見出し画像

『ギオンコーナー』で日本の古典伝統芸能7種を一気に体験した件

久し振りに京都・祇園街へ…

コロナ収束で観光客が戻りつつあるとは聞いていましたが、欧米からの家族客を中心に急激に増えてますね。
勿論、アジア系と思しき方もいらっしゃいますが、かつての大陸系の団体客によるインバウンドの賑わいを思い起こせば、まだまだ本格的に戻ってきたとは言えません。それでも祇園四条駅界隈が数年振りに混みあって、歩きにくくなってきました。

尤も、私個人としてはインバウンドの完全復調を望んでいる訳ではなく、錦市場が往来できないような、また市バスにも乗り切れないようなあの人混み地獄にはウンザリしています…
(個人的な偏見ですが、欧米系の方は気軽なバックパッカーが多いのに較べて、大陸系の方は個々にLサイズのスーツケースを引いて移動されるので、余計に混むような気がします…)

さて、京都市内でも特に古都の情緒に溢れ、街並み自体がさながら映画のセットのような祇園花見小路ですが、偶々でしょうか通行人の8割が外国の方でした。
仕事絡みで中年男性3人がスーツ姿で歩いてみましたが、我々日本人の方が、しかも京都人なのに逆に浮いてしまう異様な光景です。

イメージ写真として毎日新聞 2019/1/23より

花見小路を訪れた目的は、甲部歌舞練場で開催されている『ギオンコーナー』の視察。
視察と書けばお仕事っぽく聞こえますが、個人的には興味津々で自ら志願して参加させてもらった出張です。

ギオンコーナー』というのは、日本が誇る7つの伝統芸能を一つの舞台で一気に体験できるステージで、『公益財団法人京都伝統伎芸振興財団』、通称『おおきに財団』が主催するイベントです。
同財団は、京都の伝統文化や花街が誇る伝統伎芸の保存・継承を目的として、京都府・京都市・京都商工会議所・京都五花街および財界人・有識者の賛同を得て、1996(平成8)年に発足しています。

イベントは祇󠄀園甲部歌舞練場小劇場で行われ、茶道・華道から箏曲、狂言、舞妓による京舞、雅楽をバックに舞を奉納する舞楽、そして文楽(人形浄瑠璃文楽)・能と、日本が世界に誇る伝統文化や伝統芸能をダイジェスト版にて、約1時間にまとめたステージとなっています。

祇園甲部歌舞練場
左奥の弥栄会館は、2026年に帝国ホテルに生まれ変わります

私が訪れたのは金曜日の18時の部でしたが、200席弱の客席は8割がたが外国人で埋まっており、我々は後方席に遠慮がちに着席しました。
余談ですが、客席でマスクを着用していたのは我々日本人3人と、外国客は3人くらいで、ほぼ全員がノーマスクというのもなかなか異国情緒ありました(苦笑)

さて、上述の7つの古典芸能(文楽と能は時期によるローテーションで、今月は文楽でした)を1時間に収めるわけですので、1つ1つは10分から長くて15分程度と、なかなか忙しい展開です。
各演目の幕間には日本語の紹介アナウンスの後、英語でも短い解説があり、それぞれがどういう歴史でどんな伝統芸能なのかは、辛うじて理解できるようにはなっています。
ただ、それぞれほんの序の口を見せているだけですので、いわば『商品カタログ』とでも言いましょうか、全てを理解させるには全く物足りないのは仕方ないことかと思われます。

日本人の私、ではなく外国の方に単純にウケが良かったのは、まず何といっても『京舞』でしょうか。
甲部歌舞練場ですので、人間国宝・(三世)井上八千代の振り付けによる舞子2人の舞でしたが、その振袖・だらりの帯やかんざしの美しさは、明らかに老若男女を問わず観客を魅了していました。
因みに甲部歌舞練場ですので、隣の大ホールでは明日4/30(日)まで、恒例『都をどり』が絶賛開催中です。

それと、京舞と並んでウケが良かったのは、意外にも(苦笑)『狂言』だったかと。
現代エンタメに毒された私には、『すゑひろがりず』のコントにしか見えない寸劇でしたが(失礼な…)、役者の仕草と表情でストーリーが理解しやすいことから、客席からは大きな笑い声が…
やはり『お笑い』は分かりやすさが大事ですね。

そして、7つの演芸のトリを飾ったのが『人形浄瑠璃文楽』。
トリというか締めだけあって圧巻です。ほんの15分ほどの演目でしたが、全編をじっくり観劇したい気持ちにさせられます。

本来は『三業』と言って、『太夫』・『三味線』・『人形遣い』の三位一体を楽しむ芸能ですが、ステージの都合で『義太夫節(太夫・三味線)』は録音を流し、『人形遣い』の3人だけでの出演でした。
実は、文楽では人形遣い3人で1体の人形を操ります。
少し詳しく言えば、『主遣い』と呼ばれるベテランが人形の顔と右手を、二番手に当たる黒子が人形の左手(と小道具の出し入れ)を、そして最若手の黒子が人形の足を担当しています。
その3人が息を合わせて1体の人形に魂を入れ、あたかも人形が生きているかのような動きを作るわけです。
ギオンコーナーでの演目は、『伊達娘恋緋鹿子だてむすめこいのひがのこ火の見櫓の段ひのみやぐらのだん』のクライマックスを上演。ヒロイン・お七が梯子を登る演出が人形遣いの見せ場として有名な作品です。

かくして、1時間で7つの古典伝統芸能のサワリを鑑賞し『知ったつもり』になれる楽しいイベント、『ギオンコーナー』のご紹介でした。
5分の楽曲を早送りで間奏を飛ばして2分で聴いたり、2時間の映画を15分くらいに短縮して観てしまうという『Z世代』にも打ってつけの芸術体験ではないでしょうか(笑)
京都観光でお時間ありましたら、是非お立ち寄りされることをお薦めします。
或いは、外国の方をご案内される機会があれば、ここに連れて行けば1時間は潰せますので重宝するかと思います(苦笑)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。『♡スキ』いただければ励みになります!
フォローやコメントも、さらに嬉しいです!
2023年は週ごとにテーマを決めて概ね土曜日に書き綴っています。ご興味あるカテゴリーのバックナンバーも是非ご一読ください。下線部をタップいただければ、各マガジンに飛びます!
キャリア・定年・週末起業の部屋
音楽・ギター・楽器の部屋
オヤジのファッションウォッチングの部屋
グルメとお酒のお話しの部屋
ええ歳こいてクルマ好きの部屋(不定期更新)
徒然なるままにノンジャンルの部屋(不定期更新)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?