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私にとってのニューウェイブ・ラーメンの変遷を語る件

今回も無駄に長いです。
1,600文字を予定していましたが、書き終えたら4,600文字でした(笑)

このブログでラーメンについて語る時、それはとんでもなく印象的なラーメンに出逢って是非ご紹介したいと思った時と、あとは『グルメ』ネタが枯渇してきた時…(苦笑)

こと、『ラーメンについて語る』となれば、日本人成人の6割、うち男性の8割が『ラーメンには一家言いっかげんあり』と答えたといいます(n=10・筆者調べ)

なのでここでお話しすることは、30代で年間70杯、50代で年間50杯のラーメンを食している私の個人的な見解をお楽しみいただければということで、細かい詮索はなしにしていただければ幸いです。

まずラーメンの嗜好に関しては、個人の味覚の好みに加えて、子供の頃に生まれ育った地域と、成人後に住んでいた地域性に左右されることはあると思います。
筆者の場合、生まれてから27歳まで京都在住、うち18~27歳は大阪に通学・通勤。それ以降、新潟・福岡・長崎・広島・東京・名古屋での30年を経て、昨春に京都在住の大阪勤務に戻ってきました。

今でこそ、多くの主要都市で全国各地の『ご当地ラーメン』を食することができますが、それでも地場のラーメンを食する機会は自ずと高いはずです。

私が30歳代で福岡に居た時期には、当然ながら有名無名の『とんこつラーメン』店がありましたが、一方であの『天下一品』が進出したものの一旦は駆逐されています。一見、豚骨風のスープで一時は流行ったものの、『こげん、ラーメンじゃなかばい!』と拒否されたのです。

因みに、その数年後にはインターネットが一般的になり『京都ラーメンの雄・天下一品』の名前が浸透し始めた頃に福岡に再上陸し、見事に繁盛します(蛇足ながら、同様の流れはあの『丸亀製麺』でも同様で、私の在勤時に初出店した丸亀製麺が『うどんが煮えとらんと!』と言って閉店に追い込まれましたが、数年後には再上陸して大繁盛しています…)

さて、地域性に紙幅を割いていると終わりませんので、ラーメンの変遷のお話しです。

一時いっとき、『ニューウェイブ系』とか『意識高い系』といったラーメン店がもてはやされた時期がありました。
従来の一般的な『ラーメン・中華そば』から一歩先んじたラーメン。スープ、麺、具材、さらにはラーメン鉢やネイミングにこだわったラーメン店・ラーメンチェーンが急増しました。
(今回は言及しませんが、この新派の工夫こそが、昨今の『千円の壁』を乗り越える為の主張に繋がっていると思います。)

今でこそ、『今度できたあの店はニューウェイブ系だね』とは言いませんが、昨今の新規店の殆どが、『昔ながらの』ではなく何らかの工夫を施した商品を打ち出しているということです。

以下、私の約50年に亘るラーメン歴からの私見ですので、ご参考に…

スープ

ご存知の方も多いかと思いますが、ラーメンの原価で最も高いのがスープです(なので、スープを使わない『つけ麺』は儲かると言う声もあり、意外と原価率の低い麺は増量が無料の店も多いです…)
そのスープでなんとか差別化を図ろうと、いろんなタイプのスープが登場しました。

以下、私の私見ですが、『従来タイプ』と『今どきタイプ』に分けてお話ししたいと思います。

【従来タイプのスープ】

① 混濁系;
九州で主流の『とんこつラーメン』は白濁していますが、元々は澄んだ『清湯ちんたん』スープでした。ある店で留守番の人が居眠りして、煮詰まって濁ってしまったと言われています。
今でもその源流と言えるラーメンを提供している店もあります(長くなるので割愛しますが、『三馬路』の流れを汲む『うま馬』もその一つです…)。
もう一つ、白濁と言えば『白湯ぱいたん』ですね。鶏から抽出されたコラーゲンの濁りです。
先の『天下一品』の場合は、鶏と一緒に大量の野菜を煮詰めてあの混濁スープができています。

