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#morethancoffee 夢と現実とも真っ直ぐに向き合う石井康雄

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先日Design Thinkingについて、LEAVES COFFEEの石井さんと会話してきました。物凄く楽しい時間でした。とても面白い話で、想像を超えた以上に勉強になりました。アイディアを整理するため、もっとも印象的なキーポイントをメモとスケッチにしたものをここでシェアします。同じく、クリエティブな視点からビジネスの作り方、またスペシャリティコーヒーが繋がるカルチャー、ライフスタイルに興味を持っている方にも楽しく読んで頂ければ、うれしい限りです。

ビジネスのDNAと美学

ウェブで石井さんの名前とLEAVES COFFEEで検索してみると、元ボックサー選手の話がチラッと掲載記事に書かれたように出てきました。昔話や人の視点に左右されないように記事を一切読まないことにしました。書かれたイメージを意識しないように純粋な気持ちで本人から話を聞きたいからです。

素早くメールのやり取りをしてから、スクリーンの向こうにあの憧れのLEAVES COFFEEの看板の前に石井さんが真正面に現れました。初対面にも関わらず、緊張感より親近感が強くてホッとさせる第一印象でした。

自己紹介をまずお願いして本題に徐々に入っていくつもりでしたが、あっという間に石井さんはプロ選手の夢から飲食店の幅広い経験、それから2010年に店を出し、独立した転機まで語ってきました。また素早いスピード感でした。その中、「単細胞」、「夢を追っている人間」、「まっすぐしかない」と言った言葉がバババト響いていました。最初の夢に挫折して、また別の道で立ち直し、新しい夢を叶った創業者の話はどの時代でもありますが。その経緯より今の石井さんが知りたいです。そこで、彼がさりげなく、うまくプレゼンしてくれました。しかも人を中心としたビジネスの基本と美学がはっきりと伝わってきました。

石井さんが経営者として一番大事にする要素を三つに並べて、説明してくれました。キーメッセージは次のようにまとめてみました:
・「パーソナル personal」- お客さんにすぐ分かってもらえて、好感度を持ってもらえる個性、ブランドの良さのこと;

・「テクニク technique」- お客さんに評価してもらえる、またチームのみんなにもマスターできる専門知識や技術やノーハオ (know-how)のこと;

・「マインド mind」- 自分のことを客観視できる心得;夢、需要、供給を常にバランスできる思考力、決断力のこと;ただ、話を全て聞き終わって、よく考えてみると、その要素は自分にはこのように見えてきました。

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Persona: オンナーの立場になったら、自分のビジネスに個性を作り出す可能性、あるいは勝手はいくらでもありますが。それを店頭とかで、お客さんと接する現場にインスタントで感じてもらえるのは石井さんが求める、人に共感してもらう価値のある個性です。これは決して簡単なことではありません。

Expertise:コーヒー業界もクリエティブ業界もだいたいスペシャリティサービスで勝負する以上、専門的なこだわりを持つことは武器になります。それを身に付けるのにはタレント、勉強、練習(失敗)、時間の積み重ねること、またそれをよく落とさないようにチャレンジし、昇進することはコアです。ここはまたお客さんに納得してもらわないと意味ないです。商売にならないから。石井さんはここが最も難しいと強調していました。

Empathy:夢を専念すると、周りが見えないとよく言われます。需要と供給と言ったら、一見当たり前なことですが、それだけに没頭すると、楽しくないし、チームからお客さんまで、人の心を感動させるビジネス的な輝きは出てこないでしょう。石井さんが実践しているのはこの三つのバランスを如何に取り合うことです。お客さんのニーズもスタッフの望むこともよく理解した上で、それをいつも共有できる事業の形にしていくことが彼の心得だと分かりました。

Vision:人生や仕事の経験を景色だと思えば、何となくたくさん見てきた人こそ心もいつも広く優しく感じられます。逆にたくさん景色を見ていきたい人は、心もひろきやすい傾向がありますね。長くて広い目線で作っていくビジネスは基盤も強く育てますし、変化していく環境の中を乗り越え続ける力が磨きます。経営者にはそれなりの努力と度胸が必要でしょう。石井さんには多彩な景色を見ていく姿勢をしっかりとっていると私は思います。

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その四つの要素だけではありません。人つまりお客さん、チームを中心とした真実に基づいて、スピーディーにビジネスを前に進めたり、見守ったりするのは石井さんが築いてきたビジネスの信念です、これから成長していくLEAVES COFFEEのDNAとも言えるのでしょうか。

ここで一旦ズームアウトしてみて、石井さんのビジネスの未来図も少し見えてきました:

