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1人旅は歩くだけで楽しい 〜岡山・美観地区編〜

はじめての1人旅。(なんかはじめてのおつかいみたいになっちゃった)

横浜から夜行バスに乗り、岡山の倉敷へと向かう。予定時刻より1時間くらい到着が遅れたが、そんなのはお構いなしにわたしは浮かれていた。

荷物をホテルに預け、美観地区へと歩いていく。知らない土地は歩くだけで楽しい。商店街のある「えびす通り」をぬけると美観地区が目の前に現れた。

江戸の街並みが広がっていた。道幅は車が十分に通れる程に広ろく、平日昼前の美観地区は静かだった。

着いて早々お腹が空いた。まずはお昼ご飯を食べたい。

和食の気分だったので卵かけご飯が有名な有隣庵で食べることにした。運良く並ばずにすんなり入ることができた。注文を早速聞かれ、まだ迷っていたのだが"鯛のおひつごはん"を頼んだ。

そのあと座敷に案内され、席につくなり混み合ってきた。料理が運ばれ記念に写真を撮ってみたが、全くおいしそうに撮れなかった。元々食べ物をおいしそうに撮るのが苦手で期待していなかったが、今回もやっぱりダメだった。ちなみに料理はめっちゃおいしかったです。

鯛がおいしい〜。でもそれ以上に特別な醤油に漬けられた黄身を、ご飯の上にのせて食べる卵かけご飯が唸るほどおいしかった。「卵かけご飯だけじゃ味気ないかな」と思って、鯛のおひつごはんにしたが全然そんなことなかった。このおいしさを共有できる相手がいないなんて少し寂しいと思った。

少し離れた席に座っている20代前半の女性2人が「うんま〜。これは千円払ってもいいわ。いや払わせて」と卵かけご飯のおいしさを噛み締めていた。わたしは「うんうん。その気持ちわかる〜」と耳をそばだてて、それを聞いていた。

たまごとご飯は1回ずつお代わりできるそうで、両方ともおかわりした。この後ご飯をおかわりしたことを後悔する。まだデザートのプリンも残っているというのに。

おかわりしたご飯を食べている途中で苦しくなってきた。食後のプリンを食べるときには、もうはち切れそうだった。

このプリン、しあわせプリンと言うらしい。ニコちゃんが描かれ、あっさりしてそうな見た目とは裏腹に中身は濃厚だった。カラメルの量も多すぎず、ちょうどいいバランスだ。おいしい...おいしいぞ。お腹いっぱいなのにあっという間に平らげた。

……くっ、くるしい。

よっこらせと頑張って立ち上がってお会計を済ませると店員さんが笑顔で「いってらっしゃいませ」と言ってくれた。

お店を出ると人通りが増えてきた。大原美術館に向かう前に食べたものを消化するために、もう少し美観地区周辺を散策してみることにした。

路地裏に入ったり川沿いを歩いていると、青地にコスモスの柄の服を着た、小さな女の子が片足で道草を踏んでいるのを見かけた。短い足を腿まで上げ、力強く踏んでいる。

楽しそうに何度も踏む様子がとても愛らしい。道草を踏んでいるだけで可愛いのは子どもの特権だ。大人が同じことをしても、何か気に食わないことがあったのかなと心配になる。

先に歩いていったお母さんとお姉ちゃんが「な〜にやってんの〜(笑)行くよ〜」と呼び、道草を踏んでいた女の子が大きな口を開けて「は〜い」と2人のそばに駆け寄る。3人はお母さんを真ん中にして手を繋ぎながら歩いて行った。

普通の可愛らしい日常が見れて、勝手にほっこりした。

歩いていると清掃員さんがゴミを拾っていた。そういえば路面に全くゴミが落ちていない。美観地区が綺麗に保たれているのは、清掃員さんのおかげなんだな。「お疲れ様です」と心の中でつぶやいた。

そんなこんなで道草を食いながら、わたしはようやく大原美術館に向かう。

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