② おさかな系(その1);
初期のものは『煮干し系』です。『魚粉系』と呼ぶ人もいます。今も店名に『にぼ●●』と入っているチェーンも多く、一定のファンが定着しています。

③ ダブルスープ;
従来の『醤油ラーメン』・『味噌ラーメン』・『塩ラーメン』という分類がしにくくなってきました。発端は『醤油とんこつ』の登場かと思います。
先述した私の居住地変遷では、27~57歳の30年間で京都を離れているのですが、平成のその期間に『一乗寺』というラーメン集積エリアが形成されました。それと同時に、私が馴染んでいた『京都ラーメン』が『醤油とんこつ・背脂チャッチャ系』と呼ばれるようになりました。

④ 無化調;
漫画『美味しんぼ』で化学調味料の添加が必要以上に糾弾され、『化学調味料一切無添加!』を標榜する店が急増しました。

【今どきタイプのスープ】

① エスプーマ;
『意識高い系』は登場し始めた頃から今でも、表面を泡立てたスープが、特に白湯系でどんどん増えています。ラーメンを提供する最後の工程として、電気泡立て器でスープの表面を泡立てて、口当たりをよくします。

蛇足ですが、これと同様のトレンドに、トッピングのチャーシューや寿司店でも、表面をガスバーナーで炙るという流行もありますね。いずれも、カフェでやっていた『ミルクフォーム』や『キャラメリゼ』から流用されたものかと思います。

② ダブルスープからトリプルスープへ;
いろいろな素材をブレンドする流れが加速し、隠し味やスパイス系も増えつつあります。最近出逢ったのは、『カレーラーメン』ではないのにクミンが香る『カレー風味のラーメン』でした。

③ おさかな系(その2);
カタクチイワシの煮干しから『アゴ出汁』(アゴは長崎名産のトビウオ)へ、そして『サバ』(鯖ぶし)も増えてきました。
次が『海老系』。
甘海老やオマール、果ては伊勢海老の殻を焼いてから細かく砕いて、スープを作ります。
また清湯スープでは『鯛出汁』、さらには『貝出汁』がブームの兆しあり。全国にどんどんその系統の店が増えているように思います。

④ その他;
個人的に誤解していましたが、『牛骨ラーメン』と『テールスープラーメン』を同一視していました(苦笑)
『牛骨』はあくまで『とんこつ』の派生版でしたが、食べ慣れている『とんこつ』の方が私は好きでした。
『テールスープ』も、これはこれでアリかと。でも、如何に牛肉好きの関西人とはいえ、やっぱりラーメンには豚が合いそうです…

トッピング

次に具材について見ていきますか。

【従来タイプのトッピング具材】

① チャーシュー;
豚バラ肉と豚ロース肉から選べる店もあります。

② たまご;
『ゆで卵』から『煮たまご』へ、そして『半熟味付け煮たまご』が主流になりました。

【今どきタイプのトッピング具材】

① チャーシュー;
分厚いガッツリ系と薄切り系に二分化。
特に薄切り系では『低温調理のレアチャーシュー』が急増していますね。
ガッツリ系では、20cm級の一本チャーシューや炙り、部位では『トントロ』タイプもよく見ます。
他にも『鶏チャーシュー』、『鴨チャーシュー』、そしてその『合い盛り』。
例えば豚チャーシューの3部位と鶏チャーシューを一緒に載せている店もありました。

② メンマ;
『穂先メンマ』と『材木メンマ』が登場しています。
特に『意識高い系』として開店した店では『穂先メンマ』を使用する率が高いように思います。
私は、10mm角×7cm長の『材木メンマ・角材メンマ』が大好物です。名古屋の『好来系』のように数十本もトッピングされるとアゴが疲れますが…