・洗練された技術を活かす;
・暖かさ、愛情がちゃんと伝わる;
・新しい景色を先に眺められる道を作る;
・チーム、客層、コミュニティと価値観を共有できる。

Outsider vs Insider

スポーツの世界から飲食業界に飛び込んだ石井さんはOutsiderから、10年以上をかけて七店舗も経営しているInsiderとなりました。いろんな飲食店で見学してきた彼は、すでに形ができている、直接参考にできるような店とは違って、オリジナルの店をスタートすることにしました。彼の言葉でMinorityの店で、マーケットにおいて、とちらかというと少数派です。Insiderのルールに限らず、自分なりに新しいものを作り出す、大胆に挑戦するようなOutsiderの選択肢を石井さんがずっとしてきました。

今回もコナラの危機に迅速に対応し、スタッフたちの将来を考量するため、彼はLEAVES COFFEEだけを残して、他の店を全部店長や料理長にあげました。これもまたある意味InsiderからOutsiderの身に切り替えが早いと言いますか、覚悟があったこそ決断できることでしょう。

これらの選択肢は業界のInsiderからどうみているかは分かりませんが。Outsiderである自分の目から見ると非常に興味深いです。

先生の教えより自学で勉強が楽しめること、スポーツの練習に育った心境と身の切り替えの速さを石井さんが若い時から自覚していました。そしてそのような特徴を自分の得点にうまく使ってきました。少数派の冒険はさすがに自学のできる人間しかできないことですし、またスピード、失敗を惜しまない勇気、実験の繰り返しに全力を出して、はじめて少数派しかできない特技が持つようになりました。

先の客観視のことにもなんとなく繋がっているような気がしますが。一途になって夢をまっすぐ追っている人間はどのようにして、冷静に自分のことを常に反省する能力は守ることができるのでしょう。そして方向性を調整することはいつ、どこかで、判断すればいいのでしょうか。一旦レースに戻ったら、初心者の気持ちを改めて出せるのでしょうか?特に創業者にとって、自分の発想と人、周りの声をどれだけ取り入れれば、正しいのでしょうか?どれも微妙でなかなか難しいことですが、Outsiderの心構えが常にした方が良いのではないでしょうか。

このようなOutsiderになれるのには

・自分が見ている夢と積んできた経験との距離感;

・自分の考え方、業界の常識との違和感;

それを意識的に保つのが肝心なのではないかと思っています。

ここでまたズームアウトしてみましょう。石井さんは昔戦っていたボックサーのフィールドから遠くに離れましたけれども、この十年で作り出してきたブランドはまたスペシャリティコーヒーのフィールドに立っています。ここでプロ選手及びリーダーとして、フィールドの中心ではなく、一歩離れたところで、既存しているお客さん、近ついてくる潜在なお客さん・ニーズ、パートナー、試合の環境(関連業界、社会的な環境)、そしてそれぞれ違う個性の色で一緒に取り込んでいる同業者たちなど、全てを視野に入れるOutsiderでいなければなりません。

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ただし、冷静なOutsiderでいるだけでは、人を中心としたビジネスをやり続けてはいけないかもしれません。愛着が着かないということでしょうが、自分が楽しめないと、人に幸せに思わせるような仕事はまずできないと石井さんも同感です。

ここでは Outsiderなりにリングを憧れながら、眺めている好奇心と熱意とも必要とされます。また、自分の言動が現場の雰囲気にも少しでも影響を与える団体意識、大きな責任感を持たなければなりません。

要するにInsiderの洗煉とOutsiderの覚悟が夢を真ん中に両立できるものが強い方になれると思えます。二つの自分をお互いに見えるような透明感がある環境、夢を現実化する執行力、試合の舞台のように、選手たちが刺激し合うことが常にできるプラットフォームをチームの中でも、町のコミュニティーでも、業界でも作れるように努力していくのはこれからビジネスの進み方だと考えたいですね。

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今思うと、石井さんにLEAVES COFFEEというブランド名の由来を聞き忘れました。2020年は意外な出来事が多すぎて、切なくても、新しい季節を次々と迎えてきました。東京もやがて秋の気分になったそうです。代々に生まれ変わる植物のようにLEAVES COFFEEが生命力が強い、永続的なブランドになってほしい願いがこの名前に込められているのでしょうか。そして、木のように根強くどんどん成長していくことと同時に、多くの人々の頼りにもなって、みんなを優しく見守ることができる存在になりますように。彼を最初にスペシャリティコーヒーに繋げたあの豆のように、ナチュラルポロセスでいい、オーガニックに石井さんなりの森になるように心から祈っています。

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Punch up

石井さんと顔合わせをする前にもメールのやり取りにパンチがありました。会って話をしてから、まさにポロ選手の芯が強く感じました。キャリアの領域が全く変わったとしても、常にスピーディに真っ直ぐに自分、または周りと向き合う覚悟と実力は石井さんしかできない魅力だと思います。



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