『ピンク色のシルク』
Pink silks
Charles Bukowski
オレは咲いたばかりのバラ、不機嫌な猫、へこんだフェンス、若かりし頃のチャールズ・リンドバーグの古い写真のことを考える
そしてオレの気概としてのスピリット・オブ・セントルイス号
安物の葉巻よりもひどい
舗装されていない汚れた海岸沿いを車で走る
オレは1人で気楽に車を走らせる
潰れた山の上にあるカネ持ちたちの家は
発狂し不明瞭で恐れているように見える
オレが今住んでいるところでは
友人たちの態度は冷たく急に年老い
やつらが笑えば入れ歯が見える
だが少なくともやつらは笑っているーーー
清潔な服と同じくらい大切なことだ
そしてアンデルナッハでは、
オジのヘインが93で死んだ、
棺の中に横たわるオジの背中は
生きている時と同じように
まっすぐだったはずだ、
勇敢なドイツ人だった、
オジのヘインリッチ!
森羅万象が奏でる完璧な音楽には驚かされる;
オレは騎手が1人で厩舎から出てくるのを目にする
上等のピンク色のシルクを身に着け(薄い緑色の縁取りを施し)
乗馬用の鞭をだらりと垂らし
馬丁のもとへと向かって行った、
何世紀ものあいだ人類は不可能だと思えることにささいな勇気を持って挑んできた;
現実の鋭い痛みは殺しはしない、
頭の中をスッキリさせるだけだ
オレがもっとも気に入ってるのは、そうだな、
たとえオレが何を考えようが何をしようが、
すべての物事は最終的には
それ自身が決心し、
それ自身が適応し
それ自身が解決するってことだ
だがそれでも、
一般的な経験やそうでない経験がもたらす賢明な経過や醜悪な経過が
オレよりよっぽど賢いはずのやつらをも幻惑させている
それならオレを巻き上げてコーヒーテーブルの端から
空が海に落ちるところまで連れて行ってくれーーー
そして言葉にはできない結末へと
いつの日かオレたち全員が経験し
ついには知ることができるところへと
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