③ その他;
赤くて細い『糸唐辛子』、あとオリーブオイルやチーズ、パクチー等も登場していますが、まだまだ主流には成り切れず・・・

そして、ラーメンがラーメンたる所以でもある、麺について。

【従来タイプの麺】

① 麺タイプ;
麺の太さ、ちぢれの有無による組合せがあり、自店のスープにはどのタイプの麺が合うのかが考えられています。
パスタ(スパゲティ)麺も太さが何種類かあって、ソースに合わせて選ぶのと似ていますね。

② 麺の茹で方;
大きく二分すると、『湯切りカゴ』タイプと『大釜で泳がせる』タイプがありますが、オペレーション上の事情から、前者が絶対的主流になりつつあるようです。
後者の『泳がせるタイプ』は、平ザルで一人前ずつを救い上げて湯切りする技術に慣れを要する為、やや効率悪い欠点がありますが、京都『第一旭』は泳がせにこだわっています。

【今どきタイプの麺】

① 全粒粉麺;
玄米ブームや全粒粉パンと同じ考えで、完全製粉の白い小麦から、フスマ(外部分)が多く入っていて繊維質やミネラルが多い全粒粉麺を使用、アピールする店が急増しています。

② 低糖質麺;
バリエーションとして『低糖質麺』を用意している店も、けっこうな割合で増えているように思います。あくまでメインではなく、オプションとして。

③ 自家製麺;
従来は『餅は餅屋』というように、スープは自店で仕込んでも麺は製麺所から仕入れてくるのが基本的なスタイルでした。製麺所からの提案で麺を選んでいた状況から、最近は自店に合うスペックで製麺所にオーダーする店が増加。
さらに昨今は、『自分が目指す麺を自分で打つ』という店も増えてきました。
究極は、東京八重洲の『麺や七彩』さんのように、オーダーが入ってから目の前で粉と水を計量し、目の前で捏ねて切って湯がいて提供する、という店も登場しています。

④ 麺線が美しい;
昨今のラーメントレンドで一番のキーワードが、これですね。
『麺線』というのは本来は麺の太さ(30mm幅の麺生地を何本に切り分けるか?)を示す番号で、20番(札幌の中太麺)とか26番(博多の細麺)とかがありますが、『麺線が美しい』の『麺線』は、『器の中での麺の置き方が美しい』という表現になります。
自ずと、清湯スープに縮れのないストレート麺を置いた状況でよく使われます。
当然、麺の置き方によって味が変わることはなく(のど越しは変わるかもしれない)、主に目を楽しませる(SNSに写真をアップした時の“映え”を楽しむ)ものかと思われますが、『手間ひま掛けている』ことをアピールできるので、付加価値を与える要素ですね。

器・盛り付けの今昔

最後に、『今どき』の器や盛り付けに関する私の苦言ですが・・・

① ラーメン鉢の形状;
『逆円錐状』の器が急増しています。
従来の一般的な形状との差別化を狙っているのでしょうが、持ちにくいです。特に、私のようにスープを最後まで飲み干す人間にとっては(ここで塩分・脂質の過剰摂取のご指摘は受け付けない…)、極めて扱いにくい形状であることを激しくクレームします!

② 全体に量は少な目;
今回は一切触れませんでしたが、俗に『二郎系・インスパイヤ系』と言われるガッツリ系ラーメンが人気ある一方で、いわゆる『意識高い系』の店の麺ボリュームはどんどん減っているような気がします。
実際、私も50代半ば辺りから『麺大盛』や『替え玉』を控えるようになり、少しは食が細くなりがちですが、それでも最近の新店の上品過ぎるボリュームに唖然とすることがあります。これでは、『千円の壁』を乗り越えていくのに説得性に欠けてしまうのでは…?

あ、違うな。
麺ボリュームが減ることで、『もう一品!』ニーズが確実に増える。
かく言う私も、チャーハンは必ずオーダーしています。ラーメン単体の単価を上げるよりは、『もう一品』を着実に増やしていく方が客単価の向上には貢献しますね。そういう意味では、チャーハンを欠かさない私の健康にとっては、麺ボリュームの漸減は歓迎すべきことなのかもしれません!

知らんけど・・・

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