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売文ー詩、短編、詩小説、ブコウスキー翻訳

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  • 狂った足音に引き裂かれた夜

    the night with mad footsteps Charles Bukowski

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『詩 ロクデナシの1人』

寡作だがそこそこイイ詩を書くカビ 素敵な1軒家に住むカビ 年に数回ガールフレンドに会うために南国へ出かけるカビ ロクデモナイ詩人たちの中では生活にゆとりがあるカビ 数万円はするTシャツをいつも着用し、 ピカピカの高価に見える革靴を履くカビ 髪はサーファーのようにセクシーで、 歯は天然塩を使って磨くので歯茎は乙女のピンクのカビ 「どうやってそううまくやってるんだ?」ロクデナシの詩人の1人が言う 「赤い封筒とピカピカのコインさ」カビは言う 伸びた前髪を耳にかけるカビ 鏡に映る自

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    • 『ギター』

      guitar Charles Bukowski 幸運なことに オレたちには多くの訪問客がいるわけではない だがオレたちが客をもてなすとき 客の誰かが女のギターが壁に立て掛けてあることに気づく それがその夜を台無しにしてしまう 「あぁ、ギターがあるじゃないか!」 「そうよ!」女は言う 「少し拝見してもいいかい?」 「もちろんよ!」女は言う 訪問客はギターを手にし 戻ってきて 腰を下ろし 弦をかき鳴らし始める 「弾けるのね?」女は聞く 「少しだけだがね」 そして

      • 『すべてのギャンブラーへ』

        gamblers all Charles Bukowski 時々朝ベットから這い出て思うことがある “どうやってやっていきゃいいんだ” だが心の中で笑っちまう これまでずっとそう感じてきたことを思い出す バスルームへ行き、ションベンをし、鏡で自分の顔を見つめる、なんてこった、なんてこった、なんてこった、それでもオレは髪を梳かし、外出用の服に着替え、ネコにエサをやり、ロクデモナイことが書かれた新聞を取りに行き、それをコーヒーテーブルの上に載せ、女にキスをする それから人生その

        • 『南湾高速道路』

          harbor freeway south Charles Bukowski 交通事故に遭遇すると どこにもいない死んだ犬たちが吠える 3台の車が事故にあった 1台はグリルを下にして逆さになり 他の2台は横倒しになり タイヤがゆっくりと回転している 3台の車が静止している: 真夜中の奇妙な光景 その事故はただ起こった 車の中でピクリとも動かない身体が見える 高速道路の中央分離帯に おもちゃのように散乱する車 そこに着陸した宇宙船のようにも見える 現場を通り過ぎる

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        『詩 ロクデナシの1人』

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          『午前1時36分』

          One thirty-six a.m. Charles Bukowski タイプライターに向かうセリーヌ、あるいはドストエフスキー、、、あるいはハムソンのことを考えて時々オレは笑ってしまう 足があり、耳があり、目があり、髪も残っている平均的な男たちが人生に困難を抱えながらも気が狂いそうになるほど困惑しながらタイプライターに言葉を撃っている ドストエフスキーは立ち上がり ションベンをしにタイプライターの前を離れる グラス一杯のミルクを飲み カジノとルーレットについて思いを馳

          『午前1時36分』

          『なあ、元気か?』

          hello, how are you? Charles Bukowski やつらが恐れていることは何だ:死 少なくともやつらは路上にはいない、やつらは注意深く家の中で過ごす、青白い顔をした狂ったやつらは1人テレビの前で過ごし、加工された、バラバラの笑い声に満ちた人生を生きる 小さな家の 小さな緑の芝 駐車された車 やつらの理想の近所 休暇のあいだ やつらの親族が訪ねてくるたびに 小さなドアは開閉する 扉は閉まっていく ゆっくりと死んでいく瀕死の者たちの背後で まだ生きて

          『なあ、元気か?』

          『やつらは何を必要としているのか』

          they need what they need Charles Bukowski サンペドロには世界中でもっともデカい航空機の1つがある その航空機はもう飛ぶことはなく 世界中でもっともデカい客船の隣に留まっている その客船ももう航海することはなく 蒸気上げるほどの夏の昼下がり人々は列をなし 動かなくなった記念物を見物するためにカネを払う やつらにセザンヌかミロのような有益で本物の何かを見せてやれ やつらはただオマエを見つめ訝ることだろう

          『やつらは何を必要としているのか』

          『キツネのようにズル賢い』

          crazy as a fox Charles Bukowski クリスマスシーズン オレはまだ少年で 母親と2人でデパートにいた 母親はガラスケースの前で立ち止まり オレもその前で立ち止まった ガラスケースの中はおもちゃの兵士たちで溢れていて、 ライフルや銃剣を持った兵士たちもいて、 たくましい馬に乗った兵士たちもいる、 おもちゃの大砲やマジンガンをぶら下げた兵士たちもいた 有刺鉄線を張り巡らせた本物のような塹壕や飛行機や戦車さえあった 母親が聞いた「欲しいかい、ヘンリー?

