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【こころ #13】サステナブルな当事者コミュニティ運営へ

hoshuさん(後編)


前編から続く)

 大学時代に統合失調症の陽性症状から精神病院に3か月入院したhoshuさんは、その後、一転して「3年ぐらい陰性症状で、毎日16時間ぐらい寝ているような生活だった」。そうした中でも、ご実家がお寺だったこともあり、当時のhoshuさんにとってはものすごいきつい修行に耐えて、22歳でお坊さんの資格を取得する。あんな状況から「修行を乗り越えられたことが大きかった」。

 でも、家族から見れば、寝ててやりたいことをやっているだけと文句を言われる。貯金もなく、中国語も話せなかったが、知り合い伝手に北京に渡り3年間を過ごした。さらにそこで出会ったアーティストに誘われて今度はウィーンに渡り1年間を過ごした。

 ウィーンのアートフィールドには「日本にいたら精神病院に行っているような人が多かった。欧州は人と違うのは個性だが、日本は人と違えば排除する。欧州は、精神障害があってもアートという受け皿があった」。

 実際、前編でご紹介したLINEグループなどを通じて累計1200人もの統合失調症当事者と関わってきたhoshuさんによれば、統合失調症によく見られる「過剰な不安は、裏を返せば繊細な感覚を持っているということ」。そこに普通の人と違う発想もある。故に統合失調症当事者は「繊細な感性や、アーティスト性が優れているんだと思う」。それに続いた言葉が印象に残る。「振り子はやがて逆に振れ、苦しんだ分だけ楽しい世界にもたどり着けるはず」。


 hoshuさんは前述のような経験も経て、2012年からブログを始められ、そしてLINEグループ「すきゾ!」のコミュニティを続け広げている。始めた当時、他の精神疾患当事者の発信は「絶望感に向かって進んでいるものしかなかった。だからポジティブな発信を始めた。同じ当事者に絶望する人が少なくなってほしかったから」。

 しかし、こうしたコミュニティは、前編でも少し触れたが、hoshuさんお一人で「毎年500円の“任意”の募金」で運営されている。それ専用のスマホを持ち、入会管理や会員同士のトラブル対処などすべて「運営管理するのが個人だと大変」なのが現状だ。

 「障害のある人は生活が苦しい方が多いので、そこから収益は得られない」。他方で、これからも“健全に”持続するためには、福祉分野によくある「ボランティアでやらないといけない風習」にも限界がある。

 そのため、大学の研究への協力や自治体助成金の申請など少しでも続け広げる努力をしているが、そこからさらに企業の協力や援助を得る方策については「まだイメージしづらい」ままだ。


 最後にhoshuさんから提起された課題は、障害の種類を問わず、当事者やそのご家族の重要な支えとなっている個々のコミュティに共通する課題かもしれない。弊社もこうしたコミュニティにうまく資金が還流していくような仕掛けをつくることを目指していく。



▷ すきゾ!



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