、誰にも大なり小なり困難さがあり、それを生んでしまう構図は同じ。そこに気づけるかが大事とお二人が話してくれた。


 こうして山本さんと井川さんが「二人三脚で」育て始めた『poshulou(ポシュロウ)』。

 経営層にぶら下がる組織と位置づけることはもちろん、「ゴールの状態を描いてから動く」「既存の会議体で報告する」のではなく、「例えできていなくても最速で進める」「意思決定者には短いスパンでシェアする」など、仕事の進め方の発見もあった。

 あわせて、社外で取り組みに共感してくれる応援者を巻き込んでいくことで、社内に対して事業を進める「既成事実を積み上げていった」


 こうした積み重ねの成果は、『poshulou(ポシュロウ)』自体を超えて広がった。

 この取り組みが社外へのアピールに使われることはもちろん、社内の別の取り組みでも「デザインにユニバーサル性をもたせたい」なんて相談の声が上がるなど、障害をめぐる社員の意識に変化が生まれた。

 この取り組みがどうやって生まれたか、社内広報などでプロセスも開示すると、「新規事業はそこまで遠くない」「楽しいかも、やってみよう」といった声が増え、ビジネスデザインコンテストへの応募はこれまでの100件から1000件へと一気に増え、社員の提案率は95%という驚異的な数字が生まれた。

 さらに、新しい提案が生まれることで、それまで機能別に分かれていた部門間を超えて「何か協力できないか」といったコミュニケーションも増えている。

 『poshulou(ポシュロウ)』を起点に、井川さんが当初から目指してきたイノベーション文化が社内に育ち始めている。


 今後は、働くことに障害のある方向けのWebサービスである『poshulou(ポシュロウ)』に対して、雇用する企業向けに障害者雇用における採用や人材定着に関するサポートを行うためのサービス『poshulou lab(ポシュロウラボ)』の開発にも取り組んでいる。

 山本さんと井川さんのお二人は、働く人と雇用する企業の双方からサポートを提供することで、より多くの人が自分らしく働ける社会の実現を目指している。


 大企業における新規事業×障害は、ハードルが高いように感じるかもしれない。実際、そうだろう。でも、今回のお二人を参考に、大企業発の障害分野での新規事業が始まってほしい。

 一足飛びにいかなければ、まずは『poshulou(ポシュロウ)』をのぞいてみることから始めてはどうだろう。


*直近の『poshulou lab(ポシュロウラボ)』無料オンラインセミナーはこちら



ここまで読んでくださった皆さまに‥


⭐ ファン登録のお願い ⭐

 Inclusive Hubの取り組みにご共感いただけましたら、ぜひファン登録をいただけますと幸いです。

 このような障害のある方やご家族、その課題解決に既に取り組んでいる研究開発者にインタビューし記事を配信する「メディア」から始まり、実際に当事者やご家族とその課題解決に取り組む研究開発者が知り合う「👀ミートアップ👀」の実施や、継続して共に考える「🤝コミュニティ🤝」の内容報告などの情報提供をさせていただきます。

🔽 ファン登録はこちら 🔽


「👀ミートアップ👀」の様子はこんな感じ


「🤝コミュニティ🤝」の様子はこんな感じ



⭐ Inclusive Hub とは ⭐


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?