見出し画像

ピンチをアドリブで乗り越える技 57/100(Beats)

自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。


決め台詞や、ここぞと思う瞬間には、あらかじめ碇を置いておき、その碇と碇の間は、その場に傾聴をすることで、アドリブで進んでいく、という話を昨日しました。

書き終わってから振り返ってみると、まさに『碇』だなという実感がありました。

到達するべき地点は決まっているのです。その『碇』を目指して航海します。

その目的地とは常に繋がっていながらも、時には大波に襲われたり潮の流れに押されたりして、そこまでの道のりには浮き沈みがあり、大きく蛇行したり、高速で一直線に向かったりと様々です。

ここに、自然な生きた演技が発生するのだと思います。

『碇』なしに自由航行するのがインプロ、即興でしょうか。

(碇と書くたびにゲンドウやシンジが頭をよぎりますね。ちなみに錨は洋船の2本爪アンカー、碇は和船の4本爪を指すらしいです。碇の字は、もともと「石を定置させる」からきてるとか。)

例えば、商談やプレゼンで、商品や企画を提示するとしましょう。

この時の『碇』は目の前に商材を出す瞬間になりますね。

プレゼンならば原稿(台本)があるでしょうし、商談でも常套句があると思います。しかし、問題はこの『碇』へと繋がる、その前段階をどのように持っていくかです。

表現の部分では、重心やThe Witness、目線、振動させる部位、三つの輪などを駆使して、相手に伝わりやすい所作を心がけます。これは技術、ツールの部分です。

では、思考の方はどうでしょうか?

『Objective』(願望)はいくつも選択肢が有りますが、
「相手を感嘆させたい」
と、しておきましょうか。

そうすると、『Obstacle』(障害)は、芝居ならば台本に書かれているシナリオに準ずれば良いのですが、原稿や常套句には相手の出方が書いてありません。

単純に、「相手の反応が予測出来ない」とするのも手ですが、これは演技をする上での助けにはならない、シナリオ上の障害です。

もっと実戦向きなものを探りたいですね。

うーん。

そう考えると、もしかしたら『Objective』は
「相手の様子を探りたい』

そして『Obstacle』を
「本題に入る前の時間を、あまり取れない」
と、するのもアリかもしれません。

単純に言い換えれば、

初めから本題には入らずに、相手の様子を探る作戦

ってことですね。

『碇』は手前にもう一つ、定めておく必要がありそうです。

こうする事で、ここには『Beat』や『Unit』(流派により呼称が異なる)と呼ばれる、区切りが生まれるということに気がつきます。

一つの『Objective』(願望)に対して一つのシーンというのがルールですので、

冒頭、相手の様子を探る

本題を提示するまでの一連の流れ

は、2つに分けて捉えたほうが良いのではないか?ということが見えてきます。

もちろん、これは原稿のあるプレゼンの場においても同じです。

何を改まって、そんな事は当然だと思われるかもしれませんが、こうやって論理的に分析する事で、感覚的なことから、確信的なツールへと変わります。

演技をするときはもとより、日々考えなくてはいけないこと、気をつけたい事はいくらでもある中で、調子の悪い時に使えるツールがあった方が、私は心強いです。

まあ、それでも見事にコケることも、勿論ありますが!

今日の投稿は、少し右往左往しましたね。
それこそ、潮の流れが早くて、見失いそうになった感覚です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?