gamblers all
Charles Bukowski
時々朝ベットから這い出て思うことがある
“どうやってやっていきゃいいんだ”
だが心の中で笑っちまう
これまでずっとそう感じてきたことを思い出す
バスルームへ行き、ションベンをし、鏡で自分の顔を見つめる、なんてこった、なんてこった、なんてこった、それでもオレは髪を梳かし、外出用の服に着替え、ネコにエサをやり、ロクデモナイことが書かれた新聞を取りに行き、それをコーヒーテーブルの上に載せ、女にキスをする
それから人生その
『南湾高速道路』
harbor freeway south
Charles Bukowski
交通事故に遭遇すると
どこにもいない死んだ犬たちが吠える
3台の車が事故にあった
1台はグリルを下にして逆さになり
他の2台は横倒しになり
タイヤがゆっくりと回転している
3台の車が静止している:
真夜中の奇妙な光景
その事故はただ起こった
車の中でピクリとも動かない身体が見える
高速道路の中央分離帯に
おもちゃのように散乱する車
そこに着陸した宇宙船のようにも見える
現場を通り過ぎる
they need what they need
Charles Bukowski
サンペドロには世界中でもっともデカい航空機の1つがある
その航空機はもう飛ぶことはなく
世界中でもっともデカい客船の隣に留まっている
その客船ももう航海することはなく
蒸気上げるほどの夏の昼下がり人々は列をなし
動かなくなった記念物を見物するためにカネを払う
やつらにセザンヌかミロのような有益で本物の何かを見せてやれ
やつらはただオマエを見つめ訝ることだろう
crazy as a fox
Charles Bukowski
クリスマスシーズン
オレはまだ少年で
母親と2人でデパートにいた
母親はガラスケースの前で立ち止まり
オレもその前で立ち止まった
ガラスケースの中はおもちゃの兵士たちで溢れていて、
ライフルや銃剣を持った兵士たちもいて、
たくましい馬に乗った兵士たちもいる、
おもちゃの大砲やマジンガンをぶら下げた兵士たちもいた
有刺鉄線を張り巡らせた本物のような塹壕や飛行機や戦車さえあった
母親が聞いた「欲しいかい、ヘンリー?
cats and you and me
Charles Bukowski
エジプト人はネコを愛し
多くの場合自分たちの子供と埋葬されるよりは
ネコと埋葬されることを選び
イヌと埋葬されることは決してなかった
そして現在
ネコの魂を持つ素晴らしい人間は滅多にいない
とはいえ今も昔も
多くの美しい品格あるネコたちが
世界中の路地をぶらついている
今夜の口論についても
たとえそれがどんなことでもあったとしても
そしてそれがオレたちをどんな不幸な目に合わせようとも
どこかに
spelling it out on computer
Charles Bukowski
エンター、コンピュータはここだと言う
ディリート、コンピュータはそこだと言う
リターン、コンピュータは言う
シフト、コンピューターは言う
コンピュータは言う、コントロール
コンピューター言う、タブ
コンピューターは言う、クリア
夜中過ぎに木々が風に揺れる、
オレはかつて25歳で
今よりもっと強く、もっと勇敢で
世界中で知られていた
a song with no end
Charles Bukowski
ホイットマンは書いた
「私は身体を駆け巡る衝撃を詩う」
オレはやつが何を意味していたかわかる
オレはやつが何を欲していたかわかる:
死は避けられないからこそ
一瞬一瞬を完璧に生きる
オレたちは死をごまかせないが
死がオレたちを捕らえるとき
やつに一汗かかせてやることぐらいはできる
死もオレたちと同じように完璧な勝利を知ることだろう
It is good to know when you are done
Charles Bukowski
たいていのことは最終的にはうまくいく
タバコに火をつけ通り歩き、年を取り、贅肉がつき、感受性を失っていく
靴を履くこと、愛を交わすこと、思い出すこと、伝えること、かつて小説を読んでいたこと、それはただの行為に過ぎない
友人たちに天気や体調のことでさえウソをつく
今日は水曜日か?あるいは木曜日か?
ピアノリサイタルに行くかあるいはフットボールの試合を観るか:
現状に満足
darlings of the word
Charles Bukowski
サンフランシスコから2人の詩人(1人はかなり有名だ)がロサンジェルスにやってきた
女はやつらの朗読を聞きに出かけて行った
オレはその時
もう人前で朗読しなくていいと喜んでいた
オレは別に朗読会場にせかせかと向かい
群衆たちに詩を読み聞かせるために書いているわけじゃない
カネのために詩を読んでいたこともある
家賃を払うためにやったことだ
だが有名なカネ持ちたちがいまだに朗読していることを聞いて