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栄養ドリンクとエナジードリンクの棲み分けを語る件

『ファイトォ~!』、『イッパァッツ!』という『偉大なるマンネリCM』が始まったのが1977年。
勝野洋+宮内淳コンビに始まり、真田広之、渡辺裕之、野村宏伸、西村和彦、宍戸開そしてケイン・コスギと、細マッチョなイケメン俳優を起用し続けてきたあの『リポビタンD』のCMに、先日、大きな異変を感じました。

ついこの前まで、断崖絶壁から落ちそうになりながらも宍戸開と手を取り合って崖を制覇してきたケインさんが、『歳のせいか夜中に何度も目が覚める』と細切れ睡眠に悩んでいるのです(商品はリポビタンDX)。

考えてみたら、アクション俳優としてハリウッド映画でデビューし、『筋肉番付』や『SASUKE』で活躍していたケインさんも今や49歳!
そりゃ、加齢により睡眠も浅くなってくる頃です。

同じ栄養ドリンクでいえば、1985年にタモリのCMで一気に売上げを伸ばした『ユンケル黄帝液』。2002年にタモリの後を継いで今なお出演中なのがイチローさんですが、そのイチローも今年、自身の背番号と同じ51歳を迎えます。

『リポビタンD』、『ユンケル』とくれば、続く栄養ドリンクは『グロンサン』、『リゲイン』、『チオビタ』、『アリナミンV』でしょうか…
『グロンサン』は、バブル初期の1986年には『サンサン30代も、グロンサン!』と歌い、1988年には『5時から男の、グロンサン!』とモーレツ・サラリーマンを鼓舞するものとなり、その流れで『リゲイン』は、バブル末期の1990年に『24時間、戦えますか?』というキャッチコピーで一世を風靡しました。

そしてその『リゲイン』ですが、先日の報道によると去る4月を以て派生商品の出荷を終了し、黄色いラベルの『リゲイン100ml瓶』を残すのみとなりました。
このことは、『栄養ドリンクのオワコン化』を示すニュースとして採り上げられています…
なにしろ、今や栄養ドリンクCMの顔は、ケインとイチロー、ともにアラフィーのおじさんなのです。

では、その『栄養ドリンク』市場をごっそり奪ってしまい、さらにパイを拡大し続けているものは…?
それが『エナジードリンク』ですね。

その2大ブランドといえば、『Red Bull』と『MONSTER ENERGY』。
先の『栄養ドリンク』が『医薬品』ないしは『医薬部外品(部外品にした方がコンビニや自販機での販路が拡大できる)』として製薬メーカーが製造・販売していたのに対して、『エナジードリンク』はあくまで『清涼飲料水』の規格で販売しているので、メーカーの参入は容易ではあるのですが、『Red Bull』と『MONSTER ENERGY』がそれぞれが複数のフレイバーを展開し、他の追随を許さない状況です。
大手清涼飲料メーカーも手をこまねいているわけではなく、サントリー社は『ZONe』、コカコーラ社も『リアルゴールドXY』等で抗戦していますが、コカ社の『BURN』、大正製薬の『RAIZIN』等、討ち死に・撤退したブランドも多数…

サントリーのZONEはなんとか健闘中…

さてその『栄養ドリンク』と『エナジードリンク』ですが、大きな違いが2つ。

その1つが先ほどの『医薬品・医薬部外品』か『清涼飲料水』かの違いなのですが、それにより効果効能を謳えるかどうかが異なります。
広告等で堂々と『肉体疲労時の栄養補給に!』・『滋養強壮!』と言えるのは前者だけ。
後者の場合は、なんとなくそういうことをイメージしたCMしか作れません。
そんな事情で『Red Bull』のCMでは、『翼を授ける~』といって空を飛んでいくようなイメージをアニメで伝えています。

もう1つの違いが、主成分。
商品により諸々ありますが、『栄養ドリンク』の特徴は『タウリン』含有です。
しかも初期はタウリン1000mgが主流でしたが、最近ではタウリン3000ml配合のものが多くなっています。
タウリンは『筋肉の疲労や摩耗の原因となる老廃物の除去を助け、筋肉細胞へのダメージや酸化ストレスを軽減する効果が確認されて』いる(大正製薬)ので、『肉体疲労時の栄養補給』に効果が期待できるわけです。
他にも、アルギニンだビタミンB群だといろいろ入ってますが…

一方で、『エナジードリンク』の特徴的な成分は『カフェイン』。
ま、言ってみればカフェインの覚醒作用でシャキッとさせられてるというか…

元々、清涼飲料水が栄養成分を訴求し始めたのは『オロナミンC』からかと思いますが、昭和の頃の栄養成分って、せいぜいビタミンCですね。

ビタミンCは疲労回復に効果あるから、『元気ハツラツ!』というキャッチコピーだった。
でもやはり、飲んだ瞬間にシャキッと感じさせるならカフェイン。
それも缶コーヒーと違って、ガラナ等のクセのあるフレーバーと炭酸で強烈な爽快感を感じさせるという…

加えて、お洒落なイメージのパッケージデザインと宣伝、250~355mlという飲み応え。
こりゃ、50代以上のオジサンがドラッグストアや駅売店でチビチビ飲んでる茶色い小瓶とはイメージが違い過ぎますね。

ただし…
今や若年層になくてはならない飲料となりましたエナジードリンクにも、健康上の問題があります。
それは(糖分の過剰摂取は置いておいたとしても)カフェインの過剰摂取。
例えばカナダ保健省では、健康な成人のカフェインの推奨摂取量を1日400mgと提示しており、それを受けて日本の農林水産省でも『カフェインの過剰摂取について』の注意喚起をしています。

どう注意すべきかというと、私のように毎朝のルーチンで缶コーヒーやレギュラーコーヒーを飲んでいる場合、そのコーヒーに含まれるカフェインを合算して、1日の摂取量をコントロールすべきであるということと…
今一つは、上述の400mgはあくまでカナダの成人の標準値であって、昨今、最もエナジードリンクを飲んでいそうな中学生や高校生、ましてや小学生の身体には大丈夫なのか?という問題…
昭和の頃、小学生が親のコーヒー(たいていはフリーズドライのネスカフェ・ゴールドブレンド)を飲もうとして『まだ早いわ!』・『夜、寝れへんで!』と叱られたのも、意味あってのこと。
育ち盛りのお子様をお持ちのご家庭では、くれぐれもご注意なさってくださいませ。

追伸、
『Red Bull』のキャッチコピーが『翼を授ける』でした。
最近は見なくなりましたが、コロナ禍前には都市部のあちこちでレッドブルカラーリングのミニクーパーの改造車がプロモーションに走り回り、街角でサンプリングしていました。
そのミニクーパーのナンバープレートは、地域を問わず『・2-83』。
わざわざ283の希望ナンバーを取得して揃えています。
お察しの良い方ならお分かりのとおり、『ツバサ』の語呂合わせですね。

※トップ画像は、松永政司・深野真季子共著『どれ飲む?いつ飲む?エナジードリンク・栄養ドリンクのすべて』の表紙より借用しました。

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