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『サン・ペドロでの怒り』

be angry at san pedro
Charles Bukowski

オレは言う、「ジェファーズは大した詩人だ、
”太陽に向かって怒れ”なんてタイトルをつけるんだからな
これがどんなに重要なことかわかるか?」

「あんたはそういう悲観的なものが好きなだけでしょ」女は言う

「まったくその通りだ、」オレは同意する、
グラスに入った酒を飲み終えもう1杯注ぐ
「ジェファーズの詩には、太陽のやつじゃなく、女が種馬をファックする詩があってその女の夫がどうしようもなくロクデモナイ精神の持ち主だからだ。信じられる話しだ。そして夫のほうは種馬を殺しに行くが逆に種馬に殺されちまうってわけだ」

「ジェファーズなんてこれまでに聞いたこともない、」女は言う

「オマエはビッグサーを聞いたことがないのか?D.H.ローレンスがタオスを有名にしたようにジェファーズはビッグサーを有名にしたんだ。偉大な作家は自分が住んでいる場所を書くとロクデモナイ大衆が押しかけてきてそこを乗っ取ちまう」

「だったら、あんたはサン・ペドロについて書いているじゃない、」女は言う

「ああ、」オレは言う、「最近の新聞は読んだか?やつらはここにマリーナを建てるって話しだ、世界でもっともデカイマリーナの1つになる、数十億のカネだ、クソデカイショッピングセンターができ、ヨットとコンドミニアムで溢れるだろうな!」

「考えてみると、」女は笑みを浮かべながら言う、「あんたはまだここに住んで3年じゃない!」

「まだどうするかはわからねえな、」オレは言う、
話題を変えよう
「とにかくオマエはジェファーズを読んだほうがいい」
 

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