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『排除ベンチ』か『思いやりベンチ』かは、見方次第で変わる件

土日はノンジャンルで。

公園や駅前のベンチに、間仕切りみたいな突起や手すりがついているのをよく見かけます。
コロナ禍で『ソーシャルディスタンス』という言葉が拡がりましたが、そのもっと以前から、そうした間仕切り付きのベンチが増えてきました。

そもそもこうした間仕切りがなくても、電車のシートと違って ある程度混んでいるベンチにお尻を割り込ませて座ろうとする人は居ないし、他人の隣に座る時には充分な間隔を確保するはずです。つまり駅前や公園のベンチは、自ずとソーシャルディスタンスは保たれている

全く間仕切りのないフラットなベンチと較べれば、間仕切り付きの見た目はちょっと鬱陶しいというか、シンプルさに欠ける気がします。
では何故、こうした間仕切りを設置するようになったか?と言えば、聡明な皆さんならすぐに思い付くと思いますが、ぶっちゃけ浮浪者ホームレス』の方が寝ぐらとして住み着かないように、という意味合いのようです。
駅前のベンチでホームレスが寝そべってしまうと、本当に休息を必要としている市民が使えない。また風紀上、或いは衛生上の問題がある。子供の情操教育上よろしくない…。そうした市民の苦情を受けて、市役所なり区役所が『間仕切り』を増設したり、最初からそうしたタイプのベンチを設置したりするようになりました。

この手のベンチは、俗に『排除ベンチ』と呼ばれています。
文字通り、『社会的弱者を公衆の視界から排除する』為の仕様という意味合いになります。
福祉の街』、『思いやりの街』等の耳馴染みのよいスローガンを掲げる一方で、一般市民の要求に応える為にはやはり『弱者は排除』するしかないという、寂しい構図が見え隠れします。

さらには…
都心に於いては、デザインの名の元に もはや休息ベンチには見えない形状のものまで登場しており、『排除アート』、或いは『敵対アート』とも呼ばれています。

GRAND DESIGN LTD.さんのnote より。渋谷区某駅前、
休息時にも寛げない…

ところが最近、目から鱗の記事を見つけました。
さる公園に設置されているベンチは、上記に述べたように40~50cm間隔で手すりが付いている上に、座面が手前に向かって僅かに傾斜しています。
その傾斜は、『排除ベンチ』として見た場合には、『そうか、人が寝ころんだ時に斜めになっていて寝にくいからだな』くらいにしか思わないでしょうが、実はもっと深~い意味があるというのです。

すなわち、本当に足腰が弱ってきた高齢者の休憩ベンチとして考えた場合に、両脇の『手すり』は立ち上がる時の補助になる。加えて、座面が僅かに前傾している事で立ち上がりが非常にラクになるというわけです。

早川由美子 2009/08/20

言うなれば、『排除ベンチ』ならぬ『思いやりベンチ』。

ただし『思いやりベンチ』が『思いやりベンチ』として機能する為には、高齢者施設の敷地内とか本当にホームレスが居ない街じゃないと、結局は『排除ベンチ』に成り下がってしまうわけで…

言いたかった事は単純に、『排除』と思えばそうとしか見えないものも、『思いやり』と捉えればそういう解釈もあるよね、と柔軟な視座変換が大事というお話しでした。

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