          『キツネのようにズル賢い』

          『ネコとオマエとオレ』

          cats and you and me Charles Bukowski エジプト人はネコを愛し 多くの場合自分たちの子供と埋葬されるよりは ネコと埋葬されることを選び イヌと埋葬されることは決してなかった そして現在 ネコの魂を持つ素晴らしい人間は滅多にいない とはいえ今も昔も 多くの美しい品格あるネコたちが 世界中の路地をぶらついている 今夜の口論についても たとえそれがどんなことでもあったとしても そしてそれがオレたちをどんな不幸な目に合わせようとも どこかに

          『ネコとオマエとオレ』

          『コンピューターでタイプする』

          spelling it out on computer Charles Bukowski エンター、コンピュータはここだと言う ディリート、コンピュータはそこだと言う リターン、コンピュータは言う シフト、コンピューターは言う コンピュータは言う、コントロール コンピューター言う、タブ コンピューターは言う、クリア 夜中過ぎに木々が風に揺れる、 オレはかつて25歳で 今よりもっと強く、もっと勇敢で 世界中で知られていた

          『コンピューターでタイプする』

          『運のいいやつら』

          The lucky ones Charles Bukowski 午後6時15分高速道路で雨に降られて渋滞している こいつらは運のいいやつらだ、 従順できちんと雇われていて、 たいていは何も考えないよう何も思い出さないよう ラジオを大音量でかける これがオレたちの新しい文明だ:かつて人間が木や洞窟の中に住んでいたように今は車の中や高速道路で過ごす 車のギアを2速から1速へ1速から2速へと切り替えているあいだローカルニュースが何度も何度も流される 運の悪いやつが先の追い越

          『運のいいやつら』

          『終わりのない詩』

          a song with no end Charles Bukowski ホイットマンは書いた 「私は身体を駆け巡る衝撃を詩う」 オレはやつが何を意味していたかわかる オレはやつが何を欲していたかわかる: 死は避けられないからこそ 一瞬一瞬を完璧に生きる オレたちは死をごまかせないが 死がオレたちを捕らえるとき やつに一汗かかせてやることぐらいはできる 死もオレたちと同じように完璧な勝利を知ることだろう

          『終わりのない詩』

          『結核』

          TB Charles Bukowski オレは1年間こいつと戦っていた、 ベッドで本当に多くの時間を過ごした、 咳が出ないように枕を2つにして身体を起こして眠った、 頭からすべての血が抜かれベッドから横向きに倒れそうになって目を覚ますこともよくあった 結核の感染力が強くなってからは見舞いに来るやつらもいなくなり電話が鳴ることもなくなった これは結核にかかってよかったことだ 日中はテレビを見てメシを食って過ごしたが 満足のいく生活とは言えなかった 連続ドラマとトーク番組は日

          『結核』

          『自分自身がロクデナシだと知ることは最高だ』

          It is good to know when you are done Charles Bukowski たいていのことは最終的にはうまくいく タバコに火をつけ通り歩き、年を取り、贅肉がつき、感受性を失っていく 靴を履くこと、愛を交わすこと、思い出すこと、伝えること、かつて小説を読んでいたこと、それはただの行為に過ぎない 友人たちに天気や体調のことでさえウソをつく 今日は水曜日か?あるいは木曜日か? ピアノリサイタルに行くかあるいはフットボールの試合を観るか: 現状に満足

          『自分自身がロクデナシだと知ることは最高だ』

          『KFACクラシックラジオ』

          KFAC Charles Bukowski オレはいつものように腰を落ち着ける ラジオアナウンサーが言う、 「次の3時間私たちが聴くのは、、、」 夜の11時 オレは長年に渡ってこの男の声を聞いている この男もそれなりに歳をとっているはずだ この放送局は最高のクラシック音楽を流す このラジオを聴きながら、 いったい何人の女と暮らしてきたのか いったい何台の車を所有してきたのか いったいどれくらいの数の場所で暮らしてきたのか オレには思い出せない やつの声を聞くたびに ま

          『KFACクラシックラジオ』

          『言葉を愛する者たち』

          darlings of the word Charles Bukowski サンフランシスコから2人の詩人(1人はかなり有名だ)がロサンジェルスにやってきた 女はやつらの朗読を聞きに出かけて行った オレはその時 もう人前で朗読しなくていいと喜んでいた オレは別に朗読会場にせかせかと向かい 群衆たちに詩を読み聞かせるために書いているわけじゃない カネのために詩を読んでいたこともある 家賃を払うためにやったことだ だが有名なカネ持ちたちがいまだに朗読していることを聞いて

          『言葉を愛する者